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海に眠るダイヤモンド第3話 「ガラス瓶の行方」

ジャックのペンダント

第三話で描かれたガラス瓶のエピソードが胸を打った。鞍馬天狗からあのガラス瓶を受け取った時から朝子は鉄平に恋心を抱いた。幼少期の頃だから少なく見積もっても10年以上鉄平のことを思い続けていたことになる。物語の着想を得たという映画「タイタニック」でいえば、ジャックのペンダントに匹敵するほどのキーアイテムとなる。朝子は中卒で食堂で働き始め、一番近くで、そしてずっと見ておきたくて食堂の入口入って左片隅にあの鞍馬天狗のガラス瓶を飾った。

キーアイテムとなる鞍馬天狗のガラス瓶は2018年にはどこへいった?端島でまた台風が来て机から落ちて割れてしまったのか?それともいづみの部屋に大切に飾られているのか?それともー。

2018年 久しぶりの端島

第一話いづみは玲央と出会い、共に長崎へ行く。端島には上陸することは出来ずに帰路に着く。いづみは自宅で久しぶりに見た端島に思いを馳せた、ハンモックに揺られ端島音頭を口ずさみながら。

その時、抱いていたのは荒木鉄平のノート。
鞍馬天狗のガラス瓶ではない。

そしてガラス瓶をいづみが所持しているのであれば、あの頃と同じように部屋に飾るだろうが、いづみの部屋にガラス瓶は見当たらない。以上のことから読み解けるのは2018年のいづみは鞍馬天狗のガラス瓶を持っていないということ。

いづみの回想

そして第一話いづみが長崎に行った時の回想は以下の2点。
・銀座食堂で島民が食べたちゃんぽん
・百合子のメダイのネックレス

10年以上大切にしていた鞍馬天狗のガラス瓶は出てこない。

いづみは久しぶりに長崎に行っても、端島を見ても(恐らく現在所持していない)鞍馬天狗のガラス瓶を思うことはなかったということ。

ガラス瓶の行方

「人生変えたくないか」そのセリフを聞いたのはリナだけじゃない。
久しぶりに飲む水の味を覚えているのは百合子だけじゃない。
中ノ島の桜を見ることができたのは朝子だけじゃない。
「いらん、こいでよか」
鞍馬天狗のガラス瓶は朝子と鉄平だけしか知らない。
百合子でもなく、リナでもなく、ガラス瓶の行方は朝子だけしか知らない。

ロジックを積み重ね導き出される答えはいづみは朝子ではないということ。
だから端島に思いを馳せる時に抱きしめてるのが荒木鉄平のノートだった。
だから長崎と端島に行ったときに回想したのはちゃんぽんとネックレスだった。
鞍馬天狗のガラス瓶ではなく。
だからいづみは朝子ではない。

ガラス瓶の行方よりも最大の疑問は回想で使用されたこのネックレスのシーンがまだ本編では描写されていないこと。
あの時投げたネックレスはその時がくれば百合子に返却されるのだろう。百合子の背景を知っていて、それができるのは一人だけ。

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