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演劇「The last night recipe」

横山拓也さんの演劇ユニット「iaku」さんの「The last night recipe」を観てきました。

以前、このユニットの「あつい胸さわぎ」という乳がんになった大学生の女の子を描いた作品を見て、乳がんを体験した者としてはとても興味深かったです。

作品自体は面白かったんですが・・・なんだろう。絶妙に「そうじゃない」感じ。

どこがどう違うのか・・・とかうまく言い表せず、ずっとモヤモヤしてました。

今回の作品は2019年~2021年のことが書かれていて、「コロナ」も作中に出てきます。

内容とかあんまり知りたくない人は読まないでください。

まだ30歳の妻の夜莉(より)さんが突然亡くなり、夫の良平、夜莉の両親などが右往左往するところから始まります。

亡くなった理由は結局よく分からないんですが、取材のために打ったコロナの予防接種が原因?なの?

なかなか責めてるなあ。

物語は少し過去に戻ったりしながら、夜莉が良平とどうやって出会って結婚したのか、徐々に明かされていくのですが・・・

いや、しかしその理由がとんでもない。

夜莉はライターで取材対象として良平に会い、彼の境遇に興味を持ったのですが・・・いや、しかし、「ルポ」を書くためにその対象と結婚するって・・・そんな人いるんだろうか?

ちょっと狂気すぎてついていけない。

良平はラーメン屋に生まれ、中卒で何年もの間そこで働くことしか知らない男です。

その彼の境遇を「貧困による無知」、父親による「ネグレスト」を受けているとして夜莉はその実態を暴こうとします。

ちょっと何を考えているのかよく分からない、一体何に興味があるのか謎で、感情表現に乏しく、どうやってコミュニケーションをとっていいのか分からない良平みたいな男性って結構いるし、よくお会いするけど、なかなかドラマなどでは描かれないしその表現が面白かったです。

夜莉、仕事の先輩、元カレ、などの会話は「相手の言われたくないことも分かってどんどん言っていく感じ」でなかなかひりひりして面白かったんですが、結局、最後は見終わった後「何を持って帰って良いのか」いまひとつよく分かりませんでした。

「食べること」は重要なテーマになっていますが、夜莉が良平に「嫌だ」と言っているラーメンを作らせるのはなかなか酷い気がして・・・

ずっとラーメン屋手伝わされてきたんやからトラウマあるんちゃうん、と同情しかなかった。

観に行った劇場「座・高円寺」は、客席を1つ置きとかせずに、もう割と満席に近い状態でした。

少しずつ日常に戻っていく、と言いつつ「一体何が普通の日常」なんだろうか?とも思います。

「演劇」を舞台で見られることはいつになるのか・・・と思っていたこともありました。

実際、見られるようになったら、泣いてしまうかもしれない、と思ってましたが、いざ見られるようになると案外「冷静」に見ている自分も発見します。

でも、演劇公演の「わ~~~」とみんなが同じところに「集中」している感じはやっぱりぞくぞくします。

結局、人はどのような状況になってもそれこそ命がけで色々な工夫をして「面白いもの」を作り続けるし、求め続けるんだろうなあ、と感じてます。



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