非自立式シェルターを1年間使ってどうだったか
この記事では僕が1年間非自立式シェルターを使ってきて実際どうだったかをつらつら書いていく。
まず最初に僕がどのようなシチュエーションでどのようなスペックのテント(というより居住区間)を求めているのかを述べる。僕は自転車ツーリング(バイクパッキング)での使用を目的としており、軽量でとりあえず眠れる空間を得られれば良いと考えている。自転車に乗っているときはテントは重りでしかなく、僕の自転車ツーリングはそこまでキャンプを楽しむ要素は求めていない。かと言ってツーリング中は全部ネットカフェや無人駅での野宿でいいではないかと言われるとそうでもなく、ネットカフェや無人駅がない場所やシュラポンするには少しハードルが高そうなシチュエーション(例えば蚊が多いなど)の時にテントを使いたい。それでいてなるべくテントにかけるお金も抑えたいと色々探した結果、モンベルのU.L.モノフレームシェルターを購入した。シェルターはその名前から想像できるように登山中にビバークを余儀なくされたときに使う非常時の居住空間といった使用を目的とした製品である。そのため一般的な登山用テントよりも空間は狭く、過酷な環境での使用は推奨されていない。
このシェルターの特徴はなんといっても重量がポール込みで600グラム以下だということだろう。シングルウォールだからなのかもしれないが一般的なテントに比べえてぶっ飛んだ軽さである。下の写真の様にフォーク横につけることもできてしまう。(ポールはフレームバッグに収納)
軽さと引き換えに生まれた欠点もある。それは居住空間が狭いことに加えて非自立式であるということだろう。ポールがアーチ状に1本しかないため最低でもシェルターの2か所を地面の高さに固定する必要があるのだ。実際に使うと分かるが、非自立式というのが野宿をするうえで一番の弱点になる。前置きが長くなったがこの記事ではこのシェルターのレビューというよりどのように非自立式テントを野宿ツーリングで使ってきたかという方向で書いていきく。
実は一か所を固定できれば設営ができた
このシェルターは上から見たときにひし形でそれぞれの角の部分4か所とテントの中腹の部分4か所の計4か所をロープを介すなどして地面に固定できる。風が吹いていて最もテントを安定させたいときは8か所を上の写真の様に固定して設営ができる。しかし、実際はひし型の鋭角の部分2か所(ポール側じゃない部分)を固定すれば多少風が吹いていても問題なく設営ができる。なんだ、2か所は結局ペグを打つ必要があるのかというとそうではない。自転車ツーリングをしているならば寝るときに使わない重量物、そう、自転車をペグの代わりにしてしまえばいいのだ。
上の写真の様にBBのあたりにローブを結び付けることで固定できる。風が吹けばテントごと自転車が移動してしまわないか心配になるがそんな風の日にはどんなテントも設営は厳しいだろう。ちなみに僕の自転車はなにもパッキングしない状態で10キロはある。よほど軽い自転車でない限りこの方法は使えそうだ。自転車をペグとして使うことでたとえ地面がコンクリートでも一か所ロープを結べる箇所があればもう一か所はこのように自転車で固定が可能なのだ。今まで道の駅などで野宿をしてきたがペグが打てなくて非自立式シェルターが物理的に張れなかったことはない。
深い雪の中で自転車ペグすら使えなかった時...
