【OB】タリスカー 10年 新ラベル(平行) と 旧 (正規 / 平行) の比較
※ あくまで主観での比較であり、個人の感想です
新ラベルが発表されて「ぼちぼち日本国内にも入ってくるかな」と思ったら全然入って来ないので我慢できずに個人輸入しました。
比較するにあたって、テイスティングにおいて尊敬するバーテンダーの方から教えていただいたのですが、『そもそも旧ラベル(国内では現行)が「正規品」と「並行品」では香味が異なる』という点が非常に気になり、現状で手に入る新ラベル(平行)をテイスティングするならば旧ラベルの平行品との比較が妥当であると思いましたので別途購入して比較することにしました。
ついでに良い機会でしたので正規品とも比較していきます。
ボトルの状態
・旧ラベル 正規品
購入1週間以内・開けたて
酒屋にて購入
・旧ラベル 並行品
購入1週間以内・開けたて
国内通販にて購入
・新ラベル 並行品
購入2週間以内・開栓2週間以内
海外より個人輸入
パッケージの差異
外箱は正面向かって右側のシールぐらいしか差がありませんでした。
クライヌリッシュ 14年みたいに丸筒のネコちゃんの色が違うみたいな差があるのかなと期待してましたが、特にそのような差異は見当たらず。
裏側のシールは当然 差がありました。
【比較1】 旧ラベル 正規 / 平行
まずは 旧ラベルの正規/平行の差を確認していきます。
【旧 正規品】
[ ノージング ]
並行と比べて基本的には同じ甘い香りがベースですが、甘味の中にエッヂが立っています。特に樽の木の香りが目立つような原酒選びを感じました。
[ パレット ]
口に含むと まず前面にビターで芯が一本通っている香味で、その背面でやわらかい甘さが広がります。
並行品と香味の位置が前後逆なイメージです。
中盤~フィニッシュにかけては、飲み比べたからこそ見える長熟原酒の輪郭がハッキリと感じ取れました。加えて、長熟原酒の香味に伴ってペッパーとコクのあるビターな樽感が口内を引き締める構成で、ついつい続けて飲みたくなる余韻の優雅さがあります。
例えるなら「香水を綺麗に使う女性」のようで、立ち去った後 ほんの僅かに知覚できる存在感に引き寄せられグラスに手を伸ばしてしまいます。
全体を通した香味のシルエットにマップラベル時代の奥深さを表現しつつ、口内を引き締める樽感と荒々しいスパイシーさを同居させており、日本のスタンダードな正規品としては非常に完成度が高いと感じます。
ハイボールにしても存在感がハッキリしているのは、樽感を効かせた部分が大きく影響しているためではないでしょうか。
個人的に「タリスカーストーム」は10年とキャラ被りしているなと思っていましたが、並行品と比較して納得しました。
【旧 並行品】
[ ノージング ]
正規品と比べると大分まろやかで、砂糖水のようなやわらかい甘さが先行します。
[ パレット ]
飲み始めはノージングでも感じた砂糖水系のやわらかい甘味と、濃いカラメルのような旨味を伴う苦味が主体。(おそらく長熟原酒のトップノートでしょうか?)
全体的にまろやかで飲みやすいと思わせつつ、中盤から長熟原酒由来の深い甘味が一気に押し寄せてくる展開はさすがのバランス感覚です。
厚く深い香味そのままで フィニッシュへ近づくにしたがって、現行のOBタリスカーらしいペッパー感がハッキリ目立つようになり、OBとしてクォリティを保った香味コントロールに驚かされます。
余韻ではスパイシー感が抜けておとなしめですが、長熟原酒のリッチな甘さが主張してくるので満足度は高いです。
【比較2】 新ラベル / 旧ラベル (平行)
※比較と書いてますが、旧ラベル(平行)のテイスティングコメントは上に書いちゃったので比較対象としては割愛します。
【新ラベル 並行品】
[ ノージング ]
旧並行と比べると、基本的な香りの方向性は同じですが長熟原酒感が弱いので少し軽い印象です。
[ パレット ]
口に含むと、やわらかい甘さが先行して、しっかりと伸び始めます。
中盤に差し掛かると今度はノージング段階で弱めだった長熟原酒感が一気に展開し、潮気と樽感も伴ってリッチさが前面に出てきます。
フィニッシュ付近では潮気が落ち着いた影響で、長熟由来の深味と甘さをじっくりと堪能することができます。 また、これまで鳴りを潜めていたスパイシー感は余韻のあたりでゆっくりと主張を始めますが、旧ラベル正規品ほど強くはありません。
総評として、パレットでのスパイシーさは旧ラベルより控えめなものの、舌で味わっている中盤あたりで特に香味が盛り上がるタイプだと感じました。
そして、フィニッシュ付近で現行タリスカーらしさのあるスパイシーさが存在感を主張してくるので、波がおだやかだと油断しているとスカイ島の荒波に飲み込まれてしまいそうになります。
新ラベル 正規品について
旧ラベルの正規/平行でこれだけの差が出ているので、おそらく新ラベルの正規品でも並行品との差があると思われます。
気になる点としては、旧ラベルではウイスキーイベントなどでもタリスカーのハイボールを強く宣伝しているので、新ラベル正規品の香味としてどこまで樽感を強めに残しつつリッチに仕上げていくのか、というところでしょうか。
-おわり-