【毎週ショートショートnote】濃い古墳

「ねえこれなんで赤にしたの？」
まみこはグループ学習班の仲間たちから厳しい追及をうけていた。担当していた古墳の絵を赤く塗ったからである。
「こんなのダメ！　すぐに描き直して！」
「はあい」

組織集団内での好き勝手など言語道断。それは小学生の時に学んだはずだった。班ポスターの犬を緑色に塗ったあの時に。

あれから３年。高校生になったまみこは美術の授業でポスターを描いていた。テーマは「地球を守ろう」。大きな両手が地球を守る構図である。しかし絵筆を動かしているうちまたもやまみこの悪癖が顔を出す。

（ああああ、このデッカイ両手を緑に塗りたいッッ）

まみこは考える。
ーーー今回はいんじゃない？　だってこれは個人の作品だ。誰にも迷惑はかからない。

「・・・」

後日まみこは美術教師武田にこってりと絞られた。挙句成績は２。

「くっそう武田～。許さんッ」

それにしても、とまみこは首をひねる。
緑と赤に塗りたくなるのはなぜだろう。

まみこは濃い色が好き。

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