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私が容疑者に!?詐欺被害(未遂)にあった話。

旅行記の間に全く関係ない、物騒なタイトルですみません。しろあんです。

これは数日前に私が本当に体験した、今被害が拡大中の「あなたに逮捕状」をかたる詐欺の話です。

「逮捕状 詐欺」で検索するとたくさん出るので、気になる方はググってみてください。
自治体からも注意喚起がでています。

結論から言うと、私は実害は何もなく、未遂で終わりました。

本当の話かもしれない…と不安な思いを抱えながらも警察署に駆け込み、相談してすぐに言われたのは
「それは詐欺ですよ」でした。

今すごく多いパターンの詐欺で、騙されてお金を振り込んでいる方も多いようなので、啓蒙のために記しておきます。________________________________________

時間は14時。
職場にいたのですが、その日の午後はお休みを取ろうと思っていたので、業務を終わらせたら帰ろうと思っていた時でした。

私用のスマホが鳴りました。

普段だったら電話番号を見て、知らない番号は絶対出ないのに、その時に限ってはなぜかきちんと番号の確認をせずになんとなく出てしまいました。


話を聞くと、携帯電話会社のKD◯Iの社員だという。

※もちろん、以下は本当のKD◯Iの社員との会話ではありません。

👨‍💼「しろあんさんが契約している全ての携帯を、2時間以内に制限します」
と突然告げられました。

でも料金はきちんと毎月払っているし、そもそも契約しているキャリアが違うので、
「私の携帯はKD◯Iではありませんよ」と伝えると、
👨‍💼「末尾××××の番号ですよ」と。

もちろんそんな番号は知らないし、契約した覚えがないのでその旨を伝えると、
👨‍💼「この末尾××××の番号が詐欺に使われており、警察の要請で、この携帯の契約者の全ての携帯を2時間以内に止めなければならないんです。


ん?スマホが2時間以内に止められる…!?

正直、この言葉で「なんとか止められてしまうのを阻止しないと!」と完全に頭がパニックになったんだと思います。

👨‍💼に契約した覚えはないのか、契約内容を見ると2024年×月×日に都内の〇〇店で契約されている。
委任契約でされていて、あなたの身分証明書を使われている。
身分証明書を無くした覚えはないですか?
海外のサイトを使ったりしていませんか?

など、会話を重ねると次第により具体的な内容と質問になっていき、それっぽい会話をされます。

👨‍💼もしかしたら、身分証明書を不正利用されたのかも。
このまま警察署に緊急連絡で繋ぐから、被害届を出したい旨と、電話が止まらないように申請をしたい旨を話してください。

と親身になってアドバイスされました。

そしてそのまま警察署につないでもらい(冷静に考えるとそんなことあるはずないのに笑)、◾️◾️県警の◯◯さんに繋いでもらいました。

👮‍♂️どうしましたかー?
とカジュアルな感じで聞かれて、私はそれまでの話を簡潔に話しました。

すると、事件の内容など機密性の高い、より詳しい話もしたいから、
誰にも話を聞かれない場所、個室に移動するように指示され、私は言われるがままに会社内の個室に移動しました。

事件の内容は特殊詐欺で、なんと主犯格は警察や弁護士、銀行員という面々であり、すでに7人ほど逮捕されていること。
被害額は約300億で被害者が80名程度いること、被害者の中には家庭崩壊をする者や自殺をしてしまったものがいる、などを告げられました。

その中で、私が契約したとされる携帯が受け子に使われており、その携帯を使用した被害金額は1億3千万円であること。
そしてさらに某メインバンクで私名義で作られた銀行口座にお金が振り込まれていること。


そしてそして私はなんと、その携帯電話の名義人であり、騙し取ったお金を受け取った容疑者であること、すでに逮捕状が受理されており、今すぐにでも身柄を拘束される可能性があると告げられました。


そして今から逮捕状をメールで送りますので確認してください、と通話中にショートメールを送ってきました。

ご丁寧にこちらの個人情報と管轄県警等の記載がありましたので、加工しました。


たたたたたた逮捕状!????


と思いながらも、まだこの時は半信半疑。
なぜそんなことになっているのか理解できていないため、私からもいくつか質問をして、なんとか状況を把握して、誤解を解こうと努めました。

すると、
👮‍♂️「しろあんさん、あなたはいまどこか他人事のような話し方をされていますが、いつ逮捕され、収監されるかわからない立場なんですよ?

