「暑いなあ、発電しとくか」という未来の話
どちゃくそに暑いですね。先日夏ディズニーを堪能してきましたが、4回くらい溶けて液体化してました。
どうにかならないんでしょうか?地球温暖化によって、今後もっと暑くなるのは避けられないかもしれませんね。でも外は暑いから無理せずエアコン使いましょう、という矛盾あふれる世界……。
そんな「熱」を使って「電気」を生み出せたら、なんだか最高だと思いません?今回はそんな「物理」ジャンルの研究をピックアップしました。
熱電変換とは?
「熱から電気を作る」、つまり「熱電変換」というのは、まだあまり馴染みがありませんよね。電気を生み出すと言えば、発電タービンをぶん回すか、太陽光パネルを日光に捧げるとか、そういうイメージが強いでしょう。
しかし「熱電変換」の原理自体は、実は産業革命の時代からあったそうなんです。
では、一体どういう仕組なのでしょうか?
まずは恐ろしくざっくり説明します。物体に温度差を作る、つまり片方は冷やし、もう片方を熱すると、その間で電子が動きます。その結果、電気が発生するという感じです。
電気っていうのは、電子が動くことで発生します。蛇口にホースをつけて水を流すと、ホースから水がどわ〜って出てきますよね。そのようなイメージを持っていただくとわかりやすそうです。
熱電変換にはさまざまなメリットがあるとか。
熱電変換の研究例
そんな熱電変換ですが、近年さまざまな物質で熱電変換の研究が進められています。例えば……
ガラス窓に組み込める透明な熱電物質
主にポリシリコンという材料で作られていて、5〜10度程度の温度差で発電が可能。窓として活用できれば、今年みたいな地獄の夏日にはじゃんじゃん発電できそう。
インクとして使える熱電物質
液体状態にできるので、何かしらに印刷できる。いろんなデザインやモノに使えそう。下敷きとかに印刷して「これで発電してんねん」とか話す世界がやってきたりして……?
イオン液体を用いた拡張グラファイト/炭素繊維セメント複合材料
小難しい単語が並んでいるけど、つまり「熱電変換できる液体をセメントにぶち込む技術」のこと。建物自体で発電できるようになるかもしれない。建ってるだけで電気を自給自足できるとかすごくない??
……という感じ。今は発電所がでかいタービンを回して発電しているけど、もしかしたら「家を建てたら電気は自給自足」みたいな感じになるかもしれませんね。
しかも、使うのは熱のみ。熱っていろんな場面で無駄になっているケースが多いみたいです。たしかに車をブンブン乗り回したあと「エンジンが熱くなっている!エネルギーとして使おう!」とは考えないですよね。
特に車は光熱が発生しやすいので、熱電変換に向いているとも言われています。
実用化までの課題
かなり夢のある話な気がしますが、まだ大規模な実用化には至っていません。課題は次の2つ。
発電効率が低い
費用が高い
つまりもっとコスパの良い素材でじゃんじゃん発電できるようになれば、色んな場面でエネルギーを回収しまくれるわけです。日本やアジアで研究が進んでいるみたいなので、ぜひとも頑張っていただきたいですね〜。
これを書いている今(2024/08/06)も外は溶けそうな暑さです。いつかこの暑さが「救世主」になってくれたら最高ですね。
そんな物理学のお話でした。
引用文献
Ji, T., Zhang, S., He, Y., Zhang, X., & Li, W. (2022). Enhanced Thermoelectric Efficiency of Cement-Based Materials with Cuprous Oxide for Sustainable Buildings. Advances in Materials Science and Engineering, 2022, Article ID 6403756. https://doi.org/10.1155/2022/6403756
Jabri, M., Masoumi, S., Sajadirad, F., West, R. P., & Pakdel, A. (2023). Thermoelectric energy conversion in buildings. Materials Today Energy, 32, 101257. https://doi.org/10.1016/j.mtener.2023.101257
Sun, S., Shi, X. L., Liu, W. D., Wu, T., Wang, D., Wu, H., Zhang, X., Wang, Y., Liu, Q., & Chen, Z. G. (2022). Cheap, Large-Scale, and High-Performance Graphite-Based Flexible Thermoelectric Materials and Devices with Supernormal Industry Feasibility. ACS Applied Materials & Interfaces, 14(6), 8066-8075. https://doi.org/10.1021/acsami.1c24649
Rudradawong, C., Kitiwan, M., Goto, T., & Ruttanapun, C. (2020). Positive ionic conduction of mayenite cement Ca12Al14O33/nano-carbon black composites on dielectric and thermoelectric properties. Materials Today Communications, 22, 100820. https://doi.org/10.1016/j.mtcomm.2019.100820
Wei, J., Li, X., Wang, Y., Chen, B., Qiao, S., Zhang, Q., & Xue, F. (2021). Record high thermoelectric performance of expanded graphite/carbon fiber cement composites enhanced by ionic liquid 1-butyl-3-methylimidazolium bromide for building energy harvesting. Journal of Materials Chemistry C, 9(12), 3682-3691. https://doi.org/10.1039/D0TC05595F
【業界トレンドNEWS】62号 未来の電力供給にむけた新しい挑戦!熱電変換による新しい発電を目指して。|業界トレンド情報|DENZAI TERASU|Panasonic https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/trend/trendnews/future/
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