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【D&D5e】怪奇のトウモロコシ畑/Haunted Cornfield

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この記事は、D&D Beyondの無料記事“Halloween Encounters: The Haunted Cornfield”に掲載されたシナリオを非公式に日本語訳したものです。

まとめ(ネタバレなし)

PCレベル:1レベル
PC人数:指定なし(おそらく4人前後)
所要時間:2~3時間
使用ルール:『モンスター・マニュアル』

セッション、配信などへの使用はご自由にどうぞ。報告、クレジットはいりませんが、教えてもらえるとやる気が出るかもしれません。


以下、アドベンチャーのネタバレを含みます。
プレイヤーとして参加予定の方はご遠慮ください。




















ハッピー・ハロウィーン!ダンジョンズ&ドラゴンズ向けの無料アドベンチャー「怪奇のトウモロコシ畑」を友達と遊んで、このちょっぴり怖いお祭りを祝おう!このアドベンチャーは『Curse of Strahd』に登場する厳かな町バロヴィアを舞台としており〔※訳註:農村であれば、好きな世界設定に置き換えられます〕、1レベルの冒険者パーティが1回でプレイすることができる。プレイヤーたちはこのゲームを通して、かかしと残忍な殺人事件にまつわる言い伝えの、隠された秘密を暴いていくことになる。

トウモロコシ畑の物語

農村には迷信がつきものだ。たとえば、偉大なるグリーン・マンの物語(旅人に扮して村人を訪ねた妖精が、一夜のお祭り騒ぎと引き換えにその畑に祝福を授けた話)など、愉快な話もある。しかしこの物語はもっと不吉な話であり、最も恐ろしいのは──真実なのだ。
何年も前のこと、カサンドラ・オヴァナという名前の村人がいた。 カサンドラは夫のフィニアスと共に町外れの小さな家に住んでいた。二人は村長の親しい友人であったが、それなりの社会的階級であったにもかかわらず、村の人々からはあまり知られていなかった。娘のシビルはもう大人になり、両親の代わりに市場へ出かけていたが、その日課を嫌がってはいなかった。なぜならば、畑を離れて村で過ごす機会があるなら何でも嬉しかったのだ。
ある日、シビルは荷車で村に向かうため、両親に別れを告げて家を離れた。その頭上ではカラスが鳴いていた。カサンドラとフィニアスはトウモロコシ畑でかかしを作っていた。フィニアスは十字に組んだ木材に袋を掛けてかかしの体を作り、カサンドラはかかしの頭にする一際大きなカボチャに顔を彫っていた。シビルはその光景を見て身震いした。そのかかしはグロテスクで、目を大きく見開き、口がいびつに曲がっていたのだ。

スケアクロウ

シビルは焼き付いたかかしを頭から振り払い、いつも通り村に向かった。しかしその日、シビルは村を出るのが予定より遅くなってしまい、危険を冒して暗くなった道を歩くより、知り合いの女性テリーマの家で一夜を過ごすことにした。
寝ているシビルを幻視が襲った。母親が肉切り包丁を振り上げ、父親に忍び寄るのが見えたのだ。シビルは父に向かって叫び、警告したものの、カサンドラは銀の包丁をフィニアスの背中に突き刺し、その体から命が切り取られた。カサンドラが死体をかかしの腕に預けると、シビルが音もなく怯えて見ている中、かかしの腕が動き出した。かかしは死体を抱き上げると、グロテスクなその頭の前まで持ち上げて喰い始めた。形の崩れた歯がナイフのように肉を引き裂き、瞬く間に死体はなくなった。

アドベンチャーの開始

シビルが家に戻ることはなかった。あの夜から20年以上経った今でも、シビルはテリーマと連れ合って村で暮らしている。シビルは毎晩、実家のトウモロコシ畑に現れるかかし(スケアクロウ)の夢を見る。テリーマは、手付かずのままのオヴァナ家のトウモロコシ畑を調査してくれる冒険者、傭兵、あるいは捜査官を募集している。
募集に応じた冒険者がいれば、テリーマが家に向かえる。テリーマは、青白い肌に憂いを帯びた目、白髪交じりの茶髪を持つ女性だ。テリーマは冒険者たちにオヴァナ農場を調査を依頼し、シビルが家に戻っても大丈夫だと信じられるか、少なくともトラウマを克服する助けになれば、1人あたり10gpを支払うと申し出る。テリーマは、シビルが夢で見た肉切り包丁を探すように念を押す。おそらくまだ敷地内のどこかにあるはずだ、と。その間、シビルは暖炉脇のロッキングチェアに座り、ぼんやりと炎を見つめている。苦痛ではあるが、トウモロコシ畑の物語について聞かれれば進んで詳しく話す。

オヴァナ農場への旅

君たちは村を出て、舗装された道を進んでいく。最初のうちは、5分おきくらいに他の旅人や農民たちとすれ違う。しかし1時間も経つと、道には君たち以外の姿はなくなる。遠くに見えるオヴァナ農場の小さな影が段々近づいてきて、やがて農場に到着する。

