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2025年の改正建築基準法のN値計算法 その5 筋かいの補正

前回、平屋の計算をみました。簡単ですね。これが2階になったとき、理論的には簡単なのですが難しい問題が残っています。なので後回しです。今回は筋かいの補正についてです。

↑その1から読みたい方はこちら

45×90の筋かいは、壁倍率2倍です。実は筋かいに関しては紆余曲折があります。大きなものは、筋かい金物の有無で、昭和56年の新耐震施行時は、筋かい金物がなくても2倍の壁倍率でした。そして平成12年改正で筋かい金物が必須になっても2倍です。これを耐震診断の一般診断法の基準耐力で比較すると金物なしは、2.6kN/m、金物ありは、3.2kNです。ずいぶん違いますね。実際は柱頭柱脚の金物の有無でも耐力が違うので非常に差があります。

さらに筋かいは、向きによって耐力が異なります。通常の壁量計算ではどちらにつけても倍率は一緒です。しかし引張り筋かいと圧縮筋かいで強さが違うのです。いくら筋かい金物で端部を固定しても、45mm程度の厚みの筋かいでは、圧縮と引張りで強度が変わってくるのです。倍率ベースで考えると、圧縮(柱頭に筋かいが取り付く向き)の場合、2.5倍、引張り(柱頭に筋かいが取り付かない向き)の場合、1.5倍と、なんとかなり倍率が異なるのです。

N値計算の際に、引張りと圧縮では大幅に引き抜き力が変わってくるのです。


実際にみていきましょう。上の軸組で、一番左の柱は引張りと圧縮どちらでしょうか?柱頭に筋かいが取り付いていないので、引張りですね。柱頭にないということは柱脚に筋かいがあることになり、その筋かいが左側の足元を引っ張っている状態です。

次に左から2番目の柱についてです。この柱は柱頭に筋かいがついていますね。なので圧縮です。つっかえ棒で支えているように見えますね。

前回、前々回でN値計算のA1は、壁倍率の差と描きました。左から2番目の柱は、左側が筋かいなので2倍、右側が耐力がないので0倍なので、A1は2となるはずです。しかし筋かいは、圧縮と引張りで倍率が違うので補正する必要があります。この場合は圧縮なので2.5ですね。2.5と0なので、A1は2.5となります。一番左側の柱は引張りなので、1.5と0なので、A1は1.5となります。


では、この場合の真ん中の柱はどうなるでしょうか?左側の壁も右側の壁も圧縮ですね?2.5-2.5=0ということで、この真ん中の柱は引き抜きが発生しないことになります。


これも考え方が一緒で引張りと引張りで倍率が同じなので0です。これは面材でも同じで、同一倍率の壁が連続するときは、その間の壁は引き抜きがなくなります。

筋かいが入ると急に複雑になりますが、基本は一緒です。その柱にかかるA1を出せばいいのです。A1は左右の壁倍率の差ですから、方向を間違えずに計算していけばいいのです。

次回はいよいよ2階建てのN値計算に入ります。


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