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安青錦 新十両インタビュー@NHK大相撲(文字起こし)

Аонішікі Арата (Данило Явгусішин). Інтерв'ю з нагоди виходу до другого дивізіону "Дзюрьо" у програмі "NHK Одзумо".
Транскрипція запису інтерв'ю до тексту. 

あおにしきぜき しんじゅうりょうインタビュー NHKおおずもう
にほんごでよむ



令和6年11月場所(九州場所)が終わって、早やひと月以上が経過した。

九州場所3日目に放送された、安青錦関の新十両インタビュー。

ずっと文字起こししたいと思っていたが、12分にわたるロングインタビューでなかなか手に付かず、ひと月半も放置してしまった。

このままでは、文字起こしできないまま初場所を迎えてしまいそうだったので(そうなったらたぶん永遠にお蔵入り)、年越しの気合いで記事にした(頑張った!)。

諸事情あって、モニターを写真撮影しているので、画質がレトロゲームみたいにガタガタだが、ご容赦いただきたい。


文字起こしをしていて気づいたこと。

安青錦関、師匠の口癖「まあ」がうつっている!

場所中にリアルタイムでインタビューを見た時も「なんか話し方が師匠に似てるな・・・」とは漠然と感じていたが、文字起こし作業の過程で「完全に口癖がうつっている!」と確信した。

イントネーションも、なんとなく関西(関大仕込み?)と青森(師匠=青森県西津軽郡深浦町出身、安大翔さん=青森県立三本木農業高卒[出身は宮城県栗原市]、安響さん=青森県つがる市出身、安櫻さん=青森県西津軽郡深浦町出身の影響?)のハイブリッド?

安治川部屋の公用語も、伊勢ヶ濱部屋のように、津軽弁強めの青森弁なのだろうか。

いい!すごくあったかい!

相撲の面でも、すでに業師の片鱗が覗きまくっているし、これは師匠には可愛くてたまらんだろうし、往年の安美錦関ファンにとってもたまらん関取の誕生だろう。

先日発表された初場所新番付では、同郷の先輩・獅司関(西十両4枚目、雷部屋、ウクライナ・ザポリージャ州メリトポリ出身)と隣り合わせの番付(西十両5枚目)まで上げてきた。

初場所では、かなりの確率で、ウクライナ・ダービーが組まれる可能性が高いのではないか。

今からワクワクが止まらない!!



※ 記事は敬称略。






安青錦 新十両インタビュー@NHK大相撲(文字起こし)



――(酒井アナウンサー) 新十両インタビュー。ウクライナ出身、安治川部屋の安青錦関です。関取昇進おめでとうございます。

安青錦関(以下、敬称略)
(一礼)「ありがとうございます」


(画面テロップ)
新十両 東11 安青錦(ウクライナ・安治川)
本名:ヤブグシシン・ダニーロ(20歳)180cm 125kg
令和4年4月に来日し、関西大で稽古を積む
初土俵:令和5年・秋
安治川部屋(元安美錦)創設後 初の関取


―― 関取としての日々は、どうでしょうか。

安青錦
「まあ、そうですね。まあ、嬉しいです」

―― ここまで3番、相撲を取りました。全部勝ちました。気分どうですか。

安青錦
「まあ、そうですね。あとまだこれから長いんで。まあ、一番一番集中して、自分の相撲を取れるように頑張ります」

―― 画面では、プロフィールもご紹介しています。あの、まだ弱冠20歳と言うね。とっても若い力士ですけれども。一気に番付を駆け上がって、関取昇進を果たしました。それにしても、関取。一昨年[2022年]の4月に来日をして。

安青錦
「はい」(頷く)

―― もうその日本語力。

安青錦
「いや」(首を振りながら、はにかみ微笑)

―― とってもお上手ですね。

安青錦
「ありがとうございます」

―― どうやって覚えたんですか。

安青錦
「いや何か、部屋でみんなと一緒に生活しながら。何となく覚えましたね」

―― そうですか。あの、十両の取組というのは、緊張感というのはこれまでと違いますか。

安青錦
「そうですね。まあ、今3日しか経ってないですけど[九州場所3日目、十両の取組を終え、中入りの中継インタビュー]。まあ、だいぶん相撲というより、流れの緊張感のほうが強いですね。はい」

―― 所作も違いますし。

安青錦
「そうですね。所作だったり、土俵入りだったり。どっちの足から上がるかな?って。何かそういう緊張感があります」

―― 相撲は、本当に素晴らしい相撲を3日間取っているというところで。初日、藤青雲関に勝った相撲を。では、一緒にご覧ください。


(画面:初日、安青錦-藤青雲の取組動画を再生)


