【地方競馬研究】地方競馬種牡馬成績【2024年6月ONLY】
種牡馬ランキング
2024年6月単月版
1年通してのサイヤーランキングは定期的に発表されていますが、単月の成績などは発表される機会が少ないので、定期的に地方競馬版ですがサイヤーランキングを集計しようかと思います。
地方競馬レース数
2024年6月は地方競馬全体で1240レースが実施されています。
今月は岩手と兵庫(園田)での施行回数が多い競馬場です。
大井競馬も新馬戦などの実施が多いですね。
サイヤーランキング
地方競馬全体
地方競馬全体でみると
26勝で1位タイが3頭
・ホッコータルマエ
・パイロ
・アジアエクスプレス
となりました。
アジアエクスプレスは通年で見ても勝ち数で全体2位、収得賞金でも全体5位と好成績を収めています。
2023年が勝ち数7位、収得賞金12位だったことを考えると今年度の去年を上回る成績を残すことができそうです。
アジアエクスプレスはピューロマジックなど芝短距離で走る産駒も出してはいますが、本領はダート競馬。
中央ダートだと23年の福島民友Cを勝ったワールドタキオンなどがいます。
現在の種付け料は2024年120万円のようですが、シニスターミニスターが高齢になってきていますので"ポスト"シニスターミニスターとしての期待がかかります。
出走数ランキング
同時に出走数も見ていきましょう。
ここでもホッコータルマエが少し抜けた1位。
地方競馬でホッコータルマエ産駒が各所で出走し、また勝ち星を重ねている証拠になります。
またフリオーソ、エスポワールシチーなど地方交流重賞で活躍した種牡馬も多くの産駒を走らせているようです。
面白いところだとマジェスティックウォリアーも勝ち星は少ないながら出走数は多く、今後も注目していきたいところですね。
各競馬場ごとのサイアーランキング
門別競馬場
トップは7勝のモーニン。
おそらく新馬戦の影響だと思いますが、新種牡馬のモーニンが勝利数でTOPとなりました。
2位以下はパイロ、アジアエクスプレス、ダノンレジェンドなど全体傾向と同様の種牡馬が並びました。
アジアエクスプレスやディープブリランテなどは出走数に比較して勝利数や複勝数が多いようですね。
ディープブリランテは日本ダービー勝ち馬ですが産駒は余り活躍できておらず、2023年で種牡馬を引退した様子です。
岩手競馬
岩手競馬は少しニュアンスの違うラインナップが並んでいます。
1位はトゥザワールド。
勝率30%に複勝率65%は非常に優秀な成績です。
トゥザワールドは有馬記念2着、皐月賞2着などG1戦線で活躍した牡馬です。
母はエリザベス女王杯の勝ち馬であるトゥザヴィクトリーで、兄弟にはトゥザグローリー、トーセンビクトリーなど重賞馬が並ぶ良血です。
そんな期待を背負ったトゥザワールドは中央ではあまり目立った結果を残していませんが、地方競馬では大井 優駿スプリント勝ち馬のワールドリング、船橋 東京湾C勝ち馬のマコトロクサノホコなど複数の重賞馬を輩出しています。
南関東競馬で活躍できる産駒を出していることから能力の高い競走馬を輩出はできているようで、全体的に地方競馬向き、小回り向きの産駒を出しやすいのだろうと想定しています。
2位タイにはミッキーアイルがいます。
ミッキーアイルは中央でも活躍馬を出しており、有名なところだとナムラクレア、メイケイエール、ウィリアムバローズなど比較的マイル以下短距離に強い産駒を輩出しています。
地方競馬におけるAPIやCPIが高いわけではないですが、総合して芝マイルに強い優秀な種牡馬だと思います。
盛岡は芝などもありますが、ビッグアーサーなどもランクインしていることから芝短距離で活躍した競走馬の産駒が活躍しやすい土壌なのかもしれません。
南関東競馬
顔ぶれ=全体、と言っていいほど顔ぶれに差はありません。
やはり交流重賞で活躍した、フリオーソやエスポワールシチー、コパノリッキーなどの産駒が活躍しています。
勝率で見ればホッコータルマエなどはやや苦戦気味なのかもしれません。
勝利数など馬の能力で馬主経済を支えたい場合は、やはり上記の産駒を中心に持ち馬の整理をした方がよいでしょう。
金沢競馬
金沢は少しレース数が少ないのですが、ホッコータルマエやパイロといったおなじみの種牡馬を除くと、カレンブラックヒルやゴールドシップ、ドゥラメンテが挙げられます。
カレンブラックヒルはNHKマイルCの勝ち馬で他にも毎日王冠や小倉大賞典など1600m~1800mで活躍しました。
今年で種牡馬生活9年目になりますが、地方競馬での活躍馬が多くオヌシナニモノ、スマイルミーシャ、ナムラマホーホなどがおります。
カレンブラックヒルは地方全体で見ると6月サイアーランキングで12位、通年だと21位となっており、地方競馬界隈としては中堅どころの種牡馬となっております。
セリなどにも上場しますが、基本的に高額馬になることはありませんので、そういった意味合いでも地方競馬向きかなと思います。
たとえば北海道オータムセールで100万円での落札だったコンバットスプーンは3歳現在で16戦2勝。
すでにセリ代金は賄えています。