あなたはやっていない、被害者だと思っているかもしれませんが、あなたは今 容疑者なんですよ。

あなたの契約した携帯で被害者が30名以上いて被害届が出ている。この30件の被害届の取り調べだけでも最低2年かかり、2年は拘置所にいることになる。

ご自身の立場をよく理解した方が良いですよ。」
と少し強い口調で言われました。


私は他人に怒りや不安を簡単に口に出すタイプではなく、なるべく冷静に事態を把握しようとした姿勢をそのように指摘されたことで、
「自分ごとにしなきゃ、真剣にならないと」
と嘘の世界にさらにもう一歩引き込まれることに。

そして素直に自分の態度を反省しました笑。

そのあとは一転、親身になるそぶりを見せます。まさにアメとムチ。
👮‍♂️「とはいえ、しろあんさんとここまで話してきて、私の経験上、あなたが本当にここまで事件のことを知らずにいて、事件に関与している可能性は低いと思っています。

そしてそんな人を拘置所に送ることになるのは、私個人としては避けたいと思っている。

なので担当検事に繋ぐので、緊急逮捕は避けて優先調書にしてもらうようにしましょう。」
と提案されます。

優先調書とは、基本的には命の危険性がある方のみを対象としており、拘置所にいることができない人を一定の条件をつけて、リモートで調書をする、というものらしいです。

(文章にしたら恥ずかしいくらい意味のわからない話なのですが、この優先調書を掴み取るために、このあと私は奮闘します笑)


そして検事に繋いでもらい、検事を説得して優先調書を掴み取るミッションが始まります。

👮‍♂️からの事前情報によると、担当検事は法やルールを非常に重んじる方で、冷静でとても厳しい方である。
それでも誠意をもって、何を言われても食い下がって思いを伝えること、とアドバイスをもらいました。


これがとてもうまいな、と後で気づきました。
ここで自分が一生懸命になること、自分ゴト化させることで、この嘘の世界に本気になり、今起きていることが真実であると錯覚させるんです。


そうも気づかずにまんまと騙されている私は、必死に何度も検事を説得しましたが、結果はダメでした。

私はむしろ被害者であること。
KD◯Iからの連絡をきっかけに、特殊詐欺事件に関与している可能性があることを知り得て、警察の調書を1時間くらい受けた。
でも私には全く身に覚えがなく、潔白である。
自身の身の潔白を証明したいから今の今まで逃げず、事件解明に向けて積極的に協力的や姿勢で誠意を持って対応している。
そして今こうして検事とも話しをしている。
など、思いつく限りのことを話しました。

そんな努力も虚しく、
👨‍🎓あなたが守秘義務を守る確証はありません。
正式な手続きでの逮捕状であり、あなたの身柄を拘束することでむしろ証拠隠滅や逃亡の可能性はなくなり、我々の捜査にはメリットでしかない。
優先調書にする理由はひとつもない。以上。
と伝えられ、優先調書の夢は儚く散りました。


あ、ダメだった。
私、逮捕されちゃうんだ。
家族に理由も話せずに不安な思いをさせたまま、2年間も離れ離れになってしまうんだ。


非常に落胆しました。
そして大切な家族、今の会社、新しい会社に迷惑をかけてしまう、失ってしまう可能性があるんだと絶望しました。自死すら頭をよぎりました。


そのあと👮‍♂️に電話が戻り、説得したけどダメだった旨を伝えると、思わず感情が高まって涙が流れてきました。

そこからはすごく👮‍♂️は親身になってくれました。
落胆、絶望した私にアメを与えて信用できる人、頼れる人と信じ込ませるんですね。

👮‍♂️私がまた明日検事を説得し、嘆願書を出して、なんとか優先調書を勝ち取りましょう。
そのためには優先調書期間中に守らなければならない守秘義務を守れる人間であることを示して、それをエビデンスにして嘆願書とともに提出しましょう。


この守秘義務というワードは、👮‍♂️との会話で何度も何度も登場しました。

事件のことは家族にも会社の人にも誰にも話してはいけない、インターネットやSNSを使用してはいけない。

なぜなら、少しでも事件を掻乱してはならないから。
まだ容疑者が多数いる未解決事件において、証拠隠滅の可能性や逃亡の可能性が出てしまうからとそれらしい理由をつけて、周りに相談できない環境、精神状態に追い込み、情報を遮断させる方向に持っていかされます。


今にでも逮捕されてしまうのではないかという不安の中、これから私はどうしたらよいのか、藁をも掴む思いで👮‍♂️の話に耳を傾け、優先調書をなんとしても掴もうと必死になります。

そこで提案されたルールは下記の3つ。
・電話(Face time)を繋ぎっぱなしにすること
・画面共有をし、インターネットやSNSの使用画面、PCを使用する際はカメラを起動して内容が見えるようにすること
・行動はこまめにメッセージで報告すること


つまり、今の状況が詐欺であることに気づかれないよう、引き続き誰かに相談させる機会を与えず、情報を遮断させるためにそうさせるわけです。


私は喜んでその条件を飲み、電話は繋ぎっぱなしで、こまめに行動を報告することにしました。

会社内にいたので、とにかく一度家に帰ろうと急いで会社を後にし、電車に乗りました。

その間もメッセージで逐一状況を報告しました。

今会社を出ました
今電車に乗りました、〇〇へ向かいます
のような感じです。


そして不安でいっぱいで、今にも泣きそうな精神状態で電車に揺られていたら、ふと思ったんです。


あれ?今の状況って本当に信じていいことなんだっけ?


