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例によって時系列は前後してしまうのだが「パンタグラフ」のMV制作と並行して、VTuber活動の第1歩となるスタジオ撮影が2022年10月9日に行われた。

VTuberキャストの西山さんをはじめ自分がチーフディレクターを兼任、撮影ディレクター、アシスタントディレクター、フェイシャルアーティスト(業界では表情師と呼ばれる)、そしてスタジオのエンジニアスタッフの方々。平子さん、ときちさん、明日葉わがみさんもスタジオで撮影風景を見ていただく。

西山さんのマネージャーさんも加わり、初めはたった数人から始めたshiroANプロジェクトは、いつの間にか大所帯になりつつあったのだった。

VTuber活動を始めるにあたり、どのように展開していくのかはプレスリリースにも書かれている通り。TikTok・YouTube・Twitter(現x)などのSNSを中心にVTuberとしての活動をスタートするわけだが、一般的な配信や動画投稿ではなくショート動画に特化する方針をとった。

従来のVSingerとしての活動もVTuber活動と並行して行うため、YouTubeチャンネルの動画部分にはオリジナル楽曲のMV、ショート部分にVTuberとしての動画を短く数を出していく狙いだった。

2022年10月ごろにはYouTubeショートの収益化開始が発表され、YouTube的にもショート動画は優先度が高くなるだろうという読み、そして楽曲MVはオリジナル曲が中心だったので、その2つを明確にわけることでYouTube内部評価的にも視聴者的にもチャンネルの傾向を分かりやすく展開するという戦略だ。

「はじめはMVばかり投稿していたチャンネルなので、ショートを出し始めると数字が落ちるとは思います。でもYouTube側に認識されれば相乗効果で伸びるはずなので、まずはそれを狙っていきましょう」と、啖呵を切っていたのだが、早々にMVの再生数とチャンネル登録者が伸び始めた結果は第13回で書いたとおり。

要因としてはそれだけでない。楽曲のサブスク登録を一括管理できるTuneCore Japanを通じて、MVの楽曲をshiroANチャンネルとは別にYouTube上にもアップしている。

トピックと称されるチャンネルの動画として上がっている一連のものだが、これはshiroANプロジェクト側がアップしているので公式のもの。特に伸びた「戦士宣誓」は2023年11月時点で35万回再生されるなど、海外のVTuberファンを中心に再生リスト等を通じて聴いていただいている。結果として、複合的にうまく噛み合ったと言えるだろう。

そのような分析もあとあと嫌というほどしていくわけなのだが、何よりも初回の撮影時の思い出は、テストで発せられたshiroANの第一声を聴いて「ああ、確かにここにshiroANちゃんがいるんだ」と実感できたことだ。

初回撮影ということもあり、スタッフも手探りな中で撮影をこなしていくのだが、その間ずっとモニターを見続けていたときちさんも印象的だ。ときちさんにとっても、自分の生み出した存在に確かな命が宿っていく過程は感慨深かったはず。

撮影後の打ち上げも、当然大所帯になる。時節柄なかなか大所帯の飲み会も久しぶりとなったのだが、仕事をしたあとにものつくりの仲間同士で飲むお酒ほど美味しいものはない。

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