涙のWアンコール〜乃木坂46 全ツ24Final〜
◾️Wアンコールからが本当のアンコール
乃木坂46 真夏の全国ツアー2024が先日4日の神宮球場公演Finalをもって全日程無事に終了しました。
何から書こうか迷うくらい、今回は"沁みる"ライブでした。
ダブルアンコールかかった瞬間は今思い出しても鳥肌がたつ、、、なぎにもらい泣きした人はたくさんいたと思う。僕もその一人。全ツのダブルアンコールは多分、久々なんじゃないか。乃木詩終わって照明が明転してからのコールは千秋楽公演のお約束みたいになっているけれど、あれは会場中の乃木オタの暗黙の了解による一種の団体芸みたいなものだと思う。あんなに彼女たちを呼んだことは無いってぐらいに、懇願するように、お願いだからもう少しだけ、という気持ちを込めて精一杯を贈る。本当に「本気で」コールする。
初めて千秋楽に来たと思しき人たちが、帰り支度をやめて、何かを察し始めて、会場全体が熱を帯びていくあの感じ。もちろん過去にはいくらコールしてもダブルアンコールが発生しなかったこともあったが、今回は祈りが通じた。
声枯れたもんな。
泣きながらなぎが出てきて、あんなに楽しそうに嬉しそうに、チートデイをもう一度、歌ってくれる。ライブ冒頭の披露時と違って、コールは自由になる。一緒に歌うもよし、推しを呼び続けるもよし。この瞬間に立ち会いたくて、ファンは必死についていく。これが千秋楽公演よ。
今回の全ツでは、アンコールの前に、てれさとあーやがサブステに上がってコールの練習という一種のイベントをやってくれました。
アンコールの声が小さい!もはや出てくるのが当たり前と思ってませんか?帰っちゃうよー!
大阪も名古屋も東京も同様のイベントが発生したので、アンコールの前フリとしてあらかじめプログラムに入っていた。ここまでは一種の予定調和かもしれません。
大方のライブにおいて、アンコールは予定の内。ただ、その先は本当に予定に無いと聞いたことがあります。
ダブルアンコールからが、本当のアンコール。我々の力量と愛情が試されると勝手に考えています。ステージ裏のドタバタと、多分最終判断は今野さんか、あるいは総合演出だと思うけれど、「よし、ダブルアンコール行くよ!」「どの曲やるの?」「チートデイもう一回!なぎ、行くぞ!」「こうなったらやっちゃおう!」「ぶっつけで行くよ!祭りだ祭り!自由に動いて!カメラさんも照明も良き感じに合わせて!ここから台本ありませーん!以上!」的なやり取りを想像して一人でじんと来てしまう。
職業柄、予定調和の内容は緊張と重圧の連続だと実感しています。そこには進行台本というものがあり、尺管理があり、演者の動きも入りハケの位置もタイミングもカメラワークも特効も照明も、すべて決められていて綿密なリハーサルを繰り返して、最もベストな見せ方に集約していく。本番はいわば設計図に合わせて組み上げていく壮大な建築物のようなもの。ライブは観客の目の前で生で進行していくからミスが許されない。というよりもミスがミスとして際立ってしまう。明らかにそれが予定の内容ではなく、ミスであるとはっきり分かってしまう。その中で求められたパフォーマンスを100点満点の200点で返してくるのが坂道グループです。
そうだとしても、だからこそ、それは設計図通りになってしまう。本当に楽しいのは、設計図をぶち破ったその先。台本に無い世界。そこにある圧倒的な解放と自由だろう。
大切なのは、その自由は無償で手に入るものではないということ。綿密に組まれた緻密な演出が前提としてあるから、台本がある世界があるから、無い世界が際立つ。演出プランに沿ったパフォーマンスで200点を出せない限り、演出プランに無い世界で最上のパフォーマンスができるはずはない。
だから、なぎの涙は美しかった。求められたものに応え続けたからこそ、最後の解放が待っていた。これがあの会場でできてしまうというのは、とんでもないことだと思うのです。絶対の信頼関係と、会場を埋めた、あきらめの悪い(もちろん良い意味で)ファンの熱量があって初めて成り立つ奇跡の作品だと思うのです。
なぎ、ありがとうね。
◾️セットリスト DAY1〜3
《OVERTURE〜05、09、10、15〜29の曲目は共通》
00 OVERTURE
01 チートデイ
02 太陽ノック
03 裸足でSummer
04 君に叱られた
05 ジコチューで行こう!