たしかに所々、違和感があった。
でも大切な人に迷惑をかけたくない、悲しませたくない、その一心でなんとか状況を打破する一手を掴もうとしていた。

でも…あれ…???

仕事している間の画面共有しなければならないって、会社の機密情報を漏洩することになるんじゃない?

私、KD◯Iから警察、検察まで、1本の電話でつながっていて、本当に◾️◾️警察の人なのか、確証がないんじゃ?


と違和感を感じていたことが急に思い浮かんで、でも本当かもしれない。。。

でも確かめたい。
情報漏洩や守秘義務違反にになってしまうかもしれないという不安を抱えたまま、持っていた会社用のスマホで
「◾️◾️警察 電話番号」とググりました。


表示された番号やそれに近しい番号なんて着歴にない。

あれ、私、だれと話しているんだっけ…??


あれ、おくられてきた逮捕状やあれこれの書面、なんでショートメールなんかで送ってきているの?
情報漏洩、機密情報???


一度ひらめいたら、点が線になっていく感覚になり、これは嘘の話かもしれない、という可能性を見出し、
「最寄りの警察署に相談したらどうだろうか」と思いつきました。


とはいえそれでも恐怖を植え付けられた洗脳されている最中なので、
「もし本当のことだったとしても、警察官に話すのは守秘義務違反にならないのでは」と自分に言い聞かせて鼓舞しました。

最寄り駅に着いてからはひたすらまっすぐに、そして少し小走りぎみに警察署へ向かいました。


ギリギリな精神状態なので、たまたまエレベーターが一緒になった男性すらも怪しい人なんじゃないかと疑心暗鬼になり、
窓口について警察官を目の前にして私が口から発した言葉は、とてもか細い小さい声で

「もしかしたら、私は今トラブルに巻き込まれている可能性があります。
どうしても人に聞かれたくないので、どこか個室で話しをさせてくれませんか」

でした。

エレベーターで一緒になった人は、もしかしたら私を騙した詐欺師が後をつけてきたんじゃないかと思ったんです笑。


それから刑事さんと別のフロアに移動して個室に通してもらい、お話を聞いていただきました。

(話がそれますが、個室のドアは全て開けっぱなしの形でした。男性刑事だったため、余計なトラブルにならないような配慮だったのだと思います。

※窓口で声をかけた後すぐに、話を聞くのは女性刑事の方が良いかの確認もしてくれました。

途中から女性の刑事さん、ベテラン男性刑事さんも入ってこられ、とても安心な環境下でお話しさせていただきました。感謝。)


すると開口一番に
「それは詐欺ですよ。最近多いんですよ、その詐欺」と言われ、
思わず「よかったーーー😂」と発し、ガチガチに緊張していた体の力が一気に抜けました。

本当に、嘘で良かったー😭!!!の一言に尽きました笑


それからは着信履歴やメッセージのやりとり、持ち帰っていた電話中のメモを見てもらいながら、なるべく冷静に詳細をお話ししました。

私の場合は金銭被害などの実害がないので被害届の提出などはなし、相談にきた人という扱いで、事例を共有する形で終了しました。


私の場合は以下の2つがグッドポイントだったね、と刑事さんに言われました。
①帰宅中の電車で冷静になる時間ができたこと
②最寄りの警察署に駆け込んだこと

②に関しては、1ヶ月ほど前にたまたま警察署に行く機会があり、警察署へ行くことの心理的ハードルが下がっていたことが功を奏しました。

その時に警察署に行く機会がなかったら、警察署に行くという選択肢が思い浮かばなかった可能性もあったかもなーと。


刑事さんからいただいたアドバイスは、下記の通りです。
・海外からの電話には出ない
・話を聞いて怪しいと思ったら、すぐに無視、ブロックする
・信頼できる人や警察に相談し、1人で悩まない
・警察はメッセージでやりとりしない
 まして文章をメッセージで送るなんてしない
・逮捕は予告されません笑
・詐欺グループの最終目的はあくまでもお金であり、会話の中で話した個人情報を利用してまで何か悪さされる可能性はほぼない________________________________________

こんな詐欺なんて引っかかるわけないじゃーん!と私もずっと思ってました。

いざ文字に起こすと、あまりにも馬鹿馬鹿しい内容だとも思います。

しかしいざ引っかかってみると、詐欺グループの役者のような迫真の演技と一連のストーリー性、人の弱みにうまく漬け込み心理を操るテクニック、本当にすごいと思いました。


私は約4時間の時間騙されて不安な思いをしただけで、実害がないからこそ笑い話で済みました。
でも笑い話で済んだからこそ、恥を忍んで啓蒙するために書こうと思いました。


明日は我が身と思っていただき、ぜひ周りの方にもお伝えいただいて、被害に遭う方が1人でも出ないよう、お役に立てたら幸いです。

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