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詩・ショートショート

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趣味の詩、ショートショートです
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#現代詩

[詩]かわいい家

[詩]かわいい家

夕暮れ
なんとなく出かけたくなった
その辺に転がった服をとり
とりあえずスーパーを目指し進んでみる

ここはスイセン畑で
ここはよく吠える犬がいて
その面影はかわいい家に書き換えられる

地面に刺さるツルの棒、何枚もかかる布団
遠くで聞こえるバイバイの声、微かに香るタバコ

瓦屋根は空き地に
空き地はかわいい家に変わる

この家にはどんな思いが込められているんだろう
どうしてこの色にしたんだろう

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[詩]道

[詩]道



よく知っていて
よく知らない道

靴底に石が当たる

転校する前ここには何もなかった

踏み固められた土が僕たちの通学路
田んぼの間を
落ちないように綱渡りするように歩く
横切るカエルにあいさつをして
体操着袋をパタパタと揺らす

給食を残さず食べたら
どのくらい先生より大きくなるのだろう
テストで100点をとったら
どのくらい大きなはなまるがつくのだろう

あの大きな山を越えたら
どんな世

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[詩]見

[詩]見



見ている

何か
温度のあるものが
こちらを見ている

私には見えない

確かにこちらを見ている

冷たくもあり
焼けるように熱くもある
恋焦がれ独り舐めるようなそれも
また1つか

胸に痛みを覚えた
どうやらそれが刺さったらしい
かえしがあるのか
刺さった箇所は熱を帯びる
気色の悪い感覚と共に
私の中に黒いモヤが生まれる

何故だ
音を感じる
見られているだけのはずなのに

笑われている

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