クロレラを暗所培養で5-ALAアミノレブリン酸を安価につくる
追記
なんと中村先生が、例の自宅培養していた医師の方に詳細を聞いて、培養の仕方を解説しています。光合成細菌と呼んでいるのはRhodobacter sphaeroidesという細菌のCR-720株でした。
培養は楽しいと思うので私は挑戦しますけど、出来たものを食べるのは培養に腕に自信がある方が自己責任ですよー。コンタミしてないか確認できる顕微鏡とかもあったほうがいいし。
あとこちらに広島大学から博士論文があり、培養の詳細がわかります。クリックじゃなく新しいタブで開かないとダウンロードしないかも。
http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hkg/file/12015/20180511154459/doctor_ToruTanaka.pdf
この話、知ってはいたんだけどまさかこの細菌Rhodobacter sphaeroides CR-720が食用にもそのままつかえるなんて思いもよらなかったから、ALAを分離精製するのめんどいなーとおもってクロレラに行ったんですよね。中村先生の記事みたら、例のお医者さんは、これをそのまま食べてるみたいでびっくりしたわwww煮沸消毒くらいしているのだろうか。。謎。ALAは小さい分子だから煮沸消毒くらいでは分解しないと思うから私なら煮るw
市販品は日本限定の上、お高い
SBIファーマ、alavitaなどから販売されている5-ALAことアミノレブリン酸ですが、とにかく高いw
価格 11,880円 (税込)
・・・・・笑
そして、海外では薬としては存在するみたいですが、サプリメントとしてはまったく販売されていなそう。なので、自宅で培養でもして抽出しようかなーと考え始めました。
中村先生宛のとある医師からの手紙にこうあります。
ぬあにーそんな食べられるような菌が5-ALAを合成してくれるんですかー?と目からウロコ。しかし、よく考えるとミトコンドリアの機能に不可欠なヘムの前駆体であるために、どんな動物、植物でも多少なら期待できるだろう。
イカダモの仲間がアミノレブリン酸を産生
そこでちょっと調べてみた。
こちらの論文にこのようにある。
Scenedesmus obliquusという緑藻を明るい環境で培養するとALAが産生されるのですね。Scenedesmusというのはイカダモ?
ウィキにあった論文をみてみると
緑藻類のミトコンドリアには2種類の系統があるかもしれないというデータがあり、それを確認するためにScenedesmus obliquusのゲノムをみてみたら
二種類の中間に位置しているようで、二系統あるのは進化の過程かも?という内容。つまり、5-ALAの産生がScenedesmus obliquusで特に多いのかよく分からないが、もしミトコンドリアの進化に関係してるならこの種である事が割と大事かもしれない。
しかし日本の田んぼなどにいるScenedesmusつまりイカダモの類にはobliquusが含まれているか謎。ウィキみるかぎりリストになかった。入手が難しいかも。自分で単離するのもつらい。
クロレラの暗所従属栄養培養が有力
健康によさそうな緑藻類といえば、クロレラを思いつくよね。
ちょいと調べたら、佐々木ら(1995年)「クロレラの暗所従属栄養培養による5-アミノレブリン酸の生産」という論文を見つけた。ALAの元になるのはグリシンだとよくみるけど、この論文ではグルコースとグルタミン酸を入れた培地を暗所において培養すると5-ALAが出来るのだそうだ。なるほど光があるとクロロフィルの合成につかわれてしまうのかな。
こちらが同じ論文。で、アブストが下。
グルコースを含む好気性の培地でクロレラを暗所で培養し、グルタミン酸とレブリン酸を加えると5-ALAの産生が増えるとある。レブリン酸の入手は一般には難しそうだが、残りは健康食品レベルだから入手できそうだな。
暗所で培養することで分解酵素の活性を40%まで下げることができるのだそうだ。レブリン酸抜きでもまあ大丈夫かも。レブリン酸をいれる理由は競合阻害効果があるからアミノレブリン酸の分解酵素が阻害されるから。でも暗所にするだけである程度阻害できるから家でやるにはこれでいいか。でもミュータントだからそうなっただけかも知れないからレブリン酸大事というオチもあり得る。
この本によるとレブリン酸も頑張れば入手可能かもなー。
レブリン酸は動物のエサに配合されるようだから、毒性は少ないだろう。
シュークロスを塩酸で煮るとレブリン酸が出来るらしいが、やりたくないなw
結論は、グルタミン酸とグラニュー糖を溶かした水にクロレラいれて暗所に置いておくと、培養液に5-ALAが滲み出てくるはずだから、乾燥濃縮して飲んだら良くない?