MC〜期別楽曲へ
《期別 DAY1》
06 熱狂の捌け口
07 ジャンピングジョーカーフラッシュ
08 僕の衝動
《期別 DAY2》
06 バンドエイド剥がすような別れ方
07 キスの手裏剣
08 トキトキメキメキ
《期別 DAY3》
06 17分間
07 I see...
08 三番目の風
MC〜プリンセスバトル
09 Threefold choice
10 Am I Loving?
MC〜ユニット曲
《ユニット DAY1》
11 ぶんぶくちゃがま
12 あと7曲
13 Never say never
14 ここにはないもの
《ユニット DAY2》
11 甘いエビデンス
12 せっかちなかたつむり
13 他の星から
14 僕が行かなきゃ誰が行くんだ
《ユニット DAY3》
11 設定温度
12 あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
13 ごめんね ずっと...
14 絶望の一秒前
MC〜VTR(一ノ瀬、五百城、岩本、奥田)
アリーナ両サイドで展開
15 あらかじめ語られるロマンス
16 ロマンティックいか焼き
17 君が扇いでくれた
18 自惚れビーチ
19 ガールズルール
20 ひと夏の長さより・・・
21 落とし物
DANCE TRACK
22 Wilderness world
23 Actually...
VTR(プリンセスなぎとパリピなぎ)
24 おひとり様天国
25 好きというのはロックだぜ!
26 夏のFree&Easy
ストリングスブロック
27 シンクロニシティ
28 僕が手を叩く方へ
座長(なぎ)あいさつ
29 誰かの肩(花火演出)
アンコール
《DAY1》
EN01 ハウス!
EN02 スカイダイビング
EN03 ロマンスのスタート
EN04 Monopoly
EN05 乃木坂の詩
《DAY2》
EN01 転がった鐘を鳴らせ!
EN02 スカイダイビング
EN03 ロマンスのスタート
EN04 Monopoly
EN05 乃木坂の詩
《DAY3》
EN01 僕だけの光
EN02 スカイダイビング
EN03 ロマンスのスタート
EN04 Monopoly
EN05 乃木坂の詩
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WEN チートデイ
◾️神宮の奇跡
神宮球場公演は開催直前まで台風の影響で開催そのものが危ぶまれていましたが、結果は3日間とも本番は晴れ。雨すら降りませんでした。雨合羽やら予備のタオルやらで荷物は増えて、ペンライトの雨対策含めてあれこれ準備していきましたが、直前までの大雨予報がことごとく覆り去年の4日間に続き神宮に奇跡が起きました。本当に、ライブ本番の時間帯だけ綺麗に避けてくれたみたいに。
なぎとうめの晴れ女説はどうやら本当らしい、、、!
おかげで神宮の優しい風を感じながらライブを楽しむことができました。
セットリストは、完璧だったんじゃないか。僕の好きな曲、ほぼ全部入ってました。
「はだサマ」のセンターを務めたさくちゃんが限界突破してました。最終日に披露してくれた「でこ出し」はモニター越しですが、ちゃんと拝めました。ありがたや。
かきさくWセンターの「Monopoly」を本編ではなく、アンコールに持ってくるあたり、心から嬉しかった。屋外の雰囲気も相まっての「神宮マジック」。あの爆盛り上がりは語り草になると思う・・・。
◾️今回の参加日程
今回、僕が参加したのは5日程でした。
・<大阪>京セラドーム大阪 DAY2 スタンド席
・<愛知>バンテリンドームナゴヤ DAY1 スタンド席(の前の方!)