―― 相撲は、それほど緊張しなかったという話でしたけど。内容はどうでしたか。

安青錦
「そうですね。攻めるところは良かったと思うんですけど。まあどうしても右上手取ってから、あそこはもっとしっかり脇締めて、投げじゃなくて前にもって行けれるように。はい」


(画面テロップ)
安青錦
令5 九   序ノ口14   -0(優)
令6 初   序二段10   -0(優)
   春   三段目18   -1
   夏   幕下40    -1
   名    〃 17   -1
   秋    〃  4     -1
   九 (新)十両11     3-0


―― 十両の白星の喜びというのは、これまでと、幕下以下と何か違いは?

安青錦
「そうですね。やっぱ15日間やらないといけないという。15番あって。そこの中で3番しか勝ってないって、やっぱりまだまだなんですね[まだまだ千秋楽まで先は長い、の意]」

―― まだ喜んでいる場合じゃない。

安青錦
「そうですね。はい」

―― そうですか。そして、関取。所要7場所で新十両昇進というところで。これあの、前相撲から取った力士の中では、史上5位タイ。スピード出世なんですね。成績、ご覧いただいていますが。この、あっという間に上がって来たというのは、関取自身どうですか。

安青錦
「まあそうですね。自分はあまり、そこまで意識してなかったですけど。まあとりあえず、自分の力を出してやっていこうという気持ちで臨んでたんですけど。まあ、自分でもちょっと早いかなって思います。はい」

―― どこかの場所で、こう、自信だったり、手応えを感じる部分ってのはありましたか。「大相撲の世界で戦える!」ってのは。

安青錦
「師匠によく言われるのは、『自信持って行け』っていう。でも、なかなか・・・。まあ、今たぶん一番自信持ってるんじゃないですか」

―― ああ、今が一番・・・。

安青錦
(頷きながら)「はい」

―― そうですか。あの、初日から3連勝というところで、気分良く土俵にも上がっているかと思いますけれども。土俵入りで使う化粧まわしもね、今日お持ちいただきました。関取の横にちょっとありますが・・・。(カメラが引いて、「銀座鮨処いし原」贈呈による、青空とひまわりがデザインされた化粧まわしを映す)はい。これ、部屋の後援会の方からいただいたという・・・。

安青錦
(頷きながら)「そうですね。はい」



―― ちょっと、そのデザイン。どんな意味があるかってのを教えていただけますか。

安青錦
「そうですね。ウクライナの代表的な花・ひまわりを。右肩上がりで、常に上を向いて、咲いている様をイメージしてます」

―― ふるさとに所縁のある・・・。

安青錦
(頷きながら)「そうです。はい」

―― 化粧まわしを着けての土俵入り。改めてどんな気持ちでしょうか。

安青錦
「そうですね。自分、相撲界入る前にずっと見てた土俵入りが、自分でもできて嬉しいです。はい」

―― 何歳ぐらいから、大相撲っていうのは見ていたんですか。

安青錦
「12ぐらいです」

―― 12歳ぐらいから。

安青錦
「はい」

―― そうですか。というところで、幼い頃からのね、ちょっと成り立ちをご紹介していこうかと思いますが。


(画面テロップ「母スウィトラナさん」)

母スウィトラナ(Світлана)さんに抱きかかえられる、赤ちゃん安青錦


―― まず、最初の写真が1歳頃。お母さまとの写真というところで。どんな性格だったとかっていうのは、聞いていますか。

安青錦
「そうですね。まあ、だいぶんおとなしい感じだったですね。はい」

―― そうですか。おとなしいんですか(笑)。

安青錦
「おとなしいです。はい」

―― そうですか。

安青錦
「はい」

―― そして、かなり身体も大きそうですね。1歳。

安青錦
「そうですね。生まれた時もう、たぶん4キロ200グラムだったんで」

―― ええ! 4,200グラム!

