【地方競馬研究】ロージズインメイ[2024年版]
地方競馬研究 #6
ロージズインメイを覚えていますか。
ロージズインメイ(Roses in May)はアメリカの競走馬でアメリカとしては遅めの3歳デビュー馬です。
現役時代は、2004年にホイットニーH、2005年にドバイワールドカップを勝利しております。
2005年のドバイワールドカップは日本からはアジュディミツオーが出走しています。
2006年に日本で種牡馬入り。
ビッグレッドファームで繋養されています。
主な産駒には下記がいます。
・ドリームバレンチノ(JBC スプリント, 東京盃, シルクロードS)
・コスモオオゾラ(弥生賞)
・ローズプリンセスダム(レパードS)
全体的にダートで短距離からマイルまでが主戦場となっています。
ローズプリンセスダムは楽天サラブレッドセールで売却され、2024年現在は高知で走っています。
母父ロージズインメイ
近年では母父ロージズインメイとしてゴールドシップとのニックスで有名になっています。
Googleで「金薔薇配合」などと検索すると幾つか結果が出てきます。
チラッと目についた記事をいくつか紹介しておきます。
ゴールドシップ以外にもスクリーンヒーローやステイゴールド自体との相性も悪くは無いようです。
地方競馬でも父ゴールドシップ×母父ロージズインメイだと母ブーケドロゼブルーの産駒が活躍しており
・コスモブライヤー(地方13戦7勝)
・シルバーニードル(地方22戦4勝)
・ブルーローズシップ(地方14戦2勝)
が出てきております。
父ロージズインメイ産駒の成績
地方競馬における成績で整理すると、基本的に1着率から3着率まで平均的な成績にはなっています。
地方競馬では種牡馬ごとに整理すると、おおよそ1着~3着のそれぞれの平均値が約10%前後に着地することが多いです。
種牡馬入りした2006年以降の通算成績は
2531-2594-2623-2622-2650/25139
となっており、
2023年は
137-128-132-162-136/1466
となっています。
2024年の6月22日までの成績だと
40-32-50-67-55/539
とやや苦戦(1着率が約7%まで低下)しているようです。
産駒の特徴
ロージズインメイ産駒の特徴は全体と比較してかなりタフネスなことでしょう。
グラフで示してみても一目瞭然で、1年での出走回数は他の種牡馬の平均と比較しても10%~20%ほど多く、また長く活躍する傾向があるので5年にわたって出走手当を稼いでくれる可能性が高い種牡馬となっています。
それでいて勝率自体は平均的なので、出走回数が多いことに伴って勝利回数も他の平均と比較すると1勝から2勝ほど高い傾向にあります。
産駒としてみてみると
・ハナウタマジリ(99戦7勝):6歳
・ブルーホープ(81戦3勝):6歳
・ミスバイキング(64戦0勝):5歳
・ゴールドタイタン(61戦3勝):6歳
とタフな馬も多く、
・ミスフレンド(27戦0勝)
などはまだ3歳馬となっています。
距離別の傾向
ロージズインメイ産駒ですが、先に紹介した代表産駒の通り、長距離よりも短距離からマイル当たりが得意距離になりそうです。
どこも飛びぬけて良い悪いといった傾向はありませんが、距離が延びると着の取りこぼしが増えてくるようです。
地方競馬の場合、上位のクラスや重症になると中距離レースが増えてきますので、地方競馬の上位陣で大活躍、みたいなところは期待しにくいかもしれません。
競馬場ごとの傾向
競馬場ごとにみると面白いことに得意不得意がはっきりしています。
得意な競馬場
・盛岡競馬場
・水沢競馬場
苦手な競馬場
・大井競馬場
・園田競馬場
・姫路競馬場
この組み合わせにいまいち共通項が見つけられませんが、どちらかというとレベルの高い競馬場での活躍が難しい、といったところでしょうか。
