失恋
失恋した。
いや、分かっていた。
好かれていないことは。
ただ、急に
「本当は別れるつもりだった」
と告げられたから
息が出来なくなっただけだ。
彼が私と付き合っていたのは完全に情のみだった。そこに「好意」は無かった。そして、今後それがまた芽生える事もないらしい。
私には、圧倒的不利な恋だった。
私のことを好きじゃなくなったことを彼は「貴女の所為じゃない」と、何度も口にした。
私はそれが嫌だった。
好かれないのは私なんだから、紛うことなき私の所為なのだ。私に好かれる程の魅力が無かった。それは誰にも改善出来る事じゃない、私だけの問題。
彼はそれを、きっと優しさで否定する。
それを聞くと一層惨めに感じる私の心は、荒んでいるだろうか。
彼は、私が死ぬ事を極端に嫌がる。
見ていれば、聞いていれば分かる。それは人に対する単純な愛情なんかじゃない、単なる責任逃れである。
一昨日、「別れるなら今後一切の私への感情を無くして。私がすることへの口出しをしないで」と伝えた。伝え方はやや感情的になったと思う。
それを彼は、「別れたら死ぬ」と誤解した。どうも彼には私がヤンデレに見えている様だ。
「別れたら死ぬから別れない」
彼はこれを正解だと思った。そしてそれをそのまま私に伝えた。若干責めた口調で。
そして飛んで出た言葉が、私には辛くて苦しくて、言葉では言い表せない感情にズブズブと浸らせた。
「別れるつもりだった。でも死なれたら困るから、答えを変えた。」
泣いた。
夜も更けて、家族全員寝静まった時間帯。
私は声を上げて泣いた。何度も何度も嘔吐いた。
頭も胸も痛かった。力が入らず指先は痙攣した。鏡に映ったのは涙でぐちゃぐちゃになった顔。でもそれは、ずっとずっと、一年以上一途に恋をしていた女の顔でもあった。
LINEに羅列する言葉は、予測変換の1番最初に出てくる「大丈夫」という無機質な3文字。
手軽に嘘を付ける魔法の言葉。
相手を安心させることも不安にさせることも出来る「大丈夫」という言葉が、私側の吹き出しにずらりと並んで。
縋れる程綺麗な思い出も無かった。私達は何もしなかった。
彼は何もくれなかった。記念日も忘れられた。書いた手紙にLINEで返事をされた。贈り物も無かった。
手だけ唯一繋いだ事がある。最も、恋人としてでは無く、私の精神を安定させるための事だったが。ただその1回の他には、触れることも話すこともままならない、未完成とも言えない交際だった。
好きだったからそれでも良かった。好きという気持ちだけが一方的に私達を繋いでいた。本当に本当に、本当に好きだ。
この恋が終わったら、私はもう恋愛をしない。
そう決めていた。
数々の病を患っている私を1度でも理解してくれたのは今の彼しかいない。
そして私は今後どんどん衰退して行く。
学校に行けない身体になった。
歩くので精一杯。日中も寝ていなければならない、そんな状態。
食事もほとんど喉を通らない。昨夜の出来事で心身共に衰弱した私は、何も口にする事が出来ていない。
ただ泣いている。好きだから。
きっとこれからも彼のことが好きでどうしようもないから、だから他の恋愛なんてできない。
彼にとって私とは、70億人の中にありふれた存在で、闘病をするただの同級生だったかもしれない。
でも私にとって彼は、たった1人の理解者だった。
たった1人の好きな人。
昨日今日の出来事で考えが纏まらない。このnoteはまだ完全じゃない。
少しずつここに加筆していこうと思う。