安青錦
「はい」

―― かなり大きな赤ちゃん・・・。

安青錦
「そうです。ちょっと大きかったです」

―― そうですか。そして、相撲をはじめたのは7歳頃だって、伺っていますが。

安青錦
「そうです」


(画面テロップ「10歳のころ」)

首から銅メダルを下げ、アンダー着用まわし姿で表彰状を両手に持つ安青錦


―― 次の写真が、10歳の頃で。実はこれ、ヨーロッパの大会に出てらっしゃったと。

安青錦
「そうですね、はい。そん時、3位だったです」

―― もう、はじめた頃からは、もう結果は出るようになったんですか。

安青錦
「まあ、そうですね。少しずつ・・・3位だったりとか。1位はなかなか難しかったですけど、3位、2位は多かったです」

―― へえー・・・。それにしても、元々レスリングの経験もあるということですけど、どうして相撲をはじめたんでしょう。

安青錦
「そうですね。自分、レスリングやりに来た時、ちょっと何か相撲の練習もあって。それを何となく見てて、何か面白いなあっていう風に考えて。で、お母さんに、これ[相撲]もちょっとやりたいって、いう風に。で、はじめました」

―― 相撲の面白さはどこに感じたんですか。

安青錦
「何か、速くてルールもわかりやすいし、すぐ勝負決めることが。はい」

―― そうですか。そして、2位、3位が多かったという話でしたけども。続いての写真が。


(画面テロップ「2019年 世界ジュニア選手権」)

ウクライナ代表のまわし姿で、記念品を手に持ち、銅メダルを胸に表彰台に立つ安青錦


―― これ、2019年世界ジュニア選手権。これも3位だったんですね。

安青錦
「3位でした。はい」

―― で、この結果が。かなりこう・・・関取にとってきっかけになった、とういう風に。

安青錦
「まあそうですね。そこでちょっと自信持てるようになったですね。はい」

―― 世界でもこう、結果を残せたという。

安青錦
「そうですね。はい」

―― この辺りから大相撲への意識というのは。

安青錦
「まあ、それはありましたね。やっぱり、はい。[世界で]3位になってから、一番意識してやったですね」

―― 大相撲を意識するようになった。

安青錦
「はい」

―― そうですか。じゃあ、気持ちも変わっていったんですね。

安青錦
「そうですね。はい」

―― そしてですね。この大会で、かなり大事な出会いがありましたね。

安青錦
「そうですね。はい」(頷く)


(画面テロップ「山中 新大さん」)

関西大学相撲部・山中新大さんと安青錦が、肩を組んでVサインをしているツーショット


―― それが、こちら。あの、関西大学で、現在コーチをお務めの山中新大(やまなか あらた)さん。

安青錦
「はい」

―― どういう繋がりなんでしたっけ。

安青錦
「最初は、会った時は。まあちょっと話して。そこで、まあSNSで、自分、国[ウクライナ]に帰った時もずっとやり取りしてて。でまあ、日本に来ることになった時は、ずっと一緒に住んでて。はい。もうほんとに、もう兄貴みたいな存在です」

―― SNSのやり取りは、日本語ですか。

安青錦
「いや。そんとき英語だったですね、はい」

―― 英語でやる。ということは、関取も、山中さんも、英語は堪能でいらっしゃったと。

安青錦
「そうですね。でも、たぶん二人ともあまり喋れなくて」

―― そうですか(笑)。

安青錦
「はい」

―― それにしても、ウクライナがですね。大変な状況の中で、来日を決めました。どんな思いで日本に来たんでしょうか。

安青錦
「まあそうですね。自分も、その前も力士になるって決めてたんで。自分の好きな相撲、やりに行こうっていう感じで来ました。はい」

―― それで受け入れてくれたのが山中さんだったと。

安青錦
「まあそうですね。はい」


(画面テロップ「関西大 初めての稽古」)

関西大学の相撲部員やマネージャーと、安青錦(中央)の集合写真。
後方左から2人目が山中主将。


―― で、山中さんのご自宅で。

安青錦
「住んでました」

―― 住んで。

安青錦
「はい」(頷く)

―― で、こちら。関西大学での初めての稽古。大学も受け入れてくれました。

安青錦
「そうですね。はい」

―― どんな思いですか。

安青錦
「まあもうほんとに。もう感謝の気持ちしかないです」

―― どんな日々でしたか。関西大学の過ごした日々というのは。稽古の日々は。

安青錦
「まあ、そん時はまだほんとに。土の土俵で稽古すること、初めてだったんで。まあほんとに全部わからない所だらけだったです。はい」

―― 大相撲に入る思いを持って、来日しました。でも、すぐには入門っていう形にはならなかったですよね。

安青錦
「そうです」

―― つらかったりとか、そういうのは無かったですか。

安青錦
「あんまり無かったですね。どうしてもまあ自分の好きな相撲やってたんで。はい」

―― それから、お仲間の支えもあったと。

安青錦
「そうですね。はい」

―― 実は、今日はですね。関西大学の山中さんにお願いして。関取へのお祝いのコメントも、実は用意させていただきましたので。一緒にお聞き下さい。


(お祝いメッセージ動画)

