コンクリートのかぶりの重要性
耐震診断、特定建築物定期調査、建物相談で、地味に多いのが、コンクリートの爆裂の相談。爆裂とは、鉄筋コンクリートに入っている鉄筋が、錆びて外側のコンクリートが割れてしまう現象。通常、鉄筋はコンクリートで覆われている状態では保護されて錆びないのですが、コンクリートの被覆が薄く内部に水が侵入してしまうと徐々に鉄筋が錆びて、その周りが膨張してコンクリートを破壊していきます。
防ぐためには、鉄筋のかぶり(表面から鉄筋までの厚み)を適切に確保し、コンクリートをきちんと隙間なく充填することが重要です。しかし古い建物では、施工がずさんで、うまくかぶりがとれていない建物が多くあります。
私が調査したもので、ひどかったものは、あるビジネスホテル。新耐震基準なのにもかかわらず、いたるところで爆裂が起きていました。タイル張りの部分はタイルが剥がれ、タイルがない部分はかなり、コンクリートの破片が落ちていました。人がたくさん入る建物のため、補修か使用停止を進言。最終的にはオーナーがホテルの廃業を決めました。
ある程度範囲が限定的で早期であれば、補修も可能です。できるだけ早期に補修しましょう。しかし補修しても次から次に出てくるようだと厳しいです。
木造の基礎の古いものは鉄筋が入っていないので爆裂は起きませんが、比較的新しい平成初期の木造住宅では、基礎厚が12センチくらいしかないので、発生するかもしれません。特に早期の木造3階建ては、基礎の縦筋にフックがついているので、明らかにかぶり厚が足りないものもあります。そこに施工不良があったら・・・と考えると怖いですね。それらの建築時期からこれから出てくるかもしれません。ある日突然出始めることがあるので、注意が必要です。
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