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[詩]かわいい家


夕暮れ
なんとなく出かけたくなった
その辺に転がった服をとり
とりあえずスーパーを目指し進んでみる

ここはスイセン畑で
ここはよく吠える犬がいて
その面影はかわいい家に書き換えられる

地面に刺さるツルの棒、何枚もかかる布団
遠くで聞こえるバイバイの声、微かに香るタバコ

瓦屋根は空き地に
空き地はかわいい家に変わる

この家にはどんな思いが込められているんだろう
どうしてこの色にしたんだろう
どうしてここに建てたんだろう
私にとっては関係ない事をなぜか考えてしまう

スーパーで2割引の惣菜パンを手に取る
自分の分だけでいいのに少し多めに買ってしまう

あとどれだけ他人のために生きられるのだろうか
誰かのためと思いながら生きていくのか
自分のためと思いながら生きていくのか

誰も知らない数歩先の明日を
今日も空に返す



住宅街を歩くお話

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