画面テロップ
3年 森直輝さん 
相撲部コーチ 山中新大さん 
1年 大山蓮斗さん


3人
「安青錦、十両昇進、おめでとう」
山中コーチ
「日本に来てから2年半で、本当に強くなったね。ダーニャ[安青錦の本名ダニーロ Данило の愛称 ダーニャ Даня]の十両昇進、みんな喜んでるよ。相撲が大好きで、相撲の練習に対して一生懸命のダーニャなら、まだまだ強くなれると信じてるよ。怪我だけには気を付けて、頑張ってね。みんな、ずっと応援してるよ。せーの」
3人
(全員、右拳を突きあげながら)「安青錦、頑張れーー!!」


―― (笑)普段は「ダーニャ」と呼ばれているんですね。

安青錦(笑顔)
「そうですね。はい」

―― どんな風にお聞きになりました。

安青錦
「もう、嬉しいですね。はい」

―― よく帰ってらっしゃるんですってね。

安青錦
「そうです・・・まあ、はい」

―― ちょくちょく。

安青錦
「ちょくちょく帰ります。はい」

―― 今でも支えですか。

安青錦
「そうです」

―― で、改めてプロフィール、ちょっとご紹介したいんですけども。安青錦関の下の四股名。

安青錦
「はい」

―― 山中さんの下の名前から。

安青錦
「そうですね。はい」

―― もらったんですね。

安青錦
「もらいました。はい」

―― どんな思いで。

安青錦
「どうしても、自分、日本来た時も、ほんとに右も左もわからなくて。全部教えてくれた人の名前、やっぱ付けたかったです。はい」

―― 相談したんですか。

安青錦
「はい」

―― 喜んでる?

安青錦
(首を傾げながら)「うん・・・たぶん(笑)。喜んでるんじゃないですか」

―― そうですか。ああ。あの、今、こうやって一気にですね、昇進を果たしましたけれども。相撲自体は、どんなところを今磨いてますか。

安青錦
「立ち合いしっかり当たって、前へ攻める相撲を磨いてます」

―― そうですか。今日、師匠にも関取について伺っていますから、一緒に聞いて下さい。


(録画再生)

(画面テロップ)
師匠 安治川親方

安治川親方
「やはり、とても相撲をね、すごく愛していると。まあ、そういうのも伝わって来るので。非常に真面目に取り組んでますね。もうその、研修期間から、ずっとこう、見てますから。すごくつらい状況の中、まあ頑張ってるんだろうなとは思うけども。まあそれ、表には出さないので。まあそこをね、今ケアしながら。やはりこう、一生懸命頑張ってくれてるということを見てくれてる人は、見てくれてるのでね。まあ化粧まわしだったり、まあ、そういうのをいただいてるのを見て、実感して。それを力に変えていけるんじゃないですかね。まあ、相撲に関して言えば、あまり心配していないので。早く十両のこの所作だったり、場所の雰囲気だったりに、早く慣れて。まあ自分の力どんどん出してくれれば、まあいい結果につながるんじゃないかなと、思ってます」


―― かなり期待も大きい部分が、インタビューから伺えたように聞こえましたけれども。どういう風に聞きました?

安青錦
「そうですね。まあやっぱ親方は、自分[安青錦本人]よりは、自分[安青錦]のこと、自信持ってるなって感じてますね」

―― そうですか。師匠のほうが、関取よりも、関取について自信を持っている?

安青錦
(首を傾げながら)「はい。何か」

―― そんなこと無いですか?ご自身では。

安青錦
「でも、あると思いますね」

―― そうですか(笑)。相撲も心配ないって言ってましたよ。

(安青錦、しきりに首を傾げる。照れている?)

―― どんなところ、番付の目標を含めて、伺いたいんですけども。このあとの目標、どうでしょう。

安青錦
「まあ、まずとりあえず幕内上がって。それから、まあ横綱目指して頑張りたいと思います」

―― ということは、今場所は、きっと良い成績を残したいですね。

安青錦
「そうですね。はい」

―― これからもますます活躍して下さい。

安青錦
「ありがとうございます」

―― 今日はありがとうございました。新十両インタビュー、安青錦関でした。

安青錦
「ありがとうございました」(一礼)

―― ありがとうございました。






その他


十両昇進の報道は、以下を参照。


令和6年11月場所(九州場所)の取組動画と報道については以下を参照。


九州場所後のインタビューおよび報道は、以下を参照。


令和4年(2022年)の関西大学での練習・インタビューは以下を参照。