城中さんが思う「業界の課題と今後変わるべきこと」とは
【筆者】
本日は城中さんが業界全体やこの業界で働く方への想いや課題、そしてその中で御社はどのような取組みをされてらっしゃるのか、について深堀をさせていただきたいと思います。
業界の課題や今後変わっていくべき、変わったらいいなと強く思うことはどのようなことでしょうか?
【城中さん】
まず、業界全体に言えることですが、”当たり前”と考えているルールが変わるべき、と考えています。
大手ゼネコンが元請となり、そこから一次下請、二次下請、、、、と多重下請け構造が一般化してしまっていますが、そこに大きな課題があると考えています。
【筆者】
なるほど。
それはどのような問題でしょうか?
【城中さん】
多重下請けの構造は、一見工事の分業ができており、効率的、合理的に見える一方で、実際に下請けとなる会社の売上は下請けとなればなるほど下がっていってしまう傾向にあります。
つまり、現場で工事にあたる現場監督や職人さんのお給料もそれに伴って、削減していかなければならず、職人さんの仕事に見合った給料が支払われなかったり、現場監督も派遣の方を使わざるをえなかったりと、現場の方々のモチベーションが上がるような仕組みを作ることが難しいのが現状です。
それが続くとどのようなことが起こるかわかりますか?
【筆者】
現場に関わる皆さんの離職などでしょうか?
【城中さん】
その通りです。
すごく悪い言い方をすれば、せっかく素晴らしい仕事をしてくれている職人さんが、正当な評価を受けることができないままモチベーションが下がる、やる気がなくなる、それを要因として職人不足が加速し、更に現場はひっ迫するため、お給料は上がらないのにやるべき仕事が増えるという負のスパイラルに陥ってしまいます。
【筆者】
確かにそうですね。。。
その中でも御社は革新的な取組みをされていらっしゃると思いますが、仕組みについて詳しく教えていただいてもよろしいでしょうか。
【城中さん】
ズバリ、重複下請けが無く中間の業者がいない為、受注~完工までを一気通貫で行うことができる点が大きいです。
つまり、当社の従業員のみで現場での仕事を完結することにより、無駄なコストやコミュニケーションを省き、スピード感を持って完工できること、従業員には仕事に応じた正当で充分な評価、お給料を支払うことを可能にしています。
やはり、自分の仕事に責任と誇りを持って取り組むこと、それに対して正当なお給料を受けとること、そこから自己成長を感じ、更にやる気を出してもらうことのサイクルと仕組みをしっかりと構築することが、社長である私の役目と考えているのです。
【筆者】
素晴らしい取組みですね!!
業界の当たり前を変えることはそう簡単なことではないと思うのですが、
どのようにそれを実現するに至ったのでしょうか?
【城中さん】
やはり一番は「企業にとって最も大切な従業員をいかに大切にするか」「みんなに力を発揮してもらうか」、それを突き詰めて考えた結果だと考えています。
世のため人のため、お客様のためとは言いますが、やはり会社にとって一番大切なのは社員です。
社員がやる気を持ちながら仕事をし、成長してさらに力を発揮できるようになる、それに対して正当な給料を支払うことのできない経営者は失格だとも思っています。
当社では、職人も自らの技術的な仕事のみを覚えるのではなく、管理や見積、受注や計画、工程表の作成等も含めて仕事を覚えることのできるチャンスを与えるようにしています。
専門分野のみではなく、多方面の業務を経験することで自らの成長や可能性を信じることを促進し、能力向上を図ることができる機会を与えていきたいと考えているためです。
更にそれを明確化し、次なる目標が立てやすくなるように、査定表の見直しを通じてスキルや能力の可視化を進めています。
今年の4月に賃金の改正を行ったこともあり、そのような取り組みを通して、当社の社員には仕事を通じて人生をさらに豊かにしていってほしいと強く思います。
仕事の取り方についても、今の当社の能力に見合った仕事を取り、社員がやりがいを持って働きながら、お客様にご満足いただける分の仕事のみを受注するようにしています。
ただ規模を大きくすればよいというものではなく、働きを認めていただき、お客様から求め続けられることの方がよほど大切だと考えているためです。
そのため、私は売上目標や利益目標は考えたことがありません。
売上は後からついてくるし、感動を作り続けることで自然と相応に仕事が増えてくると考えているからです。
【筆者】
ありがとうございます!!
本当に素晴らしい取り組みと仕組みで、御社の従業員の皆様が羨ましくさえ思えました!
本日も大変貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございます。
城中さんの想いと御社の成長の秘密に触れ、大変勉強になりました。