ノートの切れ端。

クラスメイトの1人が特別な人になった話。

 存在に気づき始めたのは、中学2年生に進級した時。3組のままだったので、そういった人たちはそのまま教室に残って、他の人はみんな移動するのです。友達と「また一緒やーん」という時間があり、その時に認識しました。今まではワイワイしているグループの中にいるクールなポジションの人で少し変わった声をしているなというくらいだった。
 好きになりはじめたきっかけはよく覚えていないですが、やっぱりお顔立ちがよかったので気になっていったんだと思います。彼は多彩で、スポーツ・勉強・音楽という学校における全ての才能を持っていました。何度か席が隣になったことがありますが、彼のいる方と反対に寄っかかるような、なにか磁力のようなものを感じていつもそっぽ向いてました。でも話すと面白いのです。
 3年生になり、クラスが離れました。隣のクラスだったので廊下で会うくらいでした。そんなある日、私が彼を好きだとバレてしまうことがありました。イタズラなLINEの診断です。表向きは気になる相手との相性を診断できるというもので、真の目的は好きな人の名前が送り主に知られるというものです。仲の良い友達の“これめっちゃ当たる!”という言葉を信じ込み送ってしまいました。よりによって学年一口の軽い男の子に!でも、そのことがあってから恋は進展しました。彼も私を好きだったのです。祭りの後に2人で会ったりもしました。そこでの壁は、2人っきりになると全く話すことがないのです。友達には彼についてよく話すのですが、相手が彼となると彼の話をする訳ではないので途端に途切れました。いろんな人に話す話題をもらいながらなんとかその日を終えました。その後もLINEはよくしていたんです。お互いに嬉しかったことや進路の話とか。
 2回目に会った時に、これからどうしていくかという話になり、私は付き合うというイメージが出来ずそれを伝えました。でも今も好きだということも伝えました。彼の気持ちを聞く前に言ってしまったもんで、そこは少し後悔しています。
 高校に進学後、彼は留学に行くことになりました。ずっとLINEは続けていました。その頃には日常報告のような話が多かったです。そしてお土産に新聞紙とお菓子をくれました。久々に会い相変わらずでしたが、なんだか少し海外の空気を持っていたので、もう昔の彼ではないんだなとそこでもうこれ以上はないという終わりの雰囲気を私自身感じました。だけど、耳が赤かったことは見逃しませんでした。その姿には少し心がズキっとしましたが、全ていい思い出です。今は誕生日のLINEくらいです。もう消えつつありますが。
 そんな彼のことを書こうとした理由は、3年生の時、ノートをちぎって文通もどきをしていたその切れ端をずっと持っていたのです。それを今日捨てるつもりで。懐かしい気持ちになって書いてみました。
 今年の誕生日LINEは来るのかな。おわり。

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