ラリーの行方【お題:ツノがある東館 #毎週ショートショートnote】
西の魔女が来た。
ろくに挨拶もせずに「面白いものがあるそうじゃないか。」と切り出す。相変わらずの地獄耳だ。東洋の鬼というモンスターのツノを入手したのを聞きつけてきたようである。
「そこで待っとれ。」
強欲な婆さんに館内を見せたくないし暴れられても困るので、已む無くエントランスで応対することにした。
「これを祭壇に祀って『鬼は外、福は内。』と唱えながら豆をまくと、災厄は去り幸運が訪れるそうじゃ。」
「ふん。そんな訳の分からぬ東洋のまじないに縋るとは。老いたの。」
「やかましいわ。」
「あーあ。耄碌はしたくないね。帰ろ帰ろ。」
勝手に押しかけてきて、好きなことを言って帰るとは。えーい、忌々しい。じゃが見とれよ。追い出した鬼が西の館へ突撃して何をしでかすか。笑いが堪えられんわ。
一方で、西の魔女もほくそ笑んでいた。
本当に耄碌はしたくないね。鬼は追い出されてもツノの元へ戻るのを知らんとは。
おしまい。(410字)
こちらの企画に参加しました。
趣味でショートショートを書いています。ご興味いただけましたら「スキ」や「フォロー」をよろしくお願いします。「コメント」もお待ちしております。お気軽にどうぞ。
X(twitter)もやっていますので、こちらのフォローも是非お願いします。⇒ https://twitter.com/Shiroh_Chaya
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?