筑波大学理工学群化学類へようこそ❕


はじめに

筑波大学理工学群化学類へようこそ❕

 本記事の読者として対象とするのは、大学の理学部化学科がどんなところか知りたい受験生、縁あって筑波大学理工学群化学類に進学しようとしている方々、そして残念ながら化学類へ進学してしまった皆さま、最後に活字中毒の紳士淑女その他です。
 



では、結論です。(前略) 化学類はやめろ。じゃあまたね~。


化学類の概要

  さて筆者は2020年度に筑波大学理工学群化学類へ進学し、この2024年度に化学類を卒業し、その大学院(修士課程)であるところの化学学位プログラムへ所属しております。化学類に興味のある皆様に、狭いながらも4年間で得た知見を還元できたらと思いこの記事を執筆しました。

 化学類についての基本的なデータは次の通りです。化学類には一般試験で20人、推薦試験で10人、総合学域群からの進学振り分け制度で10人、3年次編入で数名が入学し、全体の人数は40~50名です。留年率は8%, ストレート卒業率は88% (参考: 全学16%/81%, 理工学群17%/80%)です。大学院進学率は8割超です。
 

化学類に入学すると以下のような過ごし方を体験できます。
 
1年次. 大体の理系と同じことをする。数学と物理 (人によっては生物) と体育とか英語とか、化学の基礎とか、教養科目とかをとる。サークルに入ったりして、同学類や他学類の人と親しくなったりする期間。
2年次. 化学の授業 (数学や物理、教養をとる人も) をとる。
3年次. 一定の化学・数学・物理の科目を修得していれば3年次に進級できる。5~30枚程度の実験レポートを毎週提出しながら、期末期間では7科目くらいの試験対策に追われる。
4年次. 卒業研究 (14単位) 以外の110単位を修得していれば4年次に進級できる。4年次の初めに学生は研究室に配属される。研究室は合成 (無機・有機) 、物理化学、その他 (生物化学・分析化学・放射化学) に分類できる。3年次まであった長期休みは無くなり、週に5~6日来て実験や解析をしに来る。合成をする研究室では9-20時まで学生がいるところもある。
 

お気持ちゾーン


 僕は常々、学年が上がったら大変になるから、今のうちに遊んでおけよ~なんて後輩に放言する先輩にはなりたくないと思っていたのですが、残念ながら化学類においては、年次と学生生活の負担が正に相関するのは事実なのでしょうがない。今のうちに遊んでおけよ~と呟いておきます。
 
 化学は (僕はぜんぜん全く化学に詳しくないのですが) 、基本的に多くの時間と試行回数によって成果を得られる実験主義の学問です。化学は数学や物理と異なり、一定の理論はあるものの、やってみないとわからない博物学的な側面があります。学問の特徴からか、学生生活のいたるところで長大な拘束時間が発生し学生への負担が大きいです。
 化学という学問が本当に好きな人にとっては、化学類は非常におすすめの学類です。しかしながら高校までの化学と大学からの化学は160度違うので本当に自分が大学化学が好きで向いているのかは入学まで判断がつきません。判断がつかないまま大学院まで含めた実質6年間の修業 (3年次と4年次は就活が出来る暇さでは無いように思えます) に突入するのはリスクがデカすぎます。
 大学をレジャーとして楽しむには理系、特に理学部化学科は全くお勧めしません。他の学類と交流すると、化学類の異常さが目立ちます。例えば、平日は全て出勤の化学類に比べて、数学類や物理学類は研究室に集う日は1週間に1回であったり、卒業研究の提出が3月半ばである化学類に対して、文系は12月で化学類以外の理系は1月であったりします。隣の芝は青いとは言いますが、隣の芝をみているとうちの芝が茶色く枯れているように見えるのです。
 

最後に

 化学類に興味がある方も在籍中の方にも、選択肢や可能性を増やすための行動をすることをお勧めします。化学類に興味がある方は、化学類と別のなにかで進学を迷っていたらそっちに行った方がいいです。まあここまで言っても来たいなら、ぜひお越しください。化学類に在籍されている方は、化学類生活の半分を占める研究室生活のために、配属を有利にするために成績を上げておくこと、先輩や同輩とつながりを持っておくこと、研究室見学を何か所か行って質問しまくったりすることをお勧めします。なお、大学院進学時に化学類以外の外部進学を成功させた同期5人のように、ここから脱出なさるのもよいかと思います。頑張って生きてください。
 では、敬愛する化学類長の言葉をもってここに締めさせていただきます。

化学は「愛」


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