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33歳の育休04∣東京での出産と子育て

 2024年春に娘を出産しました。出産する1ヶ月前までは中国地方に7年住んでいた。その前は東京の23区に7年居住。今回の引越しは7年ぶりのTOKYO!だ。

 中国地方での暮らしはなかなか気に入っていた。電車に乗らなければ苦労しない。車があれば天国だった。私は元々田舎育ちなので、駅前に行けばイオンもデパートもありすべて完結するそこそこの田舎が心地よかったのかもしれない。
 不妊治療しながら漠然と、子育てするならそこそこの田舎で、と思っていたけど、夫が精神的に限界を迎えて倒れたので、今年授かっても授からなくても年度末には休職して一旦東京に戻ってリセットしようと考えていた。
 そしたら、3回目の採卵で育った4AAの卵が3回目の移植で妊娠成立し、無事に出産までたどり着いた。

 ということで、東京での出産と育児を経験することになった。7年前に住んでいた沿線に舞い戻ってきた。都心まで一本でたどり着くこの路線が気に入っている。街並みもほどよく昔の風景が残っていて良い。個人でやっている小さなお店がたくさんあるのもいい。自分のこだわりにフィットするお店を探す楽しみがある。
 それで、とりあえず、慣れたところに引越してきたものの、東京で育児をする自分は想像がつかない。そこそこの田舎、地方都市なら、イオンに行ってスタバかタリーズで暇つぶしするんだろう。あと、パン屋行ったり。お世話になってたダンススタジオのママさんクラスに行ったり。
 東京では?どないしたらいいの?まず、東京は私が多感な時代を過ごしたユートピア&サバイブな思い出の地であって、「子育て」「赤ちゃん」「家族」とは全く結びつかない。

 休みなくダンスして、バイト終わって朝まで飲んで、何ヶ月も前からチケット買ってた公演を友達と観に行って帰りに飲んで、ダンスつくって舞台制作やって、時間が足りないから自分のアパートでみんなで朝まで話し合いして、朝練キツくて、授業は起きてられないときもあって、必修落としたりして。
 串揚げはうまい。ワインがうまい。ジントニックはライムを絞りすぎないでトニックとソーダを半々で割るとうまい。石垣牛のステーキうまい。ふぐの唐揚げうまい。中目黒のさくらはきれい。吉祥寺は何回行っても飽きない。目立たないところにあるケーキ屋がうまい。逆に、なんでこの味で何年もやってるの?って店もある。

 夜中まで飲んだ時は道で寝てる酔っぱらいを警察に通報して帰る。朝まで飲んだときは、駅に向かうスーツ姿の大人と逆行している自分が恥ずかしい。
 何かがんばることができていたし、同じ熱量でがんばっている友達がいた。それぞれ異常な性能のエンジンを積んでいたように思う。記憶にあるのは、そんなかんじのアグレッシブな暮らしだ。

 子育てはそれの対極にあると思っていた。産前休業に入る前から、飲みにはいかないし、早く寝る。まだ電車が動いている時間にベッドに入ってぐっすり眠る。終電を逃して1時間歩くこともない。
 東京は「目標必達!」みたいなアツい何かがないと住めないのではないかと錯覚していた。

 実際はどうかと考えてみると、非常に快適だと思う。10分も歩けばいくつか児童館があって、30分歩けばそこそこ大きな駅でケーキや焼き菓子やおいしいコーヒーを買える。いまの住まいの最寄り駅は小さな駅だけど、それでも駅まで数分歩けばカフェもあるしケーキ屋さんもある。すき家も、蕎麦屋も、お弁当屋もある。最寄り駅を基点にして東西南北にあてもなく散歩をすればいつも発見がある。散歩コースは全くマンネリ化しなくていつも新鮮だ。

 電車はあまり乗らないし、乗るときは空いている時間や各停を利用するから、ツイッターで見るような辛辣な出来事も経験しない。むしろ、優先席やエレベーターで出会うシニアは赤ちゃんの存在に気が付くと赤ちゃんに笑いかけてくれたり、私に話しかけたりしてくれる。貴重な大人とのコミュニケーションタイムが思いがけず発生する。東京での子育ては孤独だと思っていたがそうでもない。

 そして、一時預かりと産後ケアが充実しているのはありがたい。住んでいた地方都市だと、東京の自治体ほど一時預かりや産後ケア施設はなかった。
 東京では、数は力、つまり税の力を感じる。私が移り住んだ東京の自治体はベビーシッター代の助成があり、ほぼシッターさんの交通費のみでサービスを利用することができる。納税者の皆様ほんとうにありがとうございます。
 あとは、自治体のスポーツ協会ががんばっていて、親子体操を安く受講できるのもありがたい。スポーツジムには託児サービスがないし、ダンススタジオとかでやっている親子教室はだいたい1回2,000円くらい。ダンスレッスンに託児がついているところは追加料金が必要だし、家の近くにあるとは限らない。ところが、自治体が主催の教室は1回あたり1,000円以下のケースがほとんど。しかも駐車場は無料!こういったサービスはなくならないように積極的に利用したい。
 百合子が選挙前にがんばって始めた018サポートも、伴走型支援が他の都道府県より50,000円多いのも助かってる。私が移り住んだ自治体は子どもの医療費が無料だし。

 家賃は高いけど、暇つぶしに事欠かない東京での子育て生活は思ってたより良かった。

 なによりいちばんいいのは、私のことを知ってる人が誰もいなくて、すっぴんボサ髪パジャマのまま歩いていても何の問題も起きないこと。朝の散歩は小学生も会社員もいる時間帯だけど、誰も私のことなんて気にしてない。そもそも東京には変な人がたくさんいる。ちゃんと身なりを整えて歩いている人は、私を「朝たまにすれ違う変な人」にカテゴライズしているのかもしれない。
 地方都市で教員をやっていると学生と生活圏が丸かぶりで、買い物も気を使うし、行動が模範的でないといけなかったから、そうしなくてもよくなったのはいちばん大きな変化だ。

 

 




#上京のはなし

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