Unity6で HDRPでフォトリアル表現のセットアップ方法
先日、Unity6が全世界リリースがされました。
せっかくなのでこの機会にHDRPでフォトリアルな3D映像作品をつくりたくなり、HDRP環境のセットアップをしてみることにしました。
Unityプロジェクトの作成
Unity Hubを起動します。
「新規プロジェクト」をクリックし、新しいプロジェクトを作成します。
テンプレート選択で「High Definition RP(HDRP)」を選び、プロジェクト名と保存先を指定します。
「作成」をクリックし、プロジェクトが開くのを待ちます。
これでHDRPが有効化されたプロジェクトが作成されました。
HD Render Pipeline Wizard
プロジェクトを開くと「HD Render Pipeline Wizard」ウィンドウを確認します。
問題(プロジェクト内にHDRPに影響が出そうな問題)が検出された場合は
「Fix All」ボタンを押すとプロジェクトが修正されます。
Graphics設定値の調整
HDRPはデフォルトで高品質なグラフィック設定が適用されていますが、プロジェクトやシーンに応じて調整することが重要です。
Editメニュー → Project Settings → Graphicsタブ のScriptable Render Pipeline Settings に設定されてる「HDRenderPipelineAsset」を変更していきます。
Rendering
基本設定は初期値のままです
Decals
atlasWidthとatlasHeightを「2048」に変更
Metal and Ambient Occlusion propertiesの「ON」
Dynamic resolution
今回は初期値のままです
Lighting
LightLayersを「ON」に変更
Cookies.2D Atlas Sizeを「Cookie Resolution 512」に変更
Reflections.2D Atlas Size「Resolution 2048×2048」に変更
Reflections.maximum Cube Reflection on Screenを「32」に変更
Reflections.maximum Planar Reflection on Screenを「16」に変更
Reflections.Compress baked Reflection Probesを「ON」に変更
Sky.ReflectionSize を「Sky Resolution 512」にに変更
Shadows.shadowmaskを「OFF」に変更
Shadows.Use Contact Shadows Mediumを「OFF」に変更
Quality設定値の調整
Lighting設定
フォトリアルな表現には、現実的なライティングが不可欠です。
環境ライティングの設定
1. Sky and Fog Volumeの設定
Hierarchyウィンドウで右クリックし、Volume → Sky and Fog Volumeを追加します。
Inspectorウィンドウで、次のコンポーネントを追加します:
Visual Environment:空のタイプを設定(例えば、Physically Based Skyなど)。
HDRI Sky:HDRI画像を使用してリアルな空を表現します。
Fog:リアルな大気効果を表現するために霧を調整します。
2. Directional Light(Sun)の設定
Hierarchyウィンドウで Directional Light を選択します。
Inspectorウィンドウで、以下の設定を確認・調整します:
Intensity:光の強さを調整します。現実的なシーンでは2~5の範囲が一般的です。
Shadows:影の設定を「High」や「Ultra」に設定します。
ポストプロセッシング(Post-Processing)の適用
HDRPでフォトリアルな表現を強化するために、ポストプロセッシングエフェクトを使用します。
Hierarchyウィンドウで右クリックし、Volume → Global Volumeを追加します。
Inspectorウィンドウで次のコンポーネントを追加します:
Bloom:光のにじみを表現します。強度や閾値を調整してリアルさを増します。
Color Grading:色味やコントラストを調整します。例えば、ExposureやSaturationを微調整してシーンのトーンを決めます。
Depth of Field:カメラのフォーカスをリアルにシミュレートします。遠景をぼかすとより映画的な効果を得られます。
Ambient Occlusion:オブジェクト間の影の重なりを強調し、奥行き感を出します。
高品質なマテリアルの設定
リアルな質感を表現するためには、PBR(物理ベースレンダリング)マテリアルを使います。UnityのHDRPでは、これが標準となっています。
Projectウィンドウで右クリックし、Create → Material を選択して新しいマテリアルを作成します。
Inspectorウィンドウで、Shaderを「HDRP/Lit」に設定します。
以下の設定を調整してマテリアルの質感を決めます:
Base Map:基本のテクスチャを設定します(例:色や金属の質感など)。
Smoothness:表面の滑らかさを調整します。高い値ほど光が反射するようになります。
Normal Map:凹凸を表現するために使用します。
ライトベイクとリアルタイムGI
フォトリアルな表現には、適切なライティングの計算が重要です。HDRPでは、リアルタイムGI(Global Illumination)とベイクドライトを使ってよりリアルなライティング効果を得ることができます。
Lightingウィンドウ(Window → Rendering → Lighting)を開きます。
Realtime Global Illumination と Baked Global Illumination のオプションを有効にします。
Generate Lighting をクリックしてライティングを計算します。
シーンを調整してフォトリアルな表現を完成
HDRPとポストプロセッシングの設定が整ったら、最後にシーン全体を調整して完成させます。オブジェクトの配置、マテリアルの質感、ライティングの調整を細かく行い、最終的にフォトリアルな仕上がりを目指します。
光源の位置や反射のチェックを忘れずに。
HDRI Skyの設定によって、反射や光の感じが大きく変わるので、最適なHDRI画像を選ぶことも重要です。
まとめ
今回は、UnityのHDRPを使用してフォトリアルな表現をセットアップする基本的な流れを紹介しました。HDRPは高度なグラフィックスパイプラインであり、多くの設定が用意されていますが、基本的なライティング、マテリアル設定、ポストプロセッシングをマスターすることで、非常にリアルなグラフィックスを作成することが可能です。