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【統計で分かる】伸びるVtuberと伸びないVtuber【2/3】

 お久しぶりです。しらきです。初投稿の記事、【統計で分かる】伸びるVtuberと伸びないVtuber【1/3】を読んでくださった方、ありがとうございました。急上昇や人気記事に載ったこともあってか、想像していた何倍もの方に読んでいただけて驚いています。
 それにも関わらず、お仕事と推しごと、CivilizationVをやっていたせいで更新が遅くなってすみませんでした。Civilizationは文明を発展させていくターン制のストラテジーゲームで、最近だとにじさんじの叶さんがCivⅥを配信されています。シミュレーションゲームが好きな人は間違いなく楽しめますが、ルールが複雑で分かりにくい、画面が地味、1プレイが10時間以上かかったりと配信には向かないのが欠点です(致命的すぎる)。それでも配信される方は、見に行くのでこっそり教えてくださいね。

 そういう訳で、期間が空いてしまいましたが、ちゃんと統計データも取っていますので、ぜひご一読ください。今回はYouTubeに焦点を当てており、皆さんが気になる情報も載っていると思います。
 今回の記事は、3部にわたる【統計で分かる】伸びるVtuberと伸びないVtuberシリーズの第2部になります。統計データ元や全体の統計情報の説明などは第1部で行っていますので、まだ読んでいない方は、先に第1部からお読みください。


チャンネル登録者数の分布

 第1部で、Vtuberの女性138人、男性102人の合計240名について、YouTubeのチャンネル登録者数の分布を掲載しましたが、今回、男女別にグラフを作りました。

 女性vtuberの場合は、全138人のYouTube合計登録者数が214,038人で、その内、上位の10人(全体の7.2%)で50%の登録者数を占めており、それ以外の128人(全体の92.8%)で残りの50%の登録者数を分け合っている状況となっています。
 男性Vtuberの場合は、全102人のVtuberのYouTube合計登録者数が43,556人で、上位の14人(全体の13.7%)で50%の登録者数を占めており、それ以外の88人(全体の86.3%)で残りの50%の登録者数を分け合っています。
 男女どちらのVtuberも上位と下位の格差が大きいですが、男性Vtuberの方が、やや格差が小さくなっています。
 これは、女性と男性のVtuberの人数差に比べて、男性Vtuberの方が合計登録者数が圧倒的に少ない。つまり、男性Vtuberは上位であっても登録者数を伸ばしにくいため、下位との差が広がりにくいからだと考えられます。


統計に使う数値の内容

 今回は、格差が大きく、伸びるVtuberと伸びないVtuberの比較がしやすい女性Vtuber138人を対象に分析を行いました。
 その内、総チャンネル登録者数の50%を占める上位10人を上位50%、残りの128人を下位50%として比較を行うことで、伸びる条件を探っています。
 また、各チャンネルの詳細なデータを分析する場合、全員のデータ収集が困難なので、上位50%と下位50%からランダムに5人を選び、そのデータの比較を行っています。


メタタグの使用率と内容

 皆さんはメタタグが何かご存知でしょうか。
 YouTubeでタグと聞いてすぐに思い浮かぶのは、動画タイトルや説明欄にある「#から始まるタグ」ではないでしょうか。よく「#Vtuber」や「#ゲーム配信」などが表示されていると思います。これは、ハッシュタグと言われるもので、このタグのリンクに飛べば、同じハッシュタグを設定している動画が表示されるので、活用されているVtuberも多いのではないでしょうか。

 メタタグは、投稿者側は見たり設定したりできますが、視聴者側は通常の画面では確認できない内部的なタグのことです。
 とはいえ、視聴者がどうやっても確認できないわけではなく、動画ページでF12を押してソースコードを表示、Ctrl+Fで表示された検索ボックスに「keyword」と入力することで確認できます。
 それでは、この一般には表示されないメタタグを設定しているVtuberはどれくらいいて、上位と下位のVtuberの使用率の差はどうなっているのでしょうか。女性Vtuber138人の最新の動画から集計を行いました。結果は以下の通りです。

メタタグ設定者数の内訳
上位50%(10人)  有り 50%(5人)
          無し 50%(5人)
下位50%(128人)  有り 62.5%(80人)
          無し 37.5%(48人)

