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魔女の宅急便

先日の金曜ロードショーは魔女の宅急便でしたね!
娘たちはあんまり興味がないようでしたが、母はなんだか恋しくなって録画しておきました。
実家に行けばビデオがあるとは思うのですが、なにせ再生デッキがないのよね。
娘たち、ビデオテープって知ってるかしら。
まあ知らなくても良いでしょう。
情報の授業で少し覚えることもあるでしょうが、その程度ですからね。

そうそう、今まで書いてきた文章を読んでみたのだけれど、少し訓戒的すぎたと反省しました。
母はね、もっと適当でミーハーな人間です。
それを今から証明して見せるので、ちょっとお付き合いください。

魔女の宅急便

「魔女の宅急便」(角野栄子 著)がどんなお話か、娘たち、説明出来ますか?

半人前の魔女キキが修行のために親元を離れ、知らない土地で自分が使える魔法を使って頑張っていく……。

まあざっくり言えばそういうお話です。
ジブリの映像では印象的なエピソードや場面がたくさんあると思います。

はじめてのお仕事、カラス、ニシンのパイ、改造自転車、デッキブラシ。

でもこの本を開くときには、それらは一旦全部忘れてね。
どうしてかって?
本と映画では結構違うからです。

でもね、娘たち。
そこでがっかりしないでほしいの。
それはそれ、これはこれって割り切って楽しんでみて。

出会う前から知ってる本

冒頭の書きぶりからお気付きでしょうが、母はジブリアニメの魔女の宅急便を見てからこの本に出会いました。
最初に言っておくと、母はこのジブリの魔女の宅急便が大好きなの。
毎週のように観ていた時期もありました。
ユーミンの曲もいいし、音楽も軽やかな曲が多くて大好きなの。
街もとても綺麗だし、憧れだったの。

でもね、母は魔女の宅急便が本だったなんて全然知りませんでした。
たしか、本屋さんではじめて魔女の宅急便って本だったんだって知ったのよね。
背表紙を見てびっくりしました。
「あれ、魔女の宅急便って、そんなことあるの?」
それで手にとってまたびっくり。
キキとジジがしっかり描いてありましたし、箒にはラジオがぶらさがってます。
「やっぱりあの魔女の宅急便で合ってるんだ!」
そうやって母はこの本とは出会いました。
でも、出会う前からこのお話を知ってたんだから不思議よね。

これは小学校3年生くらいだったかな。
少しずつ難しい字も読めるようになってきて、一番本に夢中だった頃です。

その頃になると、母も好きな本と嫌いな本が出てきていました。
不思議なもので、文章に慣れてくると「すらすら読める文章」と「頑張らないと頭に入ってこない文章」が出てくるのです。
母はその辺りの好みがとても激しくて、どうしても冒頭10ページから読む気になれないって本が何冊か出てきてしまいました。
図書館で借りた本も、結局読めなかったりもしました。

だからね、「買って」ってお願いするのもとても慎重になってたの。
三回くらい本屋さんに通って、少しずつお話を読んだりしました。
これ、読めるかしらって。

そしたらね、アニメの魔女の宅急便とは全然違って驚いちゃった。
キキの性格も違うし、ジジとのやり取りも違うの。
なにがって聞かれると困ります。

でも、だから面白くなったの。
キキもジジも良く知ってるつもりだったけど、全然違う人だったんだもの。
もっとこのキキとジジのことを知りたくなって、楽しくなって、お願いして買ってもらいました。
思い出深い出会い方をした本のひとつです。

好きはそれぞれ

それから少し大人になって、本が好きな友人も増えました。
でもやっぱり、母の周りにはジブリが大好きって友人も多かったの。
そこで魔女の宅急便の話になって、私がこの本と出会った経緯を話したの。
そうしたらね、「やっぱり私は本の方が好きだな」って言い出した子がいました。
母はガッカリ。
その子は一番仲が良くて、趣味が合うと思ってた子なのよね。
だから当然、母と同じようにジブリの方が好きだと思いこんでたの。

でもね、これって身勝手な話です。
そんなのは人それぞれでいいし、お友達は母がジブリの魔女の宅急便が好きって気持ちを何一つ損ねてはいないのです。
だからね、勝手にガッカリした母だけが悪いの。

共感してもらえると嬉しいのはそのとおり。
でも、共感してもらえなかったからって拗ねるのは違うよね。

それから母も反省して、人は人、それはそれと戒めています。

本の思い出って不思議なものでね、こういうふうに傷付くこともあるの。
でもそれで終わりじゃないのが人生です。

あのシーンが好きだとかこの文章が好きだとか、そういうことを語り合えたのもそのときでした。
解散する頃には、ガッカリした気分も忘れちゃうくらい楽しい時間でした。

娘たち、覚えていてください。
どんなに馬の合うひとでも、やっぱり違う人間です。
意見が違うときは違うし、合わないときは合いません。
でもそれで全部が駄目になるわけでもありません。
そういうことを、少しでも許し、楽しめればいいなと思っています。

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