アマゾンに生クロレラ売ってた。
夏休みの課題に培養してみよう
追記)自分で培養したクロレラを食べるのは、お子さんには無理でしょうけど、楽しいと思うので培養して顕微鏡で観察してみたりなんかはオススメ出来ます。5-ALAを本気でつくるなら、追記した中村先生のレシピの方が良いでしょう。自己責任で。
ペットボトルにカルキ抜きした水でみたし、1%の濃度からLEDで光を宛てて培養しているこのブログでは4−5日で死滅してしまうようだ。
しかし、コメントにあったこの論文船橋ら1998年
とあるのでグルコースを入れるのがミソなのではないか。これがないと水に溶け込む二酸化炭素が主な炭素源になるので、その供給量が追いつかなくなった時点で死に始めるのではないか。
あと培養液にFe溶液があるので、これも大事そう。クロロフィルの合成に鉄が必要みたい。これは磁石で砂をグリグリちゃって集めたら砂鉄が得られるからまずはそれで試して、酸化鉄じゃ吸収が悪いなら植物の肥料用の鉄溶液が園芸店にある(下記参照)。
あとは酸素の量が大事だから上のブログのように2Lもの培養液だと酸素要求量が多く、失敗しやすいかもしれない。佐々木ら1995年のも50mlの培養液が入った容量500mlのフラスコをシェーカーで揺すって培養するのが一番結果がよく、200mlの培養液に増やしたらALAの産生が減った。そしてこれは酸素不足のせいらしい。
pHは6から8の間で大丈夫そうだから、気にしなくて良い。つまり天日に2日ほど晒してカルキ抜きした水に砂鉄を適当に入れて、グラニュー糖(35 g/L)と味の素(グルタミン酸30mM, 4.5g/L)を溶かし、水槽用の空気ポンプで酸素を供給してやればなんとかなるんじゃないかな。これを暗所に設置するのだ。これでだめなら窒素源として尿素が必要ともあるから園芸用品で窒素買ってくればいいのかな。レブリン酸がなくとも暗所で分解酵素の活性を40%まで下げることができるから、なんとかなるだろう。
グルタミン酸は147.130 g·mol−1だから30 mMというと30/1000 mol/L x 147 g/mol = 4.413 g/L
味の素はグルタミン酸ナトリウム 97.5%だそうなので4.5 g/Lでいいでしょう。グルタミン酸ナトリウムはいわゆるMSGで、欧米では毒として認知されています。中華料理店症候群という中毒があるので食べすぎると毒なんですね。日本人には馴染み深いし、料理には少量しか使わないので問題ないと思うけど、4.5 g/Lとは割と多いです。これが全部5-ALAになるなら良いですが、変換率は研究室に送らないとわからないので、ここは注意が必要ですね。
鉄イオンに関してはFe溶液が1-2ml/Lってある。Fe溶液というのが鉄標準溶液だとすると1000 mg/l Feだから1リットルにつき1グラムの鉄が解けている。それを1−2mlだから1−2mgでいいのか。それでも砂鉄は酸化鉄で水に溶けにくいからだめかも。沢山砂鉄いれてだめなら溶液を買わないとダメだな。
ここで紹介されている鉄力あくあF10という溶液が植物にとって吸収しやすい二価鉄の溶液になっているから便利そうだ。
しかし培養液を加熱して濃縮して飲むことを考えているので、園芸用品よりも鉄分のサプリメントの方がいいね。上のはイオングループだから中国製品・資本不買運動の私は買わないけども、参考までに。1粒内容量230mgって書いてるから十分過ぎる量。
因みに純鉄を家で作ろうとおもったら、こういう感じのバイオガス発生器を作成して、でてきた熱々の一酸化炭素COを砂鉄を入れた容器をくぐらせる感じでたたら製鉄の塩梅でいけるんじゃないかな。
要はストーブの上にゆるく密閉して酸素不足しているチャンバー内に木を入れて炭を作る要領で、副産物として一酸化炭素が出てくるからそれを管で誘導してやる。
因みにこのチャネルはリオネル・メッシが物理実験を解説してくれるチャネルとして私の中でマイブームになっているチャネルで面白いです。
参考写真 リオネル・メッシ
純鉄になれば溶かすのは多分簡単だろう。
ユーグレナ(ミドリムシ)にも高濃度で含まれる
こっちはどうやって培養したらいいのか。簡単ならこっちにしてもいいが。