まず最初にこのシェルターは3シーズン用で真冬での使用は想定されていない作りになっている。一応3か所にベンチレーションがあるものの、結露によって凍ってしまうことで換気ができなくなり最悪窒息してしまう...というのは分かっていても僕はマイナス20度前後の環境で普通に使っている。だからこのシェルターは真冬でも使えますと言えるわけではない(メーカーが想定していない)。しかし今までベンチレーションが凍結してしまったことは運が良かったためか無いので僕は冬でも問題なく使っている。
ある日僕は雪がコンクリートの上にそれなりに積もった場所でシェルターを張ろうとしていた。雪の下が土なら普通のペグも今までの経験では問題なく使えたのだが今回はそれが出来なかった。そして悪いことに自転車を倒しておく場所を全て雪かきするには体力的に疲れてしまう。積雪量は下の写真を参考に。テントを張った場所は膝まで埋まるくらいの積雪だった。
自転車をペグとしても使えないし、そもそも普通のペグすらも刺さらない。そして僕は冬用のペグを持っていない。そこで僕が試したのはスタッフバッグを埋めてロープを結び付けることでペグとして使おうというものだ。僕の自転車のフォークにはシュラフ、シェルター、エアマットを括り付けていてそれをしまっているオレンジ色のスタッフバッグを使った。オルトリーブの7Ⅼの物で強度と重量のバランスが良いのでお気に入りだ。
次にどのようにスタッフバッグをペグとして使ったかについて説明していく。
まず上の写真の様にスタッフバッグの中に適量の雪を入れて荷物を入れる時のようにロールアップしてデュラフレックス(パッチンととめるやつ)をシェルターの紐に通して止める。それをショベルで掘った穴に埋めて固めるだけだ。多少強くシェルターを引っ張ってみてもきちんと埋まっていればスタッフバッグが雪から出てくることもない。
2点を固定すると上の写真のようになる。いつも通り何の問題もなく設営ができる。シェルターの張り具合を調整するためにロープを介して設営してもよかったけれど僕はあまりロープワークは分かっていないのと、今回は夜通し風は強くなかったのでこれで十分だった。にしても雪の量が多い(笑)自転車をペグとして使うには除雪する雪の量が多すぎるのがよくわかる。
次にシェルターを撤収するときの注意点を説明する。単純にスタッフバッグを掘り起こせばいいのだけれど、スコップで勢いよく掘るとシェルターの一部をスコップで切ってしまったり、スタッフバッグに穴をあける原因になりかねない。そのためスコップで慎重に掘り起こしていく。
上の写真のように少し見えてきたらあとは手で引っ張れば掘り起こせる。雪が深すぎて普通のペグではどうしようもない時はこのようにして対応できることが今回よく分かった。長めの枝が落ちていたらそれらにロープを結び付けて埋めてしまうのも良いだろう。
夏はどうやって寝てるか?
今までは冬に使った体験を書いてきたけれどじゃあ夏はどうなのかというと、正直真夏は暑くて快適に寝れたもんじゃない…というのが僕の感想である。というのも冬は着こめば何とかなるものの、暑さに関してははどれだけ服を脱いでも暑くてどうしようもない。これ以外のテントで寝たことがないから何とも言えないけどこのシェルターはかなり小さいので熱がこもりやすいのではと思う。しかしそんな状況でも寝なくてはならないときもある。これはテントの使い方という観点からは逸れる気もするけれど、とにかく太い血管のある場所を冷たいペットボトルで冷やすことが効果的だろう。僕が実際にやっていたのは首の下に冷たいペットボトルを敷くというもの。たったこれだけでもかなり暑さを感じにくい気がする。熱中症になった時は脇の下や太ももの付け根、それから首を冷やすのが最も効果的に体を冷やす方法だと言われているがまさにそれを活用した感じになる。
写真上は8月の新潟でキャンプをした時のもの(中央の黄色のテントが僕の物)。見て分かるように地面からの湿気も多く中々暑い環境で初めはなかなか寝れなかったものの、自販機で買った水を枕代わりにしてみたらすぐに寝ることができた。
雨の日は使わない!(重要??)
最後に雨の日でも使えるかということだが、僕はこのシェルターを雨の日に使ったことはない。というか絶対に使いたくない!(笑)。というのもこのシェルターの生地の耐水圧は600mmとそれほど高くなく(フロア部分は耐水圧1,500mm)雨の日を想定したとは言えないと思えるからだ。モンベルが出してるシングルウォールテントでマイティドームという製品があるが、こちらは雨での使用の想定された山岳用テントで生地の耐水圧は20,000mm(フロアは1,500mm)となっている。雨が直接触れる生地の耐水圧の桁が違う...。これでこのシェルターをしとしと雨の中一晩使用したらどうなるのかは容易に想像できるだろう。では雨の日はどうするのかというとなるべく雨が当たらない場所にテントを張るかもしくはネットカフェに泊まる。身も蓋も無い考えかもしれないが、冒頭でも述べた通り僕がやっているのはキャンプではなく自転車でのツーリングだ。つまり走ることに重きを置いているため寝る手段はテント泊でもネットカフェ泊でも良いのだ。
以上ここまでモンベルのU.L.モノフレームシェルターを1年間使ってみた感触を書いてみた。非自立式テントという視点から見つつ、後半は視点がだいぶずれた気もするが恐らくこのシェルターの生地をもう書くことはない気がするので実際に使ってみて思ったことを色々書いてみた。
以上で今回の記事を終わりにさせてもらいます。どうもありがとうございました。