たまには山に恩返し in 知床 / 近自然工法で遊歩道を直す
※こちらの記事は2020年11月4日のブログから移行したものです。
スタッフの寺山です。
知床では紅葉もほぼ終わり秋終盤を迎えました。雪虫が冬の気配を運びだした10月26日、知床財団さん主催の「たまには山に恩返し in 知床」に参加しました。
いつも遊ばせてもらっているフレペの滝遊歩道を修復する「道直し」作業です。
「たまには山に恩返し」
自然を感じるには自分の足で歩くのが一番ですよね。
ただ日頃文明の中で快適に暮らしている私たちが、野生動物のように道なき道を入っていくのはちょっと無理。そこで登山道や遊歩道にお世話になるのが一般的です。
人が歩けば道ができ、踏まれた場所はまわりより少し低くなります。雨が降れば低くなった道を水が走り、道はいつしか谷のように侵食されていきます。つまり登山道や遊歩道を快適に使い続けるためには、時折「道直し」が必要なのです。
いつもお世話になっている登山道の侵食に心を痛め、自分たちでできる恩返しを模索して始まったのが、ボランティアによる登山道の道直しイベント「たまには山に恩返し」です。今回は、知床財団さんが企画し、北海道・大雪山で10年前から活動の中心となっている3人の方を知床に招いていただきました。
近自然工法とは
道直しの作業は、近自然工法という考え方に基づきます。
作業にはコンクリートや杭は極力使わず、地形を活かし、水の流れを読み、周辺にある石や倒木を用います。
自然に近い整備方法、という理解をしていたのですが、その目的はもっと深く、施工後、時の流れとともに自然に近づいていくことを目指しているとのこと。
詳しくは一般社団法人 大雪山・山守隊のサイトをご覧頂きたいのですが、施工することで生態系が復元し、自然が再生していくことを志す、この工法の哲学と呼ぶべきものに深く共感しました。
実際の作業の大部分は材料となる石や倒木の運搬です。遊歩道には車は入れませんから、人力で運びます。石の重みで体中の筋肉が軋み、翌日は全身筋肉痛に見舞われる重労働でしたが、参加者で励まし合い、交代しながら、道が変わっていくのは達成感のある楽しい時間でした。
1日の作業で、いつもちょっと不安を感じながら歩いていた部分が、とても自然で快適な道になりました。出来上がったのは、道そのものと、自分たちの使うものをちゃんと賄おうという仲間意識。
近自然工法、素晴らしい!