恋バナでキャーキャーしたい人ばかりではないよね - 対話の部屋 Vol.1
質問箱で受け付けた人生相談を再構成してお届けするシリーズです。今回は恋愛の話を中心に。
はじめに - このシリーズは何?
先日、思いつきで質問箱のサービスを始めてみて、SNSにリンクを投稿しておきました。すると、ちょうどその直前に私の恋人のこと(遠距離で年の差があって…という話)を投稿したばかりだったためか、思いがけず恋愛相談が何通も集まりました。
これがなかなか興味深かったので、質問箱でやりとりされた内容を加筆修正して、noteにまとめてみることにします。今回がその1回目です。
こういう相談というのは、まず質問者さんがその人自身の個別の状況の話を送るわけですが、この個別性というものは回答する側にも同様に存在します。私も私自身の価値観に基づいて、個人的な事情やたまたま自分が経験した一回限りのエピソードなどを交えて答えることになります。
「一般的に正しい綺麗な答え」というのは、かえって誰の心も動かさないものです。そのため、このnoteにまとめるときも「話を一般化して、もっと広い読者に当てはまるような内容にしようか」とは考えませんでした。
生成AIからの出力をコピペしたような一般論ではなく、生身の人間が悩みながら考えてきたこととして、何かみなさんの心に届くものがあればいいなと思っています。
では、お楽しみください。
Q1. 恋愛感情を持ったことがない
A1: 流行りの恋愛ゲームは置いといていいんじゃないでしょうか
これはおそらく私自身もマイノリティの側に属していて、私は恋愛感情というものを感覚として知らない人間です。
たまに「友達みたいなパートナーが理想」なんて言われますよね。それが「理想的なもの(=普通に得ようと思っても簡単に得られないもの)」として語られるのは、たぶん世間の人たちって、友情や親愛の情とは異質の感覚や動機をベースにして「恋愛」というゲームをやっているんですよね……。ここでゲームという言葉を使うのは、私はそこにやや軽薄なニュアンスを感じてしまうからです。
で、そういう分析は置いといて、質問者さんへの回答を。「友達を好きなのと恋愛感情はどう違うか」は私にもわからないので、「どうしたらいいでしょうか」に読み替えて答えますね。
私の観察する限りだと、いかにもな恋愛ゲームを通過せずに大切なパートナーを見つけている人というのは、世間に多くはないものの、すごく少ないわけでもないと思っています。私自身もですし、私の友達にも実際ちらほらいます。だからたぶん質問者さんも、異性というよりもあくまで人間対人間として深く特別な関係を築ける相手に、いつか出会えるのではないでしょうか。
もちろん「心配しなくて大丈夫」と言われたところでモヤモヤが消えるわけではないし、100%確実なんて言えるわけないし、私もその疎外感や先々への不安といったものはよくわかるのですが、これは気休めで適当言っているわけではないです。
恋愛に限らず、人間関係って「実際に始めてみないとわからない」面が大いにあると思うので、白黒つかない感情の中であえて一歩踏み出す決断が大切という場面も、あるにはあります。ただ、世間からの視線と圧力に折れて、好きでもない相手と付き合うようなことはしなくていいと思います。
ちなみに私自身の実体験から来るおすすめは、趣味等で年数をかけてネット・リアル問わず地道に交友関係を広げて、いつか発生するであろう偶然の出会いを待つことです。私がお付き合いしている人と今のような感じになったのも、元々社交的でないのにそうして人付き合い全般に慣れたことと、たまたま恋愛とは何も関係のない「哲学が好き」という共通項があったからでした。
この共通項はもちろん幸運な偶然ですが、趣味を増やす・深めるというのはその確率を少しばかり上げますし、そうした出会いがすぐには起こらないにしても、普段の人付き合いの経験が無駄になるということはまずありません。
長くなりましたが、質問者さんによい出会いが訪れることを願っています。
Q2. 年の差で告白するのっておかしい?
A2: アウトなケースもあるよね! でもふつうは何も問題ないよ!
