鉄骨梁が入る木造の利点と欠点
本日は、質問が多かった鉄骨梁が入る木造の耐震診断・構造設計についてです。木造は、一般的に木造だけで作った方が問題が少ないです。固いもの(鉄骨)と軟らかいもの(木造)を混ぜた場合、軟らかいものから壊れるのはなんとなくわかると思うのですが、鉄骨を使った方が強いと思い込んでいる人も多いです(汗)。特に木造部分と鉄骨部分の接合部には神経を使います。
まあ、通常の古い住宅での木造と鉄骨梁の併用は、スパンが飛んだ部分の梁を鉄骨梁に置き換えるのがメインなので、それほど大きなトラブルが発生するわけではありません。ただ
・木は長年使い続けると痩せる。
・木造は鉄骨接続のボルトが緩みやすい
・木造内の鉄骨は、熱橋などになりやすい
・仕口が欠点になりやすい
・木造の金物などが取りつけにくい
などの欠点が考えられます。特に仕口が壊れると建物が倒壊する可能性が高く、設計時・施工時には慎重に行う必要があります。まためり込んだり痩せたりするので、荷重には余裕を持たせて設計する必要があります。
先日、診断したところは、木造柱に鉄骨柱を取りつける部分のボルトが緩んでいました。理由は、鉄骨梁にかかる荷重が重く木造柱に鉄骨がめり込み、結果ボルトが緩んでいるようになっていました。現状大きな問題に発展する可能性は少ない案件ですが、更に進行しないように柱を立て、梁が下がらないように補強を行いました。鉄骨梁自体がおかしくなるケースは今までありませんでした。取りつけ部分劣化・不良がほとんどです。設計する場合は要注意です。
逆に、うまく使えば木造だけでやるよりスパンを飛ばせますので、より自由な構造を実現できる可能性があります。設計・施工が難しくなるので出来れば避けたいですが、木造だけで実現が難しい場合はやってみる価値はあります。
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