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ある暑い一日
「今日も暑いなぁ。なんだか年々暑くなってる気がするぞ……」
滝のように流れ、顎から滴る汗を首に掛けた手ぬぐいで拭いながら男は言った。
じりじりと灼けるよう日差しを放つ太陽を背に男は空を見上げる。
畑で農作業をしていた男はあまりの暑さから木陰に避難する。
最近は休むための木陰を作る木も少なくなってきた。
そこへ近所に住む男がやってきて、休憩中の男に声をかける。
「やあ、今日も暑いな。どうだい、調子は」
「あぁ、お前か。こうも暑いと作業もはかどらないよ。1時間も水分を摂らずにいたら干からびちまうよ」
「そうだよなぁ。年々暑くなってるもんな。『温暖化現象』っていうらしいぞ。村長が言っていたよ」
「そうなのか……何とかならないものかねぇ」
休憩中の男は軽くなった水筒の残りの水を飲み干し、最後の一滴を舌を出して受け止めながら言う。
「それがさ、なんでも都には『ナージャ様』って神様がいて、その神様は天気を操る神様らしいんだ。最近の異常な暑さに農作物も育ちにくいし、何とかしてもらえないか陳情に行くことになったらしいぞ」
近所の男は遠く離れたヤンシャオの都がある方向を指差しながら言う。
「そうなのか。確かに最近かんかん照りの日が続いてるもんな。たまには雨でも降ってくれないとな。何か貢物でも用意するのかな?」
「あぁ。あそこの森に住んでいた、でっかい虎の毛皮を持って行こうって話だ」
「あのでかい虎を?最近森が減って食べ物を探しに村を荒らしに来るようになって困ってるって言ってたもんな。でもあの虎を狩れる奴がこの村にいるかね?」
「それが最近この村に立ち寄ったえらく強い男が、昨日『一宿一飯の礼に』と虎を狩ってくれたって言うんだ。凄いよな!今なら村長の家に行くとそのでかい虎の毛皮が見られるらしいぞ。その強い男もいるらしい。」
「そうなのか!行ってみるか。どんなバケモンみたいな男なのかな」
「なんかおとぎ話の斉天大聖みたいな恰好をしているらしいぞ。記念に手形でももらうか」
「そうだな!行ってみよう」
二人は農作業を放り出し村長の家に向かう。
森の方からは昨夜の狩りのために放たれた火の煙が立ち上っていた。
愚かな人間達は森を減らし続けている。
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