先に一般論の話をすると、これは何も問題ない場合と明確にアウトな場合と両方ありますね。
たとえば自分が20代後半で家庭教師をしていて、相手が17の高校生の子だとしたら、これは相手が未成年であるという一点で明らかにアウトで、仮に向こう側から惚れられたとしてもはっきりと断るか、最低でも相手が成人になるまでは応じないというのが分別のある大人の対応であるはずです。
これは判断力と責任能力の問題、つまり未成年が「自分で考えて決めた、本人の意思だ」と言っても、大人と同じようには何かを契約できないのと同じ話だと思っています。特に恋愛なんて、思い込み次第で簡単に暴走できる領域なので……。
私は基本的に「人の個人的なことにあれこれ口出しすべきでない」というスタンスを取っているのですが、この相手が若すぎるというケースに限れば、周囲の反対があるのは自然で真っ当な感覚によるもののように思います。
なぜかというと、それくらいの年代ってまだ経験と思索によって人格の中身が作られている途中も途中なので(進捗2〜3割くらい?)、大人の側の理解力と価値観で「人間性が好きだ」という状況は発生し得ないはずだからなんですね。これを「素直で純粋無垢なところが…」などと言うのはちょっとどうにかしているのでは、と感じてしまいます。
で、ここまでは極端なケースの話でしたが、そういった例外を除けば、年の差カップルって取り立てて気にするようなことでもないかな、っていうのが私自身の考え方です。
ただ、常識的な感覚として、お友達時点での年上側からの勘違いには注意すべきでしょうね〜。つまり、人として慕ってくれてるだけなのに、恋愛的に見られてるんじゃないかと受け取ってしまうアレです。なんだかんだで、年が離れていれば恋愛関係が発生する確率は低くなるというのが事実だと思うので。
なので、質問者さんの問いかけに答えると、年上から告白するのがおかしいとまでは言いませんが、好意の質(異性的に好きなのか、人間的に好きなのか)について、言葉のやりとりで少しずつ慎重に確認しながら進めるのが吉だと思います。告白は「90%まで確認できたものを100%にするための最終確認」みたいなイメージですね。
私自身の話でも、年齢差2桁でガチ恋されるとは正直信じられなかったので、こちらから何か積極的に行くとか告白するというわけではなく、お付き合いするようになる前の恋人氏にはだいぶもどかしい思いをさせてしまっただろうなあという気がします。ほんと、実っても実らなくても人間関係って難しいものです。
質問者さんも何か思い当たることがあってこの質問をされたのかどうかはわかりませんが、何かいいことがありますように。
Q3. ケンカと仲直りについて
A3: それも理解の過程なので、ちゃんとやりましょう
性格や価値観がまったく同じ人間って存在しませんよね。そうである以上、どれだけ気の合う仲良しであったとしても、恋人のような距離感になって喧嘩が発生しないというのは不自然な状態だと個人的には思っています。
もしないとしたら、それは信頼関係の欠如や対話スキルの不足によって「必要な喧嘩ができていない」、つまりコミュニケーション不全の表れというわけですね。
なので、私たちも喧嘩っぽくなることはときどき普通にあるし、そこに年齢差は特に関係ないのかなと思います。そういうことはどのカップルにもあって当然だし、必要なのはそれを「なくすこと」ではなく、「上手にできるようになること」なのではないでしょうか。
次に、仲直りをどうするかという点ですが、私は個人的に次のような感じにしています。
自分の考えていることや感じたことは、ひと息ついて冷静になってから、改めて言葉で伝える(心の中は相手から見えないので、伝わるように努力するということを怠らない)
同様に、相手の思考と感情も言葉として聞かせてもらう(同上、読み取ろうとする努力を怠らない)
人の感情について、正しいとか間違いだとかジャッジしない
ごめんなさいとありがとうはちゃんと言う(当たり前すぎる!)
次からは自分は何を気をつけるか、相手にはどうしてほしいかということを一緒に考えて共有する
最後に、ちょうど少し前に私たちも喧嘩っぽくなったときがあったので、そのときのことを書いておきます。このとき私が相手に提案したのは、何か傷ついたり怒りを感じたときには「自分を主語にして、論理よりもむしろ感情について語ろう」ということでした。
たとえばの話、「あなたに○○と言われて、私はこう解釈した。そこで私はこう感じたので悲しかった」と順番に伝えられたら、それは心の動きとして理解と共感が可能になりそうですよね。でも「あなたの○○は間違っている」と言ってしまうと、これはもう戦争するしかなくない? という感じになるはずです。これはいけません。
ちなみに、私の恋人氏はこの辺の話し合いをきちんとしてくれる人なので、いわゆる陽キャ的なコミュ力よりも、こういうスキルのほうが人としてよほど大事だよな〜なんて思ったりもします。
おしまいだよ!
今回のVol.1の内容はここまでです! 恋愛に限らず、みなさんも何か普段の生活で悩んでいることがあったら、質問箱に送ってみてくださいね〜。
ではまた次回!
関連記事
「よりよく生きる」の記事から
友達ってサイコー、友達を増やしてウキウキ人生を送ろう (2023.11.17)
会社で隣の席だった子が大切な友達になった話 (2023.11.26)
人を愛することに、感情の強さはあまり関係がない (2024.1.6)
「ショートエッセイ」の記事から
おばけと恋人 (2024.6.24)
仲良しあの子と非ユークリッド幾何学 (2024.6.26)
人間関係の空席と満席 (2024.8.26)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?