【高圧ガス甲種化学】私が実践した勉強法
こんにちは、しろもです。前回の記事
【受験体験記】高圧ガス製造保安責任者甲種化学|しろも
で高圧ガス甲種化学を受験したことお伝えしました。
今回は、私しろもが甲種化学を受験するにあたってどのような勉強法を実践したのかについて簡単にお伝えしようと思います!更に詳細な勉強法はまた別記事にする予定なので、よろしければそちらも参考にしてください🐹(まだ合格発表前なのに調子に乗って記事を書くことをお許しください。法令の自己採点は9割とれていたのでマークミスさえなければたぶん大丈夫かと…)
ちなみに私の場合は学識と保安管理技術に関しては検定受験組なので、国試は法令のみでした。国試3科目1発受験される方は、参考程度にご覧ください。
学識
まずは甲種化学の最難関、学識です。学識は前回の記事でも書きましたが、完全記述試験です。試験時間は120分、大問6つから構成されており、6割以上で合格です。大学入試2次試験の化学、もしくは大学の定期試験の化学をイメージしていただければわかるかと思います。
さあこの最難関学識、どんな画期的でセンセーショナルな勉強法を教えてくれるんだろうと、アーニャよろしくわくわく!状態の皆様に悲報です。そんな勉強法はございません。笑
私はひたすらコツコツ勉強タイプなので、マジでコツコツやっただけです。しかし、同時に効率的にやりたいタイプですので、最小限の勉強で確実に合格できるような勉強法となります。
(MBTIに詳しい方なら、私がESFJといえば伝わるでしょう。笑)
まずは皆さん、高圧ガス保安協会から販売されている以下の参考書を購入してください。
①高圧ガス保安技術 (甲種化学・機械講習テキスト)
→公式テキスト(学識、保安管理、共通テキスト)
②よくわかる計算問題の解き方 -高圧ガス甲種資格者への近道-
→学識の計算問題特化の公式問題集
③高圧ガス製造保安責任者 甲種化学・機械 試験問題集
→直近5年分の過去問集(学識、保安管理、法令、共通過去問)
この3冊は必需品です。必ず用意してください。
ただし、①②に関しては最新の版でなくて大丈夫です。よく改版されていますがメインの内容は同じです。協会のは高価なのでメルカリなどで安いのを買っても問題ありません。一方で③の過去問は最新のものが好ましいです。出題傾向が微妙に変わったりするので。
さて、甲種化学の出題内容はおよそ以下の通りです。
第一問 状態方程式、気体や液体の性質
第二問 気体の熱力学
第三問 気体の化学反応
第四問 燃焼や爆発
第五問 気体の性質の説明
第六問 語句説明
このうち計算問題は第一問から第四問までです。
おすすめの勉強法は、①公式テキストの1.気体の一般的性質 をざっとよんでから、②計算問題集の該当箇所を解く、テキストの2.気体の熱力学 をざっと読んでから、②計算問題集の該当箇所を解く、……というやり方です。
テキストを全部読んでから問題集を解こう!と思っても最初に読んだ部分は当然忘れちゃいますよね?なので、1つの章ごとに計算問題集を解いていくことをお勧めします。そうすることで、よし、この章はもう大丈夫だ!次の章に行こう!というモチベーションにつながっていきます。
また、②計算問題集には問題ごとに検定で出題されたか、国試で出題されたか、が記載されています。余裕がある方は全部やるにこしたことはないですが、検定受験組はまず検定と書かれた問題だけを解くことをお勧めします。
というのも、検定の内容と国試の内容は微妙に難易度や出題形式に差があるので、検定のものを優先的に解くのが効率良いと思います。
計算問題はこれで終わりです。あっさりですね。。。
第五問は気体の説明です。毎年2種類のガスが出題され、その性質、用途、工業的製法、が出題されます。たとえば、令和5年度では二酸化硫黄が出題されていました。
第六問は語句説明です。テキストの計算問題の範囲に出てきた語句について4つ出題され、そのうち3つを選び説明します。たとえば令和5年度では「純物質のp-V線図の飽和液線、飽和蒸気線、臨界点」「可逆カルノーサイクルとその効率」「窒素を含む完全燃焼と不完全燃焼とその生成物」「気体の溶解度とガス吸収法」が出題されていました。
ここでみなさんの気持ちを代弁したいとおもいます。
たくさんある気体や語句なんかどれを覚えればいいんだよ!
はい、その通りです。覚えることが多すぎです。しかし安心してください!検定には事前に講習があります。コロナ前までは対面講習だったみたいですが、コロナ後はウェブ講習になりました。このウェブ講習では、パワポのスライドを使って講習を受けるのですが、右上に大きく赤字で【Check】とかいてあるスライドがいくつかあるのです。少なくとも私が受験した回は、気体の説明と語句説明はこの【Check】とかいてあるスライドから全て出題されていました!
