すばらしき世界
今年の2月 私は役所広司さん主演の映画
「すばらしき世界」を見た。
今回は簡単に私が感じ取ったことを紹介していく。
実在した男性の話で、彼は人生の半分を牢獄で過ごしていた。そんな彼が社会に出て変化していく上での物語。現在の社会がリアルに映し出されていてとても深く考えさせられた映画であった。
ぜひ機会があれば見ていただきたい。またネタバレ要素を含むためご注意ください。
男が見た景色とは
男は釈放され、ある地域に住むことになった。
そこでは男に対しとても親切に生活が落ち着くまで
面倒を見てくださる夫婦がいた。
しかし犯罪を犯した人が簡単に社会復帰する事は現実的に難しい状況であったのだ。
とある夜にはスーパーで買い物をして居ると、万引きを疑われとても責められるが彼は何もしていなかった。
犯罪者というレッテルを貼られ近所からの目線も酷いものだった。
働く場所もなかなか決まらず苦しい状況下にいた。
こういった罪を犯した人が社会の順応できず自ら命を絶つといった行為も多いのが事実だそうだ。
ある時飲み屋の帰りに親父狩りをしている若者達を目にした。
すると真っ先に標的の人物を助けた。すると若者達が逆上し男と喧嘩になったのだ。男は若者達を完膚なきまでに叩きのめした。
彼はただ正義感が強く、真っ直ぐで、素直だったのである。ただ歯止めの効かない性格だったのだ。
だがこのままだとまた捕まってしまうと言う感覚もあった。
(前回捕まった時の殺人事件で捕まった際も包丁を持って襲ってきた者がいて、自分と女の命を守るために逆に殺したのだ。)
場面は変わり やっとの思いで、手にした就職先で地道に仕事をこなしていく日々を過ごす。
そこには障害を持った人も勤務していた。
ある時、職場の人間2人がが仕事をうまくこなせないからと言う理由で 障害者の方(以降:A君と記載)
を虐めていたのを見てしまう。
男の頭の中ではすぐさま虐めを行なった2人を殴って止めていた。
しかし少しずつ社会のあり方を学んだ男はここで初めて見て見ぬふりをする選択を選んだ。
その後の昼食の時間で皆でテーブルを囲み話していたが、虐めを行なった2人が外で作業しているA君をみて馬鹿にしながら笑っていた。男の心はずっと納得できないままである。
また元々男はヤクザ出身であったが
それを知らない2人はヤクザが人間の底辺のように馬鹿にした。
ここで虐めの事実を知った上での問題も重なり
男の頭の中では2人指を切ると言う考えをしていた。
だが実際には話を振られた男は愛想笑いをして周りに合わせていたのだ。
周りにできた友人、世話をしてくれた人への気持ちでせっかく手にした仕事場を事件で手放しがっかりさせたくなかったのだ。
ここでも男は社会に順応しようとし感情を押し殺す選択を選んだ。
夜になり台風が接近すると言う事で男は、A君にもらったコスモスの花を握りしめ家に帰った。
家に着き、窓を閉め、花瓶に花を飾ろうとしたが持病により倒れ込んでしまう。
男が2度と目を覚ます事はなかった。
物語は青い空を映し出しここで幕を閉じる。
さてここまで大まかに話したがどう感じたであろうか。
個人的には
私たちが生きるこの世界は適応すべき価値がある場所なのか?と言う問題を考える機会になった。
男が見た社会の景色は本当にすばらしかったのだろうか
また私達が生きているこの社会はすばらしいと言えるものだろうか。
あなたにとってのすばらしき世界とはなんだろう。
正解はない。ぜひ一度考えもいいのではないだろうか。