村から農場までの道のりは何事もなく、キャラクターたちは無傷で農場に到着する。

DM向け情報
ダンジョン・マスターである君には、シビルが家に帰れなかった夜に何が起こったのか、その真相を伝えておこう。父親のフィニアスは、シビルが家を離れた数時間後ワーレイヴンに噛まれた。母親のカサンドラは夫を助けようとしたが、フィニアスが呪いに負けて襲いかかってきたので、銀の肉切り包丁でフィニアスを殺した。しかし、フィニアスの魂は混乱して引き裂かれ、あの世に行くことができなかった。その代わり、夫婦で彫ったかかしに取り憑いてしまったのだ。かかし(スケアクロウ)は不意を討ってカサンドラを殺したが、カサンドラがかかしの体を成す木材に突き刺した包丁は柄まで埋まっている。
かかしは今もトウモロコシ畑に現れ、迷い込んでくる生き物を殺して喰っている。インプの一団がその闇の力に引き寄せられ、カラスの姿で畑の周りを飛び回っている。インプたちはかかしが殺した生き物の魂を喰ったり、自分たちの仕える九層地獄の悪魔に届けたりしている。

農場への到着

君たちは、長いこと手付かずであろう家屋の前にいる。建物自体が老朽化し、崩れかけている。木造の壁には深い傷がいくつも刻まれ、そこにシロアリが這い回っている。強く叩けば一発で骨組みごと壊れてしまいそうだ。建物の裏手には、広大なトウモロコシ畑が広がっている。20年以上放置されているにもかかわらず、畑には青々とした背の高いトウモロコシの茎が茂っている。

カラス

家屋の調査: 家屋は骨組みまで壊れかけている。扉を開ければ蝶番ごと外れてしまう。中に入ると、部屋はクモの巣だらけでカビ臭い。キャラクターたちが家に入ると、梁に潜んでいた1羽のカラス(に化けたインプ)が一声鳴いてから、見せびらかすように羽をはためかせ、割れた窓からトウモロコシ畑へと飛んでいく。
しばらくすると、家屋の土台に揺れが起き、天井が崩落する。家の中にいる者および家から1.5m(5フィート)以内にいる者はみな、難易度13の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわねばならない。セーヴに失敗した者は5(1d10)の[殴打]ダメージを受け、成功した者はその半分のダメージを受ける。
瓦礫を調べたキャラクターは、木彫りのカラスを見つける。木彫りの底には“フィニアス”という名前が刻まれている。

トウモロコシ畑

どういうわけか、このトウモロコシ畑には生気が満ちている。トウモロコシの茎は背高く伸び、虫の鳴き声があたりを満たしている。太い茎が密集して、畑は緑と黄色の小さな海のようになっている。カラスの群れがハゲタカの如くトウモロコシ畑を囲み、君たちが視界に入るとすぐに鳴き始める。

トウモロコシ畑は移動困難な地形として扱う。また、クリーチャーと他のクリーチャーや物体との間にトウモロコシの茎が1.5m(5フィート)以上あるならば、その空間は“軽度の隠蔽”として扱う。この畑は直径約12m(40フィート)のほぼ円形である。

かかし:トウモロコシ畑の中央には、歪んだフィニアスの魂が宿るスケアクロウが潜んでいる。かかしの頭を成すカボチャは腐って膨れ、グロテスクな顔が彫られている。その顔は、カボチャの肉がたるんできたことで〔元の顔よりも〕さらにグロテスクになるばかりだ。虫に食われた衣服からは肉切り包丁の柄が突き出ている。この銀のダガーは木材に埋まっている。クリーチャーがダガーを引き抜くには、難易度13の【筋力】判定に成功しなければならず、ダガーを抜く際かかしに1d4[斬撃]ダメージを与える。
このかかしは〔通常のスケアクロウと異なり〕、銀の武器による[殴打]、[斬撃]、[刺突]ダメージに対して抵抗を持たない。
畑内に開けた場所があり、その端にある背の高いトウモロコシの茎の中にかかしが隠れている。開けた場所は幅3m(10フィート)で、クリーチャーがそこに入ればかかしに気づかれる。かかしは獲物が近づいてくるのを待ち、好機を窺っている。カラスの鳴き声はかかしにクリーチャーの接近を知らせる。隠れているかかしにクリーチャーが気づくには、難易度16の【判断力】〈知覚〉判定に成功する必要がある。これに成功しない限り、かかしは隠れていた場所から飛び出して不意討ちを行なう。
かかしが死ぬと、カボチャに彫られた顔が和らぎ、微笑んでいるかのように見える。かかしは“目”を閉じ、死体から「ありがとう... 」と囁く声が漂ったかと思うと、崩れ落ちて破片とカビになる。銀のダガーを抜いていなければ、ボロボロになったカカシの上でダガーが光っている。

カラスとインプ:4羽のカラスが畑の周りを飛んでいる。2羽は普通のカラスだが、2羽はカラスに化けたインプである。インプたちはシビルの両親が殺された夜に起きたことをすべて知っており(上記の「DM向け情報」を参照)、かかしを殺したキャラクターに襲いかかる。
かかしとの戦闘でキャラクターが重傷を負っている場合、キャラクターを襲うインプは1体のみである。 もう1体のインプは、この知らせを地獄にいる主人に報告するため姿を消す。

結末

包丁〔=銀のダガー〕を渡すと、シビルは包丁を──まるで人を抱くように──胸に抱き締めてむせび泣く。「悲劇がやっと終わったんだ」とシビルは言う。その後、シビルはキャラクターたちに包丁を返し、もう過去にすがるつもりはないので持っていてほしい、と頼む。シビルは農場とトウモロコシ畑を焼き払い、ここで起きたことをすべて永久に忘れ去ろうと決意する。
テリーマは、シビルがトラウマと折り合いをつけるのを助けてくれたキャラクターたちに深く感謝し、1人あたり10gpを渡す。キャラクターのうち1人は銀のダガー(50gp相当)も手に入れる。

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