また、設定有りの内、動画内容と明確に関係がないタグをつけていた人は、上位50%では0人、下位50%では6人でした。

 上位と下位ともにメタタグを設定していないVtuberも一定数いることが分かりました。
 関係ないタグの内訳として、6人の内、3人は他の有名Vtuberや箱名を入れていました。面白いことに「ホロライブ」と「にじさんじ」は全員共通しており、こんなところで改めて人気を感じることになりました。
 残りの3人は、毎回の設定が面倒なのか、他の良くやる配信のタグもまとめて全部盛りをしている人、配信の注意事項を書いている人、金欠や貧乏といったタグを設定していて、ちょっと切なさを感じてしまう人となっていました。
 
 さて、メタタグ設定者数の統計を記載しましたが、実際、設定した方が良いかどうか気になると思います。結論は、2022年現在は設定してもあまり意味がないです。
 確かに2020年ごろまでは、一定の効果があったようですが、今は検索時に果たす役割は小さいとYouTube側も明確に回答しています。

  動画にタグを追加する - YouTube ヘルプ

 リンク先のページでは、タグと書かれているのががメタタグのことです。
 もちろん、設定しないよりは設定した方が良いですが、間違いなく関係ないVtuberの名前を設定してヘイトを集めるリスクを負うほどの価値はないので、設定する場合は無難にまとめたほうが良いでしょう。


人気のジャンル(その1)

 配信するにあたって、何が人気のあり伸びやすいジャンルがなのか気になりませんか?
 今回は、上位50%の中から5人と下位50%の中から5人をランダムに選び、その合計10チャンネルを徹底分析しました。

まず、公開されている上位5チャンネルの全ての動画705本下位5チャンネルの全ての動画909本を下記16ジャンルに分類しました。

・ゲーム(FPS/TPS)
・ゲーム(ホラー)
・ゲーム(サンドボックス)
・ゲーム(アクション)
・ゲーム(ギャンブル)
・ゲーム(ソシャゲ)
・ゲーム(その他)
・歌枠
・歌ってみた
・ASMR
・コラボ
・雑談
・記念配信
・実写
・ショート動画
・その他

その結果がこちらです。

 ゲームジャンルの内訳は下に載せています。
 どちらもゲームの割合が一番高くなっていますが、上位5チャンネルの方がゲームの割合が少なく、歌枠など他ジャンルの配信にも力を入れているチャンネルが多いことが分かります。

 ゲームジャンルの内訳として、上位5チャンネルは、FPS/TPS系が少なくホラー系が多い一方で、下位5チャンネルは、FPS/TPS系が多くなっています。
 FPS/TPS系はゲーム配信の花形といっても良い一方で、プロや専門のストリーマーを差し置いて、上手いプレイを見たい視聴者を獲得するには相当な腕前が必要になります。ホラー系の場合は、そこまで腕前が必要なく、自分のリアクションで勝負できるため、上位のチャンネルはホラー系を多く配信しているのかもしれません。


人気のジャンル(その2)

 チャンネルによって、配信の多いメインジャンルは異なりますが、一概に配信数の多いジャンルがそのチャンネルで人気とは限りません。
 今回、メインジャンルは本当に人気なのか、また人気のジャンルは何なのか、偏差値を用いて可視化しました。
 偏差値という言葉は試験などで馴染みが深いのではないでしょうか。今回の表の見方として、偏差値が50よりも高くなるほど、そのチャンネルの平均よりも再生数が多くて人気のジャンルであることが分かり、50より低くなるほど平均よりも再生数が少なくて不人気のジャンルであることが分かります。
 注意点として、この偏差値は同一チャンネルでの比較をするためのもので、別々のチャンネルの偏差値は比べることが出来ないので、お気を付けください。
(例1 チャンネル1 歌枠 偏差値60  チャンネル1 雑談 偏差値55  の場合、歌枠の方が人気と言える)
(例2 チャンネル1 歌枠 偏差値60  チャンネル2 ASMR 偏差値55 の場合、比較できないので歌枠の方が人気かは分からない)

上位5チャンネルをA、B、C、D、E
下位5チャンネルをa、b、c、d、e 
として、各チャンネルの投稿数トップ3のジャンルの偏差値と、偏差値が高い(人気がある)トップ3のジャンルの偏差値を表1にまとめました。

