お盆のバス
『ねぇ、あなた、
次のバス停で降りた方がいいわよ。』
ずいぶんと暗い、夏の夕方だった。
いつものように、バスに乗ったら、
品のよいご婦人が話しかけてきた。
『え?』
私は、だれかと勘違いされているのかと思った。
このご婦人とは、面識がない。はずだ。
『、、、えーっと、、、』
『うん、私は貴女、知っているのよ。
よく、○○学校前のバス亭にいるわね?
よくって言っても、夏や雨の日だけ、
週に2回くらいかしら?』
『はい。』
その通りだ。どうして?
『貴女ね、一本後のバスに乗るはずだったのよ?
いっぽん、あと!
これじゃなくて。今なら、多分大丈夫だから、
さぁ!ボタンを押して。』
そう言って急かす。
全くわけがわからない。
『けど、このバス最終ですよね?』
『、、、まぁ、ある意味では最終ね。
貴女もいつかは、乗るでしょうね。
いいから、まずそのボタンを押してちょうだい!
さぁ!』
『、、、はぁ、、、。』
まぁ、暑いからな、変な人もいるのか。
外の景色をみる。
私は、呼吸がとまりそうになる。
すぐに彼女のいう事を聞いてボタンを押す。
指先が震えている。
次で降りたら、間に合うのだろうか?
隣でちいさく、大丈夫よ、と聞こえた気がした。
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