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八千穂村のおばあちゃん家までドライブ

1980年5月のある晴天に恵まれた日曜日、八郡のおばあちゃん家までドライブ。
八千穂村は2005年3月20日に隣町と合併し、現在は佐久穂町となる。
自宅のある佐久市から国道141号を南下していく。
国道141号はやがて千曲川に沿った浸食谷の中央を上流に向かってすすむ。
清水町の信号機を右折し、メルヘン街道を少し上った右手山奥に八郡の集落がある。
おばあちゃん家は古い大きな家で、その庭先にはヤギ小屋があり、2頭のヤギが頭だけを小屋の外に出していた。
父が用事を終わらせるまで、従妹のおねえちゃんとヤギに人参を食べさせて遊んだ。
帰りに叔母が”みすず飴”をお土産に持たせてくれた。
”飴”と聞いて、キャンディー大好きなボクは大喜び。
帰りの車内で待ちきれず頂いたばかりの箱を開け、みすず飴を口に入れる。
みすず飴とは長野県土産の常連であり、ゼリーを羊羹で作ったかのようなフルーツ味の伝統的なお菓子である。
フィルムのようなオブラートに包まれた、ねっとりとした甘さと食感が苦手だった。
だが、飴を舐めながら車窓を流れる帰路の風景を楽しんだ。
隣で運転する父は、革巻きのハンドルを握り、子気味良い4速マニュアルトランスミッションのレバーを楽しそうに操作する。
父の車は日産サニーのクーペだった。
当時安価に購入できた大衆車ではあったが、スポーツグレードのこの車が大好きだった父。
だからこの日も機嫌よく愛車を駆っていた。
佐久市の自宅に到着すると、いつもの日常の空が戻ってきた。

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