ですので、テキストのすべての気体や語句を覚える必要はなく、【Check】とかいてあるスライドをきちんと覚えておけば、そのスライドの中から出題されると思います。ただし、【Check】とかいてあるスライドも枚数は結構多いので、きちんと勉強しなくてはなりません。
保安管理技術
保安管理技術は試験時間90分、全15問すべてマークシート形式で、6割以上で合格です。さて、甲種化学の保安管理に関する出題内容はおよそ以下の通りです(回によって若干の変動がある場合があります)。
問1 気体の性質
問2 気体の性質
問3 高圧装置用材料
問4 金属材料の腐食や防食
問5 計測機器
問6 液体の漏洩防止措置
問7 計装制御システム、安全計装
問8 事業所の安全設計や安全管理
問9 電気設備、保安電力、静電気
問10 安全装置
問11 防災設備、用役設備
問12 製造設備の運転管理
問13 誤操作防止、漏洩防止、緊急時の措置
問14 設備の検査や診断
問15 ガス置換や工事管理
問1,2は学識の延長で、様々な気体についての記述をみて正誤判定をします。ほとんどが高校(一部大学)化学の知識で戦えます。一方、問3以降はそうはいきません。問3以降は理論科学の知識ではなく実際のプラントや工場といった製造現場で必要な知識となります。例えば、このガスを扱うならこの材料だと腐食しちゃうからまずいよね、この圧力計はこの装置には向いてないな、万が一の時に取り付ける安全装置はどれが適切なんだろう、火災が発生した時の防災措置はどうすべきなのか、、、といったかんじです。
私は入社1年目のときに乙種化学を受験しましたが、その時に一番苦労したのがこの保安管理技術でした。なぜなら大学卒業したての自分には、理論的な化学の知識はあっても現場作業の知識は皆無だったからです。
逆に言えば、プラントでの経験が豊富な社会人の方は「ああ、それ知ってるよ」となる分野かもしれません。社歴が長いほどアドバンテージがあるかと思います
さて、肝心な勉強法ですが、保安管理は範囲が多すぎて全部読んでいたら途方もありません。しかも甲種化学と甲種機械で同じテキストなのにもかかわらず出題内容が全然違うので、化学受験派と機械受験派で、どこが必要な個所なのかを見極める必要があります。
おすすめ勉強法はいたってシンプルです。まず、③過去問集を使用します。過去問を見て、それに該当する箇所をテキストから見つけ出し、アンダーラインを引きます。この作業を5年分繰り返してみてください。同じ内容が出題されていれば、正の字で回数も記入するとなおよいです。
(さらに以前の過去問があれば、その分もアンダーライン引いてください。)
そうすると、テキストにはやけにアンダーラインが多い箇所が現れます。
次に、①テキストを読み進める作業に入るのですが、アンダーラインが引かれている箇所を中心に覚えていきます。さらにこの時あなたは気づくでしょう。
ここ、何回も線が引かれている!と。
線が1回引かれているところはもちろん、何回も線が引かれているところは出題頻度が高いところだとわかります。たった5年分とはいえ、何度も線を引かれている、つまりかぶって出題されている箇所が極めて多いのがこの試験の特徴なのです!
逆に、線が引かれていない箇所はさっくりと読み進め、線が引かれていない章に関してはほぼ出題されない!と考えてOKです。
私自身、この方法で最小限の勉強で保安管理に合格できました。しかも択一式で消去法も使えるため、このような勉強法でほぼ満点を取ることができました。
保安管理も講習のスライドにcheckマークがあるのですが、講習のスライドは協会の怠慢なのか化学も機械も同じ講習内容(スライドも共通)なので、機械にしか出題されない場所にもバンバンcheckがついています。
問8以降は化学も機械もだいたい同じ内容ですが、問1-7は結構問題がちがうので、checkマークの鵜呑みだけでなく、自分でアンダーラインを引いていくことをおすすめします!
法令
学識と保安管理技術は5月の検定試験で事前免除だったので、11月の国家試験は法令だけの受験でした。法令は試験時間60分、全20問すべてマークシート形式で、6割以上で合格です。なお、化学も機械も法令試験は共通です。(ちなみに乙種とは問11までが共通で問12-20が別問題なのですが、問12以降も出題内容や難易度は同程度です。)
さて、回によって若干の変動はありますが、甲種(乙種)の法令に関する出題内容はおよそ以下の通りです。
問1 高圧ガス保安法および高圧ガスの定義
問2-4 高圧ガス保安法の基礎
問5-6 容器則
問7 液石則
問8-13 コンビ則
問14-20 一般則
法令の勉強に関しては、以下のテキストを購入してください。
④高圧ガス保安法概要 甲種化学・機械、乙種化学・機械、丙種化学特別 編
協会が推奨するテキストに⑤高圧ガス保安法規集がありますが、これは法律が羅列された辞書みたいなものです。試験勉強には圧倒的不向きなので必要ありません。一方、④高圧ガス保安法概要は法令試験に特化したテキストですので必ず入手してください。こちらは法令試験で出題される必要最小限の内容をカラフルなパワポでまとめたものとなります。こちらも最新のものでなくてよいのでメルカリなどで安いものを買えばOKです笑。
始めに申し上げますが、法令の勉強は理系の人間にとって最も苦痛です。なぜなら、事前知識から導けるものはなく完全なる暗記科目だからです。保安管理でさえなんとなく事前知識から導けるものもありますが、法令に関してはお偉いさんが決めた項目をひたすら覚えるだけの作業になってしまいます。割り切ってやるしかありません。
そんな法令試験も、勉強方法は保安管理のやり方と同じです。すなわち、③過去問集をみて出題内容の個所をみつけ、④保安法概要に線を引く、です。やはり法令もほぼ毎年同じような内容が出題されているので、この戦略が極めて有効なのです。もちろん毎年数問は初見問題が出題されますが、それはみんな解けません(=いわゆる捨て問)。
辞書みたいな法規集から出題される問題なんか解けるわけないです。協会もさすがにそこはわかっているみたいで、9割以上は保安法概要からしか出題されないので安心してください。
もっと極端なことを言えば、③直近5年分の過去問集を頭に入れれば、それだけで8割程度は解けます。それくらい毎年同じような問題が出題されているのです。実際に過去問を解いてみたらたぶんわかります。
受験を終えて
以上が私しろもの勉強法になります。
私は危険物甲種も所持しているのですが、危険物甲種よりは高圧ガス甲種のほうが難しいと感じました。
しかし、受験した体感としてはちゃんと勉強すれば合格する、というレベルですので、みなさんもぜひ挑戦してみてください。
今回の記事は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!