リリック
「雪か、」
この子が生まれた日、手に乗った雪がスーッと溶けるのを見て「風花」と名付けた。
風花はとても小さく生まれた。
生まれてからずっと保育器で過ごし、ボクの手で抱いたのはそれから1ヶ月くらい後だった。
風花は保育器に中で必死に生きていた。
風花の動いている心臓が、バスドラみたいだと思った。
音楽で生きていくなんてもうそんな馬鹿みたいなことは言っていられない。風花のために、朋のためにちゃんと働かないと。
「修二?」
「あ、ごめん、」
「あしたライブでしょ?」
「うん」
「あたし大丈夫だからもう帰っていいよ」
「なぁ、朋」
「うん?」
「俺さ」
「うん」
「修二、あたし風花と修二と3人でいられればそれで大丈夫だよ。幸せだよ。」
「ライブ頑張って!」
外は風花が生まれた日と同じように雪が降っていた。
雪が降っているのに月が妙に綺麗で不思議だった。
「大丈夫ってな、簡単にいうなよな」
月を背景にして降る雪を見て、
リリックが降ってきた。
今年の冬はPJさんの音楽企画で楽しもう🎵🎧
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