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マ、ニッチ、ヌック・・・!!!

へそ曲がりの思考
これしかないと合理的な判断をするのはありだが、人にそれをされると何となく逆らってみたくなる。

間(マ)が大事だと思う。間があると空間的な広がりが生まれると思う。
日本建築の床の間。
狭い部屋を、ある時はリビングに、ある時は寝室にと色々な使い方をする和室。その和室に床の間が設けられている。

収納庫でもなく、展示場所でもなく、物置でもない、中途半端な空間だと言えばそうかもしれない。
しかし一見無駄に見える空間だが、無用の用。こればないと和室と言えないといってよい。

ヨーロッパの建築でよくみられるのだが、廊下を歩いていると空間が設けてあって、そこに家具が置かれていたり、窓や棚が設けられている。

御所坊 雲山御坊 三階廊下

床の間の様な思想は無いと思うが、空間の広がりを感じるのは同様だと思う。敵が攻めて来た時の待ち伏せ場所にも使われたかもしれない。

床の間やニッチの空間を利用したり、たまたま空いた小さな空間を居心地の良い空間として使うのがヌックだと考えている。

3つの部屋の要素が集まって、変な空間が生まれたけれど、そこがまた気に入っている。

現在、色々な補助金を使って客室のグレードアップを進めている。
刷新とはなかなかいかないので熟成の様に、大きく変えるのではなく細かい所をより快適な空間になる様にしたいと考えて進めている。
つまりニッチやヌックの空間をつくりたいと考えている。

しかし刷新と言っても良い客室のグレードアップも進めている。複数の客室を1室にしてグレードアップを図る。つまりスイートルームをつくるという考え方だ。

スぺースは最大限合理的に使いたいと考えているが、あくまでも改装なので、どうしても不合理的な空間が生まれる。その空間をニッチやヌックの空間として、どう活用するかが嬉しい悩み事だ。

小さなバススペースだった所。ここをヌックとして活用したい。

実際、御所坊の中でも嬉しい悩み事を解決した空間は、僕は好きだ。

話を戻して、合理的にレイアウトすればスイートルームの入口が多くの人の集まる空間の近くに設けなければいけない。それを避けて別の場所に入口を設ければ客室の空間が少し小さくなってしまう。

息子たちに設計士は相談した所、彼らは後者のプランを進めるべきだと判断した。まあ間違いではないし、正解だと思う。

そうなるとへそ曲がりの僕はちょっと反論したくなる。
反論と言ってももちろん、もっと良い方法を考えての話。

そこで思い出したのが・・・あるホテル。

阪神淡路大震災のすぐ後に先生達とポルトガルに行き、その後イギリスに移動して英語のお風呂の語源になったBATHに行った事がある。
そこに有名なロイヤルクレセントホテルがあり奥の木造部分に泊まった事があって、そこで見かけたエレベーター。
エレベーターは普通使用していない時はドアが閉まっているが、そこのエレベーターはドアが開いている。
そのドアの中の空間が面白かった。内部が本棚のようだった。本が詰まっているわけではなく、本棚の様に作られていたのだ。エレベーターの周辺も本棚やそれに合うように作られているので、ニッチな空間に本棚があるように見えるのだ。それがエレベーターになっているので、使用しない人は気が付かないかもしれない。面白いと思った!

人込みの中に小さな空間があり、そこに吸い込まれるように人が消えていく様な入口があっても良いのではないだろうか?
日本でいえば忍者屋敷。ハリーポッターのような世界。スパイ映画の様な隠し扉というのもありではないかと考えている。

息子たちをぎゃふんと驚かし、お客様に喜んでもらえる入口が作れないか、楽しいモノづくりの作業だ。(笑)


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金井啓修
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