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面妖日記7 門の向こう
「門の向こう」
次男は、目に見えないヘナモンたちを、臭いと夢で遭遇する。
一番妖しい日常を送っている長男に比べると、遭遇率は低いが、私と違って用心深いので、疲れて自己防衛力が低くなると、たまに不快な思いをするらしい
これは次男の夢によく出てくる鹿
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鹿のようなもの
もう何十年も前に聴いた話
門の向こうでは「鹿」のように見えるが
何だかよくわからない者たち
彼の夢には当時頻繁に出現していたらしい
門の前には犬のようなものもいるが、門の中には入って行けない
入ってはいけるが、そのまま帰れなくなるような気がして、彼はそのまま門の外から見つめていた
ただそれだけの話だったのだが
当時、木彫をしていた次男は、手が滑ってノミで大怪我をし、かなりの出血の為、気を失いかけて救急車で運ばれるという、大騒ぎのあとの夢だった
その門をくぐってたら
どうなっていたのだろうと思うと、薄ら寒い気がしたのを覚えている
門番の様な犬たちも
一歩門を出ると別のもののような気がして、割と怖いと思った話
そんな次男も三十路のオッサン。3人の子持ち
あの時、門をくぐらなくて良かったと、真面目に思えるのであった
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