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『まりす盟友』ふたりの主人公についての駄文
跡原 理とは、無知な男です。
『まりす盟友』の重役を受け持っているというのに、
自分には何の適性も持ち合わせていない──
そう思い込んで 城輪町の危機を前に踏みとどまっている。
たくさんの人、仲間、盟友から気にかけられている(あるいはそういうフリをして隠れて牙を研いでいる奴等の)認識も無しに、
平穏に見える日々を過ごしている。
彼にしか出せない、有り余る程の優しさを
他者にばっかり分け与えて、終いには…
いやはや全く、困った主人公です。
例えば、あの娘──六郷 カヤコが。
周囲の人々を幸せにできる カリスマ性と自信に満ち溢れた
キラキラ輝く少女だとしたら。
『まりす盟友』のもう1人の主人公にふさわしいとは決して言えないでしょう。
無力な彼女にしかない強さ、
口下手な彼女にしか語れない愛、
生き辛さを感じる彼女にしか説けない生き様が、
本作には詰まっているはず。
ほら、城輪町にも月が昇ったよ。
2021.01.02
ギランバ・ビガ(Gillanba-Biga)