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面妖日記 4 踏んでいけ
子供の頃・・・多分、小学校4年生か5年生の頃だったと思う。
ある日妹が、二階に続く階段の1箇所を見つめながら半ベソをかいていた。
不思議に思って聴いてみると
泣きながら「手が・・・手が一杯出て階段登れない〜😢😢😢😢」
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と泣きながらジダンダ踏んでいた。
と言われても・・・・
私には、ただの階段
何も見えない
「え?何も見えんけど〜」
と私が言うと、「だって手がぁああ、カ、カバン取りに行けんーーーー(T_T)(T_T)」
と、妹大泣き。
当時、低学年だった、ぽっちゃり妹に階段前で泣かれて、私も自分のランドセルを二階の部屋に取りに行けない
平日朝一番からの大騒ぎである。
この騒ぎを聞きつけた母は、慌てる様子もなく「あらあら、お姉ちゃんは、それ見えますか?」と私に聞いてくる
当然私は、首をブンブン横に振る
「私も見えんけど、ポチャ子は見えるの?」と母
妹はブンブン首を立てに降る
「よし分かった!いいですか?死んだ者より生きている者のほうが強いんだから、お姉ちゃん、踏んで行きなさい!見えないなら怖くない。踏んで差し上げて」
そう母に言われた私は、わからないまま、妹が指差す場所をドタバタ踏み始めた
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踏みながら「あっ、なんか足の周りがフワフワするなぁ」なんて思っていると、妹が「消えてる消えてる!お姉ちゃんすごーーい」なんていつになく大絶賛してくれるものだから
調子こいて更にドタバタ踏み続けた。
そして、私と妹は無事ランドセルを取りに二階に行き、学校へは遅刻せずに済んだのである。
以来 母の「生きている者のほうが強いんだから!」を信じて、変な気配があるときは、クッション投げるわ、壁には蹴り入れるは、怒鳴るわ、凄むわ
などの強硬手段で「なんか変ナカンジ」を通り過ぎてきた
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母は視える人というより、夢などで「何処そこのおばあさん枕元に来たけど寿命かねぇ」なんてしばらくすると葬儀だったり「亡くなった母さんきたわよ、すんごい立派な着物来てたわ」などという夢話しが多かった。
そして妹は多分・・・高校生半ばぐらいまでは視えていた様な気がする。
けれども見えなくなったのか、無視し続けたのか、未だによくわからないが、感だけはかなり鋭い。
母親の認知の歪みから来る「ウソ」に、いち早く疑問を持ったのも妹である。実家近くに住む私は、両親の話が面倒くさいので、聞き流していたが、県外に住む妹は、母の嘘八百屋長にピンとくる感の良さである
そしてオカルト、妖怪、不思議話しは、ケチョンケチョンに否定するが、時折「お姉ちゃん、その後占いどうよ?」と探りを入れてくるので、もしかしたら全く興味がなくなったわけではないのかもしれない
どちらにしても、私も妹の小指の爪ほどの怖い体験しかないが、オバケの類は嫌いである。
廃墟やゴーストハウス探検なんぞ、無謀にしか思えない
見えて小銭が降ってくるならまだしも、怖いだけで一銭の得にもならないのだから、「お化けなんてなぁいさ!おバケなんてウソさ♫」と、気色悪いと思った場所は逃げる、蹴り倒す、近づかない!
とうのがマイルール
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