地方競馬の中では大井競馬や園田競馬場は賞金額も高く、比較的レベルの高い競走馬が揃いやすいエリアになります。
岩手競馬の細かい距離成績を見てみます。
成績がいいとは言ってもやはり1800m以上の成績はガクっと落ち込みます。
基本的には短距離から1600mくらいが限界なのだと思います。
ロージズインメイ産駒の各競馬場毎出走数
せっかくなので2020年以降のロージズインメイ産駒の出走数を見てみましょう。
結果としては兵庫及び高知競馬での出走がメイン。ついで大井競馬や佐賀競馬、岩手競馬となっています。
先の結果でロージズインメイ産駒の勝率や複勝率という観点では岩手競馬が優勢で兵庫や大井競馬が苦手という結果を見ると、少々意外な感じもします。
ロージズインメイ自体がビッグレッドファームに繋養されており、確かにそれなりの種付け料を誇ってはいたので、その結果賞金額の高いところに集中しているのかもしれませんが、勝率を追い求めると岩手競馬の方が良いかもしれません。
ただ出走手当などを鑑みれば大井競馬や兵庫競馬の水準の高さから低クラスでも走ってくれば問題ないという発想も有り得ますね。
高知競馬なども最近は賞金水準が上がり、出走手当も上昇していますので、同様の理由であれば納得のいく結果ではあります。
先ほどの結果で全体で見れば門別競馬での出走数が少なかった為、門別競馬のメインである2歳馬及び南関東で出走が多い3歳馬に限って集計をとってみました。
結果としては2歳馬は門別や高知、岩手での出走が多く、3歳では名古屋や兵庫が多い結果となりました。
2歳に関しては新馬戦の多い門別、おそらく補助金が充実している兵庫、新馬を積極的に集めている高知といったところで、競馬場の特性に合わせて入厩させているものと思われます。
3歳に関してはなぜ名古屋が多いのか分かりかねますが、門別にいたであろう2歳馬は南関東やほかの地域に転厩するのがデファクトスタンダードとして機能しているようです。
楽天サラブレッドセールの転厩先の情報などを持ってはいないのですが、体感的に中央→サラオク→名古屋、といった転厩フローは比較的多いようなイメージを持っているので、この辺りは別にデータを追ってみると良いのかもしれません。
例)中央未勝利→サラオク→名古屋競馬
・ラトレラ(めちゃくちゃ面白い血統だったので京サラ経由で出資していました。なんでサラオクで売ったの。。。)
・ピエナブリックス
後継種牡馬
後継種牡馬はおそらくドリームバレンチノのみ。
そしてあまり人気は無いようです。
ただ地方競馬での成績はそこまで悪いわけではないようなので、細々とでも構わないので継続的に面白い産駒を輩出してほしいものです。
地方競馬で頑張っているドリームバレンチノ産駒としては
・グランリージェント(地方16戦4勝):4歳
・コロディア(地方28戦3勝):5歳
等がいます。
まだ産駒数が多くないのでサンプル数的に何ともですが、
出走数の割には勝利数が平均よりも多め、といった感じになりそうです。
ただ出走数を稼ぐタイプではなさそうなので、長い活躍を期待するのであれば母父あたりでタフネス系の種牡馬(面白いところだとバトルプランなど)を入れると良いかもしれません。
相性がよさそうな母父
ここで成績に絞って相性のよさそうな母父を上記に挙げてみました。
母父マンハッタンカフェはロージズインメイに限らず母父として活躍しており、中央競馬では
・タスティエーラ(23年日本ダービー)
・テーオーケインズ(21年チャンピオンズC)
・テーオーロイヤル(24年天皇賞春)
・メイショウハリオ(23年かしわ記念)
とマイルから長距離、芝もダートも一流馬を輩出しています。
ロージズインメイとの組み合わせでは中央や地方で重賞戦線で活躍するような競走馬は多くありませんが、勝率という観点では他より高く、低クラスで定期的に勝利を挙げてくれる、ある意味で馬主孝行な馬となっているようです。
