スタートアップにおけるビジネスプロセスマネジメント
こんにちは、「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに、医療プラットフォームを提供しているUbie株式会社のshiroです。
この記事は#Ubieアドベントカレンダー4日目にエントリーしています。
Ubie2023年ハイライトは代表のquvoの記事をご覧ください!
事業、組織共に変化、進化の真っ只中にあるUbieですが、そんな中で後回しにされがちなのがビジネスプロセス。
ちゃんとしないと後で痛い目を見るのは分かっているけど、そうも言っていられないのがスタートアップの常ですよね。
多分に漏れずUbieでも現在進行形でそんな葛藤に直面しており、日夜奮闘中です。
主にスタートアップの事業責任者、バックオフィスを司る方々に向けて、参考事例としてご紹介出来ればと思います。
そもそもビジネスプロセスとは?
「ビジネスプロセス」という言葉自体の解釈にボラが発生しがちです。
ちなみにchantGPTの回答は以下の通り。
Ubieの場合はSaaS事業をメインに展開しているので、生産≒開発についてはスコープ外とし、以下のように定義しています。
商談発生~仕訳計上に至るまでに発生する販売管理業務
営業活動に資する購買管理業務
本記事でも「ビジネスプロセス」という言葉を使う場合は上記の事を指しているので、ご承知おきください。
Ubieが直面している課題
事業フェーズによって異なる課題
Ubieではフェーズの異なる複数の事業が同時並行で進んでおり、それぞれ抱える課題は様々です。
他にも事業化のタネが日々生まれてきている状況で、プロセスにどれだけ統制を利かせるかは悩ましい問題です。
医療という事業ドメインの特性上、取り扱う情報にセンシティブな内容も多く、一概に「問題が顕在化してから考えよう」とするには大きなリスクを孕みます。
また組織規模として大きくなってきた点も、プロセスコントロールを難しくしている一因です。従業員数250名を超えると、プロセスの理解、浸透にもそれなりのコストと時間が必要になってきました。
事業拡大に伴ってコスト/リスクは肥大化する
もう少し解像度を上げるため、前述の事業Aをサンプルに、実際に起きた事象を書き出してみます。一部は今も解消に向けて絶賛対応中の内容です。
商品設計が固まり切らないフェーズで、イレギュラーを許容しながら顧客へ販売してきた結果、継続的にイレギュラーが生み出され続けて請求・計上業務の対応工数(現状把握や調査など)、リスク(請求・計上のミスや必要以上のコスト増大)が拡大し続ける負のループ。
イレギュラー案件に対応するために項目が増やされ続け、モンサンミッシェル状態となった販売管理システム。正しく売上計上するためのオペレーションが複雑化し、ミスの温床になっている。改善しようにも何をいじったらどこに影響が及ぶか分からない。
準拠すべき収益認識基準と、現在のサービス・契約の実態と一部乖離が生じており、修正対応が必要。
まさにこれから事業をスケールしようとした時に、以上のような状況が収益性のボトルネックとなり、抜本的な見直しが必要となりました。
課題解決に必要なスイッチングコストも決して馬鹿になりません。多少なりとも社内のハレーションも発生します。
同じような課題は、多かれ少なかれ読者の皆様もご経験があるのではないでしょうか。
”負債”は悪か?
大切なのはスケーラブルであること
こうした課題を踏まえて、今年に入ってから本腰を入れてビジネスプロセスとの付き合い方を考え始めました。
悩ましいのは各事業で状況が全く異なる点ですが、各事業のビジネスプロセスマネジメントによるROIを突き詰めると、本質的には「その事業はスケーラブルか?」という問いに辿り着きます。
スピード/コスト/リスクのトレードオフ
ビジネスプロセスのROIを思考する時、概ねスピード、コスト、リスクの3軸で説明がつきます。
リスクを過度にケアし、膨大なコストを投下し、スピードが鈍化してキャッシュが枯渇したら元も子もないですよね。
リターン評価の観点として「売上」を入れたくなるのですが、売上はプロセスを整えて得られるリターンではなく、前提の事業戦略によるものとして切り分けます。でないとスコープが広がり過ぎて、議論が発散しがちなので。
上記の3軸でROI判断に足る情報を整理した上で、タイミング≒事業フェーズを踏まえた意思決定が必要です。
”負債”は意図的に積む
キャッシュに余裕のないスタートアップではスピードが命であり、最初から後工程を踏まえてプロセス設計する時間を取れないのも事実です。
とりわけtoBの領域においては顧客の課題は様々であり、最初から提供するプロダクト、サービスが定まっているわけではありません。
未来に”負債”を積むのも無理からぬ話です。
ここで重要なのは、積まれた”負債”がコントロールされた状態であること。
解消が難しい大きな”負債”(大口顧客との契約など)や、一度でも発生したら事業継続そのものが危ぶまれる”負債”(セキュリティ事故など)が放置されている状態は、とても「スケーラブルである」とは言えないですよね。
事業の置かれた状況を踏まえ、スピード、コスト、リスクを見定めた上で、適切に”負債”が積まれた状態を、Ubieでは「スケーラブルである」と捉えています。
最後に、事業のスケーラビリティ獲得のために、社内で取り組んできたことを簡単にご紹介します。
"スケーラビリティ"の獲得まで
全体像の理解浸透
最初に取り組んだのがこれです。
社内のステークホルダーが多過ぎて、それぞれ断片的には理解しているものの、ビジネスプロセスの全体像を把握している人は皆無でした。
そこで全社のOKRとして定めて、各事業から関係者をアサインし、課題の整理に着手しました。
この過程を通じて社内関係者間で相互理解が進み、今の課題解決推進体制のベースとなりました。相応の工数は掛かりましたが、当時のUbieには必要なステップであったと思います。
ガバナンス設計
課題全体の理解が浸透したのは良いのですが、自律的かつ継続的に課題解決出来る組織体制でなければ、いずれまた同じ状況に戻ります。
いわゆるバックオフィスが中央集権的に管理するには各事業の様相が異なるし、事業成長の足かせにもなりかねません。
詳細は割愛しますが、各事業からビジネスプロセスに責務を持つロールをアサインし、事業運営上の課題や執行状況をモニタリングする体制と会議体を構築しています。
Trust&Ownership
ビジネスプロセスという大きなIssueに向き合う時、特定の一人で解決出来るものではありません。
各人が必要十分な解像度で全体及び自身の役割を理解し、その上で自分の役割にフォーカスしながら、総体として機能することが極めて重要です。
Trust&Ownershipという言葉はUbieのバリューの一つですが、バリューとして社員に根付いている点は、ビジネスプロセスの課題解決にあたって大きな強みです。
そしてUbieにはそれを実行出来るプロフェッショナルが集まっています。
最後に
とは言え、事業成長スピードに対して十分な体制とは言い難い状況です。
Ubieでは一緒に働きたいメンバーをまだまだ募集しています!
興味を持っていただけた方はカジュアル面談もご用意しています。お気軽にご登録お待ちしています!
【提供するサービス一覧】
▽生活者向け 症状検索エンジン「ユビー」
日本版:https://ubie.app/
US版:https://ubiehealth.com
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