【読書メモ】なぜノンフィクション作家はお化けが視えるのか(工藤美代子)
以前出版された「日々是怪談」を文庫化したものです。何故タイトルを変えたのかと思ったけど、他の2作が「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」「ノンフィクション作家だってお化けは怖い」なので、ノンフィクション作家三部作としてまとめたかったのかな、と。
各話、本題の怪談に入る前に雑談的なエピソードが入ってますが、なかなかガチ怖なエピソードが多いです。以下、簡単な概要と感想(一部)です。
中国娘の掛け軸
中国で買った、中国娘の絵が描かれた掛け軸。床の間に飾っておくと…
カーキ色の涙
ホテルでお線香の香りがしたときには必ず…
カーキ色がどんな色かは、この本を読んでググって知りました。WIKIによりますと、「カーキ(英語:Khaki)とは『土埃』を意味する言葉で、主として軍服に用いられる淡い茶系色を指す」だそうです。
「ママ」と呼ぶ声が
知人が経営するレストランの怪異。
夫婦の秘めごと
夫婦で箱根旅行に行った際、バスの中から見えたのは…
誰かの手が
高校の修学旅行で、遊覧船の甲板で撮った写真の話と、義娘が海で体験した日焼けの怖い話。
チャイムが鳴った
早朝、姪だと思った人物は、振り向くと…。おかしな電話がかかってきた後は必ず…
あなたを信じるわ
サンフランシスコのオレゴン・コースト沿いのモーテルで経験した怪異を友人に話したが、信じてもらえなかった。何故ならその話は…
信じがたい話ですが、こんな体験するとは…
私に似た人
昔好きだった人が結婚した。普段外国で暮らす彼が日本に帰ったきたとき、彼の前に現れたのは…
里帰り
カナダの日系移民のお婆さんを取材で訪ねたとき、おばあさんは同行のカメラマン、Yさんの逞しい腕に目を輝かせて…
森瑤子さんの名前や「キャンティ」の店名が出てくると、安井かずみやコシノジュンコ、吉田拓郎とか出てきそうな勢いを感じます。
じゃあ、死んだら
就職先を世話したある女子大生の恐るべき怪異。
言霊とかそんなレベルの話ではないです。この本の中で一番怖い話でした。
アソール公爵の館で
大正時代、当時皇太子だった昭和天皇が立ち寄ったというアソール公爵の館を訪ねた際、庭で遭遇した怪異。
淋しい人たち
留守番電話に「花嫁人形」を口笛で吹くだけのメッセージが入るようになって…
結婚すると恋人ではなくなるから、純粋に恋人のいる期間は短いっての、納得。たしかに、花嫁人形の曲は電話の保留音の曲って認識あります。
行ってはいけない土地
A山に山登りに行った際に見た「腕ニョキ」。
この本の中で3番目に怖かった話。
人肌が恋しくて
何者かに触れられる感覚と、ある大作家の家の玄関での怪異。
ここでは大作家の名前が伏せられてますが、「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」を読めば分かります。
聞き取れなかった言葉
バンクーバーに住んでいた女流作家の田村俊子と、その恋人でW不倫相手の鈴木悦のことを調べていたときのこと。鈴木悦の郷里の豊橋にある、悦のお墓参りに行った日の夜、ホテルで体験した怪異。
夢の出口
子供の頃から見続けていた、とある家が出てくる夢。また、今でもたまに見る、海外のインテリアショップに入店する夢。
三島の首
三島由紀夫の家にいる夢を見たという夫。三島が亡くなった当時、週刊誌の編集部にいた夫は、雑誌の企画で三島の霊を降霊術で呼び寄せてもらったことがあり…
「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」の「三島由紀夫の首」と関連する話です。
魔性の人形
京都の骨董屋でもらった、××おばさんが作った人形は…。駐車場に捨ててあった人形を拾った著者の友人は…
魔性のモノは、買うときは美しいものだと錯覚させるようです。まさに魔性。
虫の知らせ
N夫人にもらった木の葉形のペンダントは…
肉親の愛情
姪が生まれた日のこと。また、着付けの高橋先生が兄の法事の日に…
ある日突然
某テレビ局のディレクターが体験した、恐怖の女性ストーカー。
人怖系の話?にしては怖すぎ。
酒場の約束
従兄のケンの話。会社の先輩が退職することになり、会社の応接室で送別会を開いたが…
背中が語る
松江のホーランエンヤという神事のテレビ生中継のゲストに呼ばれた。終了後、ディレクターの柳田さんから聞いた、家に出る幽霊の話。
そっくりな顔
バイト先の経理担当の古井さんというおじいさん。ある日、古井さんの顔を見てつい口走ってしまった言葉は…。そして、オリンピック選手のチャスラフスカの一人息子のマルティンの顔が…
この本の中で2番目に怖かった話。古井さん、何者!?
あとがき
死霊と生霊、どちらが怖いのか。生霊との話など。
あとがきまでしっかり怖い工藤美代子さんの本です。お香は伽羅は邪気を呼び寄せるのでダメ。白檀が良いそうです。
巻末語り下ろし霊感対談-"死霊"より"生霊"が、本当に恐ろしい <岩井志麻子×工藤美代子>
お二人ならではの怖い話が色々語られてます。
「『岩井志麻子、キンタマーニの精神病院に入院!』となったら、東スポあたりに面白く書かれそう。」って言葉にすべて持っていかれました。