 この表1を見ると、歌枠や歌ってみた、ASMR、記念配信が偏差値上位に来ることが多く人気が高いことが分かります。また、上位5チャンネルでは、歌枠やASMRの投稿数が多く、人気で継続的に配信しやすいジャンルを中心とした活動が多いようです。
 ゲーム系の配信は、上位、下位ともに偏差値上位に入っているものはありますが、どのチャンネルも偏差値トップにはなっていません。投稿数の多さに比べてゲーム配信の人気はそこまで高くはないようです。
 また、おまけとして、チャンネル未登録者がチャンネルを開いたときに表示される動画が何か確認しました。結果としては、歌ってみたや初配信を設定しているチャンネルがが多いことが分かりました。

 それでは、上の表で人気なジャンルを配信すれば、たくさんの人に見て貰えるのか。このことついて検証していこうと思います。

 下記の表2の「偏差値トップ3該当数」では、各チャンネルの偏差値トップ3の数をジャンルごとに集計しています。
 「投稿チャンネル数」では、偏差値に関係なく、各チャンネルで該当ジャンルの投稿があれば1としています(今回集計したチャンネル数が10なので最大10になります)。
 そして「偏差値トップ3該当数」を「投稿チャンネル数」で割って割合を出し、%表記に直したのが「トップ3割合(%)」になっています。

 これを見ると、歌ってみたとASMR、記念配信が上位(再生数を稼ぎやすいジャンル)となり、歌ってみたと記念配信は投稿したチャンネル全てで偏差値トップ3に入っていることが分かります。
 歌ってみたやASMRは、好きな人が多く、繰り返し聴く人もいるので再生数が伸びやすいと考えられ、記念配信は普段配信をあまり見にこない人にもアプローチできるジャンルであると想定されます。
 また、データが膨大になり過ぎるので公開はしませんが、動画ごとの偏差値を出したところ、どのチャンネルも初配信は高くなっていました。これは、チャンネルに興味を持った人の中に一定数、初配信を見る人がいるので再生数が伸びていると考えられます。今後、配信を始める方は、初配信には特に注力した方が良いでしょう。
 表1で人気と思われた歌枠は、表2を見ると、実は人気が高いのは8チャンネル中2チャンネルで、歌枠が必ずしも人気になるわけではないことが分かります。ただし、歌枠が人気で、歌枠を中心に活動している2チャンネルはどちらも上位のチャンネルになっているので、歌に自信のある方は、歌枠を中心に活動を行ってよいと思います。
 ゲーム系のジャンルは、表2を見てもあまりパッとしない結果で、このジャンルが特に人気になりやすい、といったことはないようです。ゲーム配信をするにあたり、他の人に勝る長所がない場合、ゲーム配信一本で伸びるのは難しいでしょう。
 雑談も同様で、ただ話をしているだけでは、人気を集めるのは難しいようです。
 また、コラボも偏差値は低く、コラボ相手の視聴者に存在を知ってもらえるメリットはありますが、既にいる視聴者から求められている配信なのかは、よく考えておく必要があるでしょう。

 さて、この章の初めに、別々のチャンネルで偏差値を比べることは出来ないと説明しました。
 それではチャンネル間の比較はできないの? と気になる方もいるかと思います。結論を言うとできます。
 そのために、偏差値の代わりに変動係数という数値を用います。
 今回は、チャンネルの平均再生数から、各動画の再生数の散らばり具合を変動係数を用いて比較できるようにしています。

 表3の見方ですが、他のチャンネルと比べた時、変動係数が小さい方が動画再生数の散らばりが小さい(平均再生数から離れた再生数の動画が少ない)となります。例えば、AとBのチャンネルを比較した場合では、Aの方が再生数のバラツキが小さいということになります。
 上位5チャンネルの内、A、C、Dの3チャンネルを下位5チャンネルと比べた時、上位の3チャンネルの方が比較的変動係数が小さい、つまり再生数が安定していることが分かります。
 一方で、BとEの2チャンネルは他より明らかに変動係数が大きい、つまり他のチャンネルより動画の再生数のばらつきが大きいということが分かります。
 そして、このBとEのチャンネルは、表1から分かる通り、ASMRが一番人気のチャンネルになっています。このことから何が分かるかというと、BとEのチャンネルはASMRの再生数は高いが、他ジャンルの再生数は低い、つまりASMRを聞きにくる視聴者の多くは、他ジャンルの配信までは見ないということが分かります。
 そのため、ASMRを切っ掛けに他のジャンルの配信も見てもらうという戦略はあまり効果的ではなく、ある程度割り切って考えることも必要になってきます。
 また、よく表1を見ている方は、aのチャンネルもASMRが人気のチャンネルだと気が付くと思います。それにも関わらず変動係数が小さいのは、aの場合、ASMRの投稿数が一番多いため、チャンネルの平均再生数がASMRの平均再生数に近づいて、差が縮まっているためです。もし、ASMR以外の配信が多ければ、BやEと同様に変動係数が高くなると思われます。

