『ｼｮｰﾄｼｮｰﾄ』チョコニート

３月中旬。
日本では、一時的にニートが増える。

バレンタインに、チョコレートを贈り、
受け取ってもらえた女性たちだ。
(まれに、男性もいる。)

バレンタインのお返しに、
ひと月分の、休暇を贈るのが流行ったせいだ。

彼女たちは、
ひと月、きっちり休み、休暇を楽しむ。
家でゆったり過ごすもよし、
旅行に行くもよし。

一か月分の生活費を、
ホワイトデーに受け取れるのだ。

世間では、これを、
チョコニートと呼んだ。

心意気で、上乗せしてくる男性もいる。
世間の相場は、２５万からで、
都心だと、３０万からだ。

１０倍返しの時代は、とっくに終わっていた。

ひと月気兼ねなく休んだ女たちは、
お肌もつるんとして、機嫌がよく、
ますます美しくなった。

はじめは、悪習と恨まれたが、
いつしかこれが、男の甲斐性のように言われだした。


女性が元気で、ゆったりすることで、
日本経済は、また潤っていった。

まさかニートが、経済の起爆剤になるとは。
どんな時代も、鍵は女が握っているようだ。