つづいてはゴールドシップ、G1を6勝した白いアレです。
代表産駒としてはオークス馬のユーバーレーベン、目黒記念勝ち馬のウインキートス、毎日杯勝ち馬のメイショウタバルや、障害王者のマイネルグロンなど、一癖ある産駒を取り揃えています。
マイルから中距離まで一通りこなせるような産駒が出ており、一部では受胎率が高いなど様々な面で話題になっています。
一方ダートだと3勝クラス雅Sを勝ったマリオマッハーなどはおりますが、活躍馬っぽい活躍馬を出している印象はなく、どちらかというと芝よりの傾向を示すようです。
ゴールドシップ産駒の特徴については下記noteが面白かったので勝手に掲載しておきます
笠松競馬
笠松サイアーにもカレンブラックヒルが乗ってきています。
またタリスマニックやマクフィなども入ってきます。
金沢-笠松は競走馬の循環もありますので、そういった意味合いでサイアーランキングも似てきますね。
タリスマニックはあまり活躍馬をだしているイメージがないと思いますが、実際に重賞戦線でのAEIは通算0.26と活躍できていません。
ただシンプルな地方ダート戦だけに限れば1.00前後をキープしており、決して悪い種牡馬ではありません。
タリスマニックの平均出走数は2020年産駒で約14走。
これは種牡馬の平均とほぼほぼ一緒で、勝ち数も2勝くらいなので、こちらも一般的。
特別特徴のある種牡馬ではありませんが、特別避けるような種牡馬でもない、という感じでしょう。
名古屋競馬
名古屋はサトノクラウン産駒が29走と他の2倍くらい出走しています。
何故なんでしょうね、、、
サトノクラウンは地方競馬では活躍微妙。
AEIも0.50前後のはずです。
とはいえまだデビューしたばかりなので何とも言えませんが、タスティエーラくらいしか中央で活躍した馬を出していませんし、地方競馬勝率も微妙、出走数も多い方ではない。。。
現在の肌馬が芝馬なのだと思いますが、それでも地方競馬での活躍は難しそうな気がします。
ダノンレジェンドなどは全体でも7位、門別でも活躍しており、比較的広域で活躍できる種牡馬のようです。
兵庫競馬
兵庫競馬の場合はエイシンヒカリがTOPになりました。
23走も出走して11回の複勝というのも好成績です。
エイシンヒカリはAEIとしては0.75前後と振るわない成績で、重賞だと猶更低い結果となります。
地方競馬でも南部駒賞のエイシンケプラーなどは出しておりますが、とても優秀な種牡馬というわけではありません。
出走数などが特別優秀な種牡馬でもないので、この傾向が続くかどうかが観察のポイントになりそうです。
高知競馬
高知の場合はロードカナロアが圧倒的な出走数をベースにトップです。
高知競馬の場合はストロングリターンやパドトロワという出走数少なめで、勝利数を挙げている固め打ちタイプが多いのかもしれません。
ストロングリターンはやはりAEIなどの成績はかなり微妙、0.50前後で地方での重賞馬も多くはありません。
種付け料も2023年の50万円で、引退してしまっているようです。
ただしストロングリターンは3歳から4歳くらいで出走数を稼ぐようで、3歳時の9.4走、4歳時の16走は平均を超えております。
おそらく5歳から6歳くらいで体が弱ってくる傾向がありそうですが、そのタイミングで楽天サラブレッドセールなどに上場するなどして売り抜けるような方法もあるかもしれません。
パドトロワはストロングリターンよりも更にAEIなどの成績は悲惨です。
ただしJBCスプリント勝ち馬のダンシングプリンスを輩出した実績はあり、そういった意味合いではストロングリターンよりは一発のある種牡馬と言えるでしょう。
ただしパドトロワは平均よりも産駒の出走数は少ない傾向にあり、3歳時の平均は4.18走とほとんど走れていません。
晩成傾向なのかもしれませんが、引退時期はおそらく7歳前後と長めだとは思いますが、とても長いわけでも無く、出走手当などで稼いでいく戦略は厳しいかもしれません。
佐賀競馬
佐賀ではマインドユアビスケッツとエイシンフラッシュがトップとなっております。
マインドユアビスケッツは現在デビューしているのが3世代目、AEIは0.78前後を推移しております。
ただし産駒にはデルマソトガケなどダートの重賞戦線で活躍している産駒が居り、肌馬の品質が均質化すればコンスタントに勝ち馬を輩出するようになるのではないでしょうか。
エイシンフラッシュは産駒としてはオニャンコポンやヴェラアズールなどが居り、中央の芝戦線でも活躍できています。
ただし地方競馬に限るとAEIでは平均0.60前後と特別活躍するような産駒を出しているわけではありません。
ただしエイシンフラッシュも先に記載したストロングリターン産駒のように早い段階から出走数を稼ぐことができ、3歳で9走、4歳で16.3走、5歳で22.7走と平均を上回る成績を残します。
おそらく5歳ころが体力の限界で、それ以上は余り出走数が伸びないので、6歳ごろの引退が多そうです。
この辺りはストロングリターンと同じような戦略が取れるかもしれないですね。
ちょっと長くなりましたので、距離別の振り返りは別の記事で。