将棋指し気分で、インソール調整をおこないます。
45年生きてきて、手にしたことは
片手で数えられるほど。
専門的な医学書を繰り返し読み込み、
覚えの悪い脳みそに理屈を叩き込む
インソール調整の復習はひと段落。
次は実際の足を用いて
パッドはどの位置が適切かを
検証していきます。
まずは自分と周囲の人の足を借りて。
フットプリントで採取した
足裏の荷重分布に合わせて
インソール調整をおこないます。
ただ隙間を埋める訳ではありません。
荷重が偏っているならば
偏りを補正する位置に。
指が機能していないのならば
指の機能を促進するように。
施術した人の感想も気になるところですが
体感できるのは、やはり自分の足。
一番勉強になるのだから
時間をかけて、じっくりと。
参考資料と足を見比べ
所々押したり、さすったり。
骨格の位置と働く筋肉を見極めて
パッドを貼ります。
まるで、棋譜を見て手筋を読む
将棋指しの気分。
パッドの位置を都度変えて
狙った効果が得られれば、
「おーっ」と感嘆の声をあげてしまいます。
それもまた、
将棋の名人戦の一手に対する
感嘆の声に似ているかもしれません。
(私の場合、孤独な自作自演でありますが)
残念ながら外は雨。
工房の前を感触を確認するために
歩くことははばかられます。
はたから見れば
工房内にて、土足で足踏みしては
たまに奇声を発している。
近所の人に見られてはいけない姿。
シロクロ製靴の信頼に響きます。
カーテンと声のボリュームを下げ
ひっそりと検証を続けます。