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第15回:「パンタグラフ」への道程

少し時をさかのぼり、2022年8月。

第5弾オリジナル楽曲の「パンタグラフ」の楽曲が上がってきていた。3DCGまわりの進行や撮影体制の構築などがあったため、少し間があいた9月29日にMVのイメージ打ち合わせが行われている。

公開タイミングがshiroANプロジェクト1周年に近いということもあり、これまでの活動を過去、そして現在、未来へとつなげていくイメージが出来上がっていく。当時の打ち合わせメモによると以下の通りだ。

・歩きから走り→振り向きなどの表情・仕草を2番以降入れていく
∟CGモデル撮影

・活動開始から1年分の過去から今へ繋がっていく
∟過去イラストなどを交えて

・学校の帰り道など、MVで描かれなかった合間の時間を表現
∟過去イラスト・新規イラスト・写真(モノクロ)・CG書き出しなどでアルバム的に魅せていく

・CGなどを駆使してしっかりと音ハメしていていきたい
∟疾走感は出せるが横スクロールがメインになるので、カット割重視(CGなど)で音ハメして情報量を多くしたい
∟佇んでいるところなども

・大まかな流れを絵コンテ化→撮った素材を編集して選んでいく感じ
∟曲のリズムに合わせつつ

初回のイメージ打ち合わせで決め込まれた全体の方向性は、完成系のベースになっている。3DCGモデルを駆使した撮影も準備していたこともあり、イラストだけではなく3DCGモデルによるモーション素材も効果的に取り入れることになった。イラストの手間を抑えつつ情報量を上げるために、写真を加工して取り入れることも検討される。

この打ち合わせの前にはブレスト的にイメージの検討が行われており、「けものフレンズ」のED「ぼくのフレンド」のモノクロ写真、「超時空要塞マクロス」のED「ランナー」の実写+イラストのアルバムとしての見せ方、「明日のナージャ」OPの「ナージャ!!」の歩き・ステップ・走りの見せ方などをアイデアとして出し合っている。

最終的にはそれぞれの見せ方のいいところ取りをさせていただいた形になっているので、興味のある方は「パンタグラフ」のMVと合わせて見比べてみると面白いはずだ。

という打ち合わせをしつつ、ときちさんにイメージラフを描き上げていってもらうのはshiroANプロジェクトいつもの光景と言えるのだが、思いついたらなんでもやってみようという平子さんの度量が、ある意味最大限発揮された打ち合わせにもなった。

メモを読んでもらってもわかる通り、これまでのMVの作り方とは明らかに工数も見せ方も多岐にわたる作りを目指すことになり、雑談ベースでときちさんからCGやエフェクトができるという方をご紹介いただく。

「せっかくだったら打ち合わせに呼んじゃえば?」という平子さんの一言で、ときちさんから連絡を入れてもらい、打ち合わせの場に急遽参加いただいたのが、結果的に「パンタグラフ」のコンポジット・CGを担当することになるAN1MAさんだった。

ときちさんとはエヴァの話題を通じて知り合った関係ということで、当時はまだ仕事としての実績がなかったAN1MAさんだったが、YouTubeに上げられている映像は非常に良くできており、クリエイターとしてのポテンシャルは十二分に感じられた。

「とりあえずこれまでの楽曲を自由に使っていいから、いい感じのMVに仕上げてみてよ」という平子さんの采配によって、初仕事が決まっていってしまう。

というわけで「パンタグラフ」はときちさんがイラスト・MVディレクターとしてコンテに落とし込む作業に入っていただきつつ、AN1MAさんには既存オリジナル曲の新規MVを作っていただくということになり、自分が制作サポートに入ることになったのだった。

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