 

配信でトークをしている時間

 配信の中で、伸びるVtuberと伸びないVtuberにどんな違いがあるのだろうか。トーク内容? 声質? 表情の使い方? 考えられることはいろいろとありますが、今回は統計データを基にした分析のため、最も主観の入りにくいトーク時間について集計を行いました。
 集計内容としては、上位5チャンネルと下位5チャンネルのホラーを除く最新のゲーム配信の内、最初の1時間のトーク時間を計測しています。ただし、息継ぎなどで間が空いてもトーク間が約3秒以内の場合はそのままトーク時間として集計しています。
 ちなみにホラーを除いたのは、ホラーの場合、わざと黙ることも演出として有り得るから、というのは建前で、私が怖くて見れないからです。すみません。

ゲーム配信60分の内、トークしている時間
上位5チャンネル  平均時間 49分12秒
下位5チャンネル  平均時間 38分48秒

 上位と下位のチャンネルで明確に違いが出ました。上位の方が10分以上トークの時間が長くなっていますね。
 既存の視聴者を飽きさせないためにも、初見の視聴者が声を聞かないまま去ったりしないようにする為にも、トーク時間は大切なのだと思われます。
 もし活動を頑張りたい方は、一度自分のアーカイブを見て、トーク時間を計測してみるのもいいかもしれません。


サムネイルの工夫

 再生数を伸ばすには、動画を再生したくなるようサムネイルを工夫することが大切です。
 ここでは、そんなサムネイルにどれくらい力を入れているのか調査した結果を記載しています。

 まず、上位5チャンネルと下位5チャンネルの各チャンネルで、最新動画30本の内、一致するサムネイルがどれだけあるか調査しました。

最新動画30本のサムネ一致
上位5チャンネル  一致数平均 2.6本
           一致率平均 8.7%
下位5チャンネル  一致数平均 5.8本
           一致率平均 19.3%

 上位5チャンネルは、動画30本の内、平均して2.6本が同じサムネイル、下位5チャンネルは、平均して5.8本が同じサムネイルになっていました。
 上位のチャンネルの方が、動画ごとにサムネイルを変更している割合が高く、伸びているVtuberほどサムネイル作成に力を入れているのが分かります。

 続いて、サムネイルの周りの囲い線の有無について集計しました。サムネイルを囲うのは、サムネイルを目立たせやすくしたり、引き締めたりする効果があると聞きますが、どれくらい使われているのでしょうか。
 今回は、四方を囲ったものと、映画の様に上下を切り取ったり線を入れたりしたものを囲い線有りとして計測しています。
 サムネイルの一致率と同様に、上位と下位5チャンネルの最新動画30本を調査しました。

最新動画30本のサムネ囲い線の有無
上位5チャンネル  囲い線有りの平均 13.6本
           有りの平均割合  45.3%
下位5チャンネル  囲い線有りの平均 12.2本
           有りの平均割合  40.7%

 サムネイルの囲い線の有無に大きな差はありませんでした。線で囲う技法は有名なようで、どのチャンネルでも一定数利用されていました。


終わりに

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
 このシリーズを書くにあたって、誰もが読みやすいよう「分かりやすく、簡潔に」をモットーにして書こうと決めていたのですが、どうしてもYouTube関係は調査したい内容が多く、長くなってしまいました。
 利用している分析方法も、極力、だれもが聞いたことのある方法を使うようにしていたのですが、中には馴染みのないものもあると思うので、ご不明なところなどあれば聞いてください。

 今回は、更新までかなり間が空いてしまいました。お仕事と推しごとはやめられなかったのですが、CivVはやめたので、次回、3部作の最後はもう少し早く更新できると思います。できたらいいな。

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