母父ゴールドアリュールもここ最近出てきた馬ですが勝率が高い傾向にあります。
ロージズインメイに限らず母父ゴールドアリュールとなっている競走馬としては
・オメガパフューム(19年~21年東京大賞典)
・ラムジェット(24年東京ダービー競争)
・アンモシエラ(24年ブルーバードC)
などとダートクラシックで活躍する競走馬を生み出しています。
そして一発が大きいところでいくと母父マイネルラヴが挙げられます。
マイネルラヴ自体は父としては
・コスモフォーチュン(06年北九州記念)
・ポアゾンブラック(17年道営スプリント)
等がいますが、母父としては
・ドリームバレンチノ(14年JBCスプリント)☆父ロージズインメイ
・ウインカーネリアン(22年関屋記念)
・ウインムート(19年さきたま杯)☆ロージズインメイ
・キングハート(18年オーシャンS)
・ラブカンプー(20年CBC賞)
と主に短距離路線で多くの活躍馬を出しています。
上記のように大活躍した産駒も出しつつ、勝率は13%と平均を超え、複勝率も36%とこちらも平均を超えており、基本的に安定的にかつ一発のある面白い配合であるようです。
ニックスと呼ばれるほどの組み合わせにはなりませんが、今後も継続的にウォッチしていきたいところですね。
馬体重とロージズインメイ産駒の傾向
基本的に地方競馬は馬格が大きい方が有利と言われています。
ロージズインメイ産駒もその傾向を引き継ぎ、基本的には馬格が大きい方が勝率&複勝率ともに良いという傾向になりました。
過去地方競馬に出走したロージズインメイ産駒の平均馬体重は468kg(中央値466kg)ですので、小柄とまでは言いませんが馬格の大きな産駒を生むわけではないので、そのあたりは見極めが必要かもしれません。
勝率ではなく出走数に着目してみると、基本的には平均体重周辺が最大値になるような傾向が見えました。
520kg以上になると勝率が高くなると引き換えに出走数が大幅に減ってしまうので、そういった意味で種牡馬ごとの平均体重=最も健康的な体重、と読み替えてもいいのかもしれません。
また牝馬に限れば500kgなど雄大な馬体でなければ、比較的タフに出走を続けることができるようです。
以前の記事でも比較的牝馬の方が出走数を稼ぎやすいという話もしましたが、データ的には整合性が取れているように感じています。
馬主孝行している馬
最後にセリで200万円以下で活躍しているロージズインメイ産駒を紹介します。
1頭目はクラウドノイズ(牡3)。
兵庫競馬を主戦場にしていますが、既に6勝を挙げ総賞金も2345万円を記録しています。
セプテンバーセールで143万円という安値を考えれば十分な獲得賞金額です。
2頭目はジャックアバンティ(牡7)。
サマーセールで162万円とサマーセールとしてはかなりの低額となっています。
南関東を中心に出走し、64戦4勝。
総賞金額は1427万円ですが、出走手当など考えると強烈にプラス収支のはずです。
また本格化してきたのが今年の7歳になってきてから。
もしかすると後3年くらいは大井競馬場で活躍してくれるかもしれません。
まとめ
5000文字弱にわたってロージズインメイ産駒について整理していきました。
結論として地方競馬で走らせるには出走数の観点と一発の観点で非常に面白く、とりわけ母父マイネルラヴとの組み合わせでは中央競馬での活躍馬も出せる可能性すらございます。
私自身は馬主資格を持っておりませんが、今後も継続的にウォッチしていきたいものです。
地方競馬で活躍する血統などを研究しています。
個人の趣味の範疇を超えるものではありませんが、本記事が皆様の馬主/一口馬主ライフに貢献できれば幸いです。
またデータ自体は取りためていますので、何等かリクエストがあればお気軽にコメントまで。