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ピカソを超えて〜デイヴィット・ホックニー展

東京都現代美術館で開催されているデイヴィッド・ホックニー展。

86歳ともあって、ひとりの人生の歴史がそこにはあった。

初期の作品は、反骨精神溢れたテーマであったり、
画法の模索をすべく、その時代でホットな画風を取り入れてみたり、ひたむきに絵画表現と向き合う様子が見られた。

時代の先駆者だったピカソも亡くなり、そのあともホックニーは進化し続けた。

1番驚いたのは、「ノルマンディーの12か月」という作品。

全長90mの作品

iPadで描かれたその作品は、全長90mで、絵巻のようにぐるっと回廊しながら鑑賞するスタイルだった。

それはパリのオランジュリー美術館のモネの部屋を彷彿とさせた。

歩く目線の先に景色が広がり、さながらその絵の中を歩いているような感覚は、感動的な経験である。

ホックニーも、その画家人生の中で、モネなどのインスピレーションを取り込みながら、今を生きる作家として、iPadという新しい技法に辿り着いたのだろう。ホックニーの今を生きる表現が、惜しみなく溢れ出ていた。

ホックニーは「水しぶき」というテーマを繰り返し描いている

デジタルアートと美術館は相性が悪いと個人的には思っていたけれど、ホックニーのこの作品は、見事にそれらが融合されていた。

描く喜び、
新しい技法を見つける喜び、
人生を生きる喜び、
ホックニーが水辺で遊んでいるその水しぶきを、こちらもパシャパシャ浴びているような感覚だった。

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