靴下の穴とドーナツの穴は同じ

靴下を捨てるタイミングっていつだろう。大体の人は親指に穴が開いたら捨てるはずだ。ドーナツに穴が空いてる理由を知ってる人はどれくらいいるだろう。大体の人は「ドーナツとはそういうもんだ」と思って食べてるはずだ。

小さい頃の夢ってなんだったか覚えてる?私はネコだ。周りの友達がやれプリキュアだセーラームーンだお姫様だとキラキラした女の子を夢見ているのを横目に人間以外に夢を見出してた。別に人間辞めたいわけじゃないけど。たぶんネコのごはんが美味そうだったからだと思う。缶に「マグロ」って書いてあるんだよ。猫は毎日マグロ食ってんの。羨ましかったな〜…ま、子供の夢なんてそんなもんだ。

子供が抱く将来の夢なんてものはコロコロと変わる。世の中知らないことだらけで全てがキラキラして見えるからだ。私は今でも夢見がちガールである。別に世の中知らないことだらけなわけじゃないし、キラキラしたもの以外も見えてしまっているがそれでも次から次へと夢が出てくる。近々で叶えた夢は「猫舌のくせに熱々の小籠包が食べたい」だ。熱すぎて味はよくわからなかったけど夢を実現させた充実の味がしたのは覚えてる。

叶えられなかった夢は多い。その中の一つに「ラジオパーソナリティになりたい」っつーもんがある。喋ることが好きだから、なんて単純な理由だけど確かに私の夢だった。最近この夢を叶えることは不可能だが、真似事なら出来ることに気がついた。「ポッドキャスト」なるものを見つけたのだ。ただただ好き勝手に喋っているが、これもまた充実の音がした。

全ての夢を叶えた人などたぶんこの世に存在しない。と、思う。たぶんね。大体の人は大きな夢を見ながら一握り叶えた小さな夢の充実の温度を握りしめて生きているだろう。その先に大きな夢を叶える自分の姿を想像して。そしてこの大きな夢を叶えた人はまた更に大きい夢を見始める。夢は恐らく死ぬまで消えることはない。次々に自分の中に現れる夢の存在に違和感を抱くことなくそれを自然に受け入れながら人は生きてる。「夢がない」って言う人もいるけどたぶんないことは"ない"。一つもないことは"ない"んだ。

靴下に開いた穴もドーナツの穴も人が抱く夢も、とどのつまりは"それ"が存在するのに必要なもんなんだろう。


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