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Q 鉄筋コンクリート造は半永久的にもつの?

A.もちません。

鉄筋コンクリート造は頑丈そうに見えますが、JASS5では計画共用期間に対し、耐久設計基準強度がどの程度必要か?を定めているが、一般的な鉄筋コンクリート造に使われるFC24N/mm2では、65年の計画共用期間となります。まあ普通に施工すれば、これ以上はもつような感じを設計者としては感じているが、意外ともたないです。

計画共用期間とは、コンクリートに重大な劣化を生じない期間です。もちろんきちんと施工されている必要があります。それぞれ級があり、短期は30年、標準は65年、長期は100年、超長期は200年となります。それぞれコンクリートの基準強度が定められています。木造基礎でよく利用されていた18N程度は、短期、つまり30年程度は安心とみることができます。書籍などを読んでも木造住宅の基礎の寿命は30年から60年とみていることから、だいたいそんなものなのかもしれません。もっとも古い木造住宅は鉄筋が入っておらず、強度不足ではありますが、鉄筋よりコンクリートのほうが寿命が長いこともあり、実際は、維持出来ているような感覚を受けてしまいます(強度は弱いです)。

まあ、30年と考えると、上部木造住宅の寿命の目安(人や考え方に違いがあるが)の間は維持出来ると考えられます。しかし若い頃、例えば30歳で持ち家を買って、80歳まで生きて、ずっと暮らしたいと考えるといささか不安が残ります。それでは、鉄筋コンクリート造で、標準だと65年。これならなんとかなりそうです。しかし親子2代以上・・・と考えると不安が残ります。

そんなわけで、木造住宅にしろ、鉄筋コンクリート造にしろ、鉄骨造にしろ(鉄骨造も基礎は鉄筋コンクリート造です)、建物寿命はその程度と考えておいて、それ以上は余力と考えた方が良いでしょう。そしてその寿命を延ばすためには、鉄筋コンクリート造の部分を長寿命化したほうが良いということがわかります。具体的にはコンクリートの耐久設計基準強度をあげ、鉄筋のかぶり厚を余裕をもたせ、正しく施工することです。最近では200年もたせようというビルに挑戦しているところもあります。

では鉄筋コンクリート造以外の部分を長寿命化するには?木造の場合は、劣化したところを交換、補修していけば、法隆寺というわけにはいきませんが、長寿命化することができます。木造住宅の長期優良住宅では、修繕計画まで含めて規格化されています。鉄骨造も表面の塗装など点検整備をしていけば寿命は延びます。また立地も重要で、やはり海岸部は寿命が短くなりますので、その対策を講じる必要があります。

実際の日本では、建物自体の耐用年数より短い間隔で建物の寿命を終えることが多いようです。これは、建物の耐久性ではなく、日本人のライフスタイルで、建て替えのサイクルが短いからです。しかし近年、人間の寿命が長くなり、耐用年数以上に暮らしてきている高齢者も増えてきています。またライフスタイルの変化、景気の動向で、今後、1回住み始めたら今までよりも長く住み続けるスタイルが定着するかもしれません。そのため木造にしろ鉄骨造にしろ、鉄筋コンクリート造にしろ、耐用年数を長くする設計・施工が重要になると思います。


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