第7回:打ち合わせ×打ち合わせ
「グッバイ宣言」のMVと2曲目のオリジナル曲「幻愛流(きめる)」のMV打ち合わせが同時進行だったことは前回にも書いた通り。
2021年7月26日には「幻愛流(きめる)」の打ち合わせと「グッバイ宣言」の打ち合わせが同日に行われていた。「幻愛流(きめる)」の楽曲はもとになったオリジナル小説があるということで、その小説を読ませてもらってMVのイメージを膨らませていく。
のだが、自分の中では小説の登場人物をshiroANちゃんに重ねるのは難しいという結論だったので、小説に出てくる登場人物が作った曲(幻愛流のこと)を聴いているというイメージにまとめた。
小説の中には叙述トリックのような仕掛けもあったので、それも映像的に落とし込めないかと検討していく。まとめると、
登場人物の少年が作った曲を聴いているshiroANの1枚絵とする
登場人物の少女と少年を象徴する本とCDを入れ込む
叙述トリックをイラスト等の演出・エフェクトなどで表現する
という方向性が定まっていった。はじめは背景はがっしりとした本棚にしようということで、自宅をはじめ書庫のようなイメージを集めて擦り合わせていく。
いったん話しながらラフイラストができた段階で、「グッバイ宣言」のイラスト制作を優先して進めることに。8月下旬には「プラチナ」の打ち合わせも行う。当然「カードキャプターさくら」の第3オープニングのアニメも参考にしながら、
立って祈っている立絵でアップをサムネ、ニーショットをMVに
全身立ち絵を大きめに作っていただき、拡縮で見せる
羽、目あき・とじ差分を入れる
上下レターボックスでカットして、サビ途中でふわーっとフェードインして出てくる翼(2番生えたまま、ラスサビでじわアップorスクロールからの顔に曲にアップ、最後に目を開ける→空へPANからのW.O.)、レターボックス開放など
桜の舞い散るエフェクトはフリー素材組み合わせでいけるかどうか
∟奥・中間・手前で遠近感、ブラー、大きさ調整して降らせられるか検討冒頭はW.I.、目閉じ、少女感大事に
という具体的な全体の方向性をすり合わせつつ、必要なイラストと目の閉じ開き、翼が生える差分などもラフで出来上がっていく。
打ち合わせをしながらラフを描いていただき、だいたい方向性が見えてきてラフが出来上がったら打ち合わせが終了。昼過ぎから初めて夕方を過ぎることもあり、話好きでもある3人がそろうとプロジェクトの進捗共有はもちろん、雑談なども交えながらイラストが描かれていく様を見ていくというのが恒例になってきた。
「イラストレーターさんとの打ち合わせっていつもこういう感じなの?」と無邪気に聞いてくる平子さんには「いえ、かなり特殊です」と答えていたが、話しながら手を動かしてイラストを描き上げていくときちさんの手腕には、いつも感心してばかりだった。
9月28日には「幻愛流(きめる)」の初稿イメージも上がる。初期4本のうち、「アナログで変わった正解で」と「グッバイ宣言」が出来上がり、「幻愛流(きめる)」と「プラチナ」の制作を進めていく2021年秋に突入するのだった。
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