一般診断法と精密診断法の違い
こんにちは。今日はよく聞かれる通常の木造2階建て住宅の木造耐震診断の違いについてです。2012年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」の耐震診断の方式のこととして書いています。
より精密に診断するために精密診断法を選んだ方が良い、という主張をされる方がいますが、個人的にはより精密診断法が建物の耐震性を知る上で本当に有効か?は疑問です。そもそも一般診断法は、耐震補強の必要性の判定を目的にしているのに対し、精密診断法は、補強の必要性が高いものについて、必要性の最終的な診断することを目的とし、補強設計に必要な調査や、補強後の診断することも目的の一つとしています。
本来、精密診断法は、建築士など専門家が行うもので、解体調査を伴うものです。実際に建っている建物の詳細なんて、解体しなければわかりません。その兆候などは小屋裏などからはわかるかもしれませんが、詳細はわからないと思います。結局、診断法が違えど、調査できる箇所は限られており、ほぼ同じような感じの調査になってしまうため、本格的に解体を伴う調査を行わない限り、それほど大きな違いはないのかな~などと感じてしまいます。もちろん診断者のレベル、意識によって大きな差はでます。
ただし、補強を前提とした場合は、話が違ってきます。一般診断法は現在の建物の耐震性を知るためには有用ですが、補強設計には向きません。一方の精密診断法は、耐震性を知るだけでは、上記の通り一般診断法とそれほど違いがあるわけではありません。ただし補強設計しやすい仕様となっています。個人的には既存の建物の強度を調べつつ、耐震補強に必要な材料を集めるのが精密診断法だと思っています。
というわけで初めから耐震補強を行う前提であれば、精密診断法を選んでおいたほうが得策!というわけです。もちろん一般診断法から補強もできますが、個人的には効果がある補強策を作るのが難しい上、外観の補修だけで耐震性が上がってしまうため、あまり一般診断法で補強を行いたくありません。だからといって一般診断法をやってから精密診断法というのも、非効率すぎます。
ただ単に、興味で、自宅がどれくらいの強度かを知りたい場合は、一般診断法で十分です。ついでに外装などのチェックも行ってくれます。ただ、補強前提と考えた場合は、非解体であっても精密診断法で診断してもらったほうが良いと思います。また診断する側も、それほど手間が変わるわけでもないので、精密診断法を習得して実施したほうが良いと思います。
ただし、築年数が浅く外観などの劣化が少ない違法木造3階建て(構造計算通りに施工されていない等)などは、一般診断法でも良いと思います。精密でも出来ることは少ないですし、劣化に関する項目で評点を上げることもできませんので。また補強がそもそも可能か?ということもありますので・・・。また新築にするか、リフォームにするか?などを判断する場合、あえて価格的に安価で結論が早い一般診断法で、その判断材料にするなど、一般診断法でも利用価値があるシーンは意外と多いです。
目的に応じて、診断法を選べば良いと思いますが、補強を前提として診断を依頼する場合は、精密診断法を選んでおいた方が一般的には良いよ、とここでは結論つけさせていただきます。
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