・<東京>明治神宮野球場 DAY1 見切れ席
DAY2 のぎ動画プレミアシート(初)
DAY3 ステージバック席
◾️筋書きのない世界
神宮の風に吹かれながら聴く「Never say never」《DAY1》は格別でした。久保ちゃんはなぜこんなにも神宮が似合うのか?気持ち良さそうに伸び伸び歌う姿が愛おしくて・・・。宮城が生んだ奇跡。ちょっと泣きました。見上げたら神宮の空が広がり、風が吹き抜けていく。
そこから「ここにはないもの」ストリングスバージョンに入っていく。信じられないことに、ステージには、なぎ一人。飛鳥がセンターを務めた大事な楽曲を、一音ずつなぞるように丁寧に歌い上げていく。
あれは2年前の冬だったか、『乃木坂スター誕生』のライブが関西であったとき、参加しました。スタ誕は僕の住んでる地域では放送されないので、あまり予備知識もないまま参加して、なぎがヨルシカの「ただ君に晴れ」を歌うのを生で聴きました。事実上の5期生単独ライブだった同公演は、2022年2月にデビューしてまだ日も浅い5期生が、オズワルドという回しの達人がついているとはいえ、ほとんど自分達だけでステージを完成させなければいけない。相当なプレッシャーがあったと思います。その中で、なぎの歌声とパフォーマンスは、真面目な優等生のそれに見えました。一生懸命にリハ通りにこなしているという印象。良い悪いではなくて、5期生の中でも一番最初に紹介動画が公開され、途端に「超絶美少女」としてもてはやされ、話題だらけの5期生の中でも自ずと最前面に出ざるを得なかった彼女の、それは迷いにも見えました。何かに怯えているようにも見えた。
今回の神宮公演前のインタビューで、なぎはこんなことを語っています。「自分には取りえがないなって思ってしまうことが多くて。だからせめて、せめて真面目でいよう・・・と」(日刊スポーツ)
どこかで自分の「正体」がバレるのではないか。防衛本能のような真面目の鎧が徐々に外れていく、その過程を見ているような2年半でした。
けれど、その「正体」こそが「台本には無い世界」なのだと思う。乃木坂46の「聖地」神宮球場ならば、解放できる。
筋書きなんて、最初からありはしなかったのだ。
「設定温度」《DAY3》は、いろはの表現力に度肝を抜かれました。乃木坂の歴代でも、この子はひょっとしてとんでもない化け物なんじゃないか。そう思わせるだけの奥行きを感じました。今回の36thSGアンダー曲「落とし物」も、ツアーで披露した「自惚れビーチ」も、惹きつけてやまない何かがある。それこそ運営側の狙いなのだろうと思うけれど、「こういう筋書きで考えてるから頑張って」で実現できるものではない。
やっと、「私はこうなんだ!」という光を見つけた彼女が、演出家が考える筋書きのその先に自ら飛び出していって、後から筋書きをあてがったようにも見えてくる。
少しでも日陰を歩んだ記憶がある人なら、「私はこうなんだ!」という光明がどれほどありがたいものか、どれほど得難いものかわかると思う。
「絶望の一秒前」《DAY3》。なぎとアルノによるデュエット。会場がどよめきました。なぎの少し枯れた声と、アルノの透き通るような伸びやかなビブラート。欲しいところに欲しい音がくるこの感じ。
オリジナル版もいいけれど、この曲の「正解」を一つ見た気がします。歌われるたびに、楽曲は進化していく。この楽曲が、5期生最初の曲であったのは、必然だったんだ。
他にも、語り出したらキリがないぐらい、優しさと愛が詰まった神宮3日間でした。サプライズとか、求めすぎたらこれもキリがない。千秋楽のダブルアンコールのなぎの涙で、